【No.589】
高等教育開発・支援系/部門ニュースレターNewsletter 第6号(9/18)

PDF版:ニュースレター第6号

日本高等教育会第21回大会報告

 

高等教育開発・支援系/部門長 吉永 契一郎

 

本年度の日本高等教育学会大会は、6月2日・3日、桜美林大学において開催された。本稿では、公開シンポジウム「大学経営人材のプロフェッショナル化をどう進めるかーSD・教職協働の制度化を踏まえてー」について報告したい。

まず最初に、立教学院の寺﨑昌男氏が「桜美林大学院『大学アドミニストレーション専攻』創立のころーSDのあり方と内容に関して何を学ばされたかー」というテーマで報告を行った。

要旨

事務職員のプロフェショナル・スクールであるアドミニストレーション専攻は、2001年に開設され、知識・理論と経験・体験を往還させるという学習を目標にしている。学生は、現職の職員として職務を持ち、日々の業務に忙殺されているが、専攻での学びは、業務を歴史的・政策的観点から見直すことを可能にする。そのため、学生の目的意識は、極めて高い。その一例として、私立学校法成立過程について私の講義を受けて、自らの大学への影響をレポートから修士論文に発展させた優秀な学生も生まれた。

専攻での教育研究活動を通じて、職員には、次の三つについての理解が必要であると考える。それらは、大学組織の特質、自校理解、大学政策である。同時に、教員の課題や悩みに対する理解、職場外でのネットワーク、企画立案能力も重要である。学会を通じて、他大学の実情についても理解している教員に比較して、事務職員は、勤務校で完結しがちである。また、企画立案能力については、明確な育成方法が存在しないという難問がある。

SDに関しては、カリキュラム作りが大きな課題である。どのような方法で、どの程度の範囲を、どのような順番で提供するかを、検討する必要がある。2011年に刊行された大学教育学会課題研究報告書『SDの新たな地平ー『大学人』の能力開発に向けてー』では、教員と職員の業務が重複していること、「教職協働」へのストレートな賛成論はなかったことが指摘されている。これらの点において、プロフェッショナル化が特定の職務の高度化であるとするならば、方向性が異なると考えられる。

次に、文部科学省高等教育局局長の義本博司氏が「大学経営のプロフェッショナルの育成に向けて」というテーマで報告を行った。

要旨

まず、大学事務職員数の推移を見ると、平成元年から平成28までで増加しており、特に、医療系では倍増している。しかしながら、国際的に見て、日本の国立大学の事務職員数は少なく、職員一人当たりの学生数・教員は、アメリカ・イギリスの2〜4倍、大規模私立大学の場合、この割合が数十倍となる。このような環境の中で、事務職員は、国際化・産学連携・業務効率化に取り組むことを余儀なくされている。

このような大学環境の変化に対応して、事務職員も「指示待ち型」から「提案型」へ変化せざるを得ない。後者には、大学戦略、予算編成、学生指導が含まれ、「事務職員が教員と対等な立場での『教職協働』によって大学運営に参画することが重要(『大学のガバナンス改革の推進について』平成25年)である。

そのため、「大学設置基準等の改正(平成28年)」では、「研修の機会」が明記され、「学校教育法の改正(平成29年)」では、事務職員が「事務に従事する」という表現から「事務をつかさどる」という表現に改められた。また、「大学設置基準等の改正(平成29年)」では、「教員と事務職員の連携及び協働」が提示されている。

現在実施されているSDの内容は、「大学問題に関する基礎的な知識・理解等を深めること」が最も多く、「戦略的な企画能力」や「マネジメントの向上」を目指すものは少ない。また、教職協働が実現しているのは、「学生募集活動」、「学生相談や生活支援」、「就職支援・進路指導」等である。その他、新しい業務や外部資金の獲得においては、教職協働が実現しやすい。教員は「個」を重視し、事務職員は「組織」を重視するため、教職協働には「つなぎ役」が必要である。

今後の展望としては、戦略的な大学運営、マネジメント力の向上が大きな課題であり、学長のリーダーシップの下、大学全体の統合力を高めることが必要である。FDにおいても、SDにおいても、基本は情報の共有であると考える。

最後に、東京大学の両角亜希子氏が「大学人材の現状と課題」というテーマで報告を行った。

要旨

大学経営人材は、教員だけではなく、職員・外部人材を含む概念である。現状では、日本の大学では経営人材が育っておらず、研修制度もそろっていない。これまでの調査からは、大学職員は、経営参画、職務への分化、専門職の高度化を望ましいと考えている。実際、職員の経営参画の機会は高まっており、私大協加盟大学でも、8割以上が職員出身理事を置いている。

2013年に実施した大学教員調査では、教員も管理運営業務にかなりの時間を割いており、経営参画への要望も強い。ところが、部局長自身が管理職業務を重視していないという問題点がある。さらに、2015年の調査では、教員出身管理職ほど研修を受けておらず、部局長や執行部としての経験が、学長としての影響力に結びついていない。

国立大学法人における外部理事規定、私立学校法改正(平成16年)による外部理事規定によって、執行部に学外者は増えている。しかしながら、大学内と大学外での組織文化の違い、理事向けのマニュアル・研修の不備、学内の意思決定や情報共有の不明朗さなどが、学部人材の活躍を難しくしている。

考察

これらの報告について、三つの点を指摘したい。一つは、報告者がいずれも、教員もしくは政策立案者であり、事務職員はいなかったことである。そのため、調査結果に表れない職員の意識について、知ることはできなかった。二つ目は、啓蒙的な視点でSDを論じることの難しさである。学問的観点に基づいた職務の掘り下げ、政策動向の紹介や現状分析は、幅広い視野を与えることはできるが、「提案型」の人材育成にどの程度有効であろうか。むしろ、求められているのは、意欲の喚起や自己研鑽を生かすことができる組織開発の方法ではないかと思われる。三つ目は、人材育成がテーマでありながら、ビジョンや夢が語られることがほとんどなかったことである。これは、現在、日本の高等教育の置かれた状況を反映したものでもあるが、日本の大学を一歩進めるためには、大学運営のイノベーションが提示される必要がある。

現在、金沢大学は、文部科学省教育関係共同利用拠点(平成30年度まで)として、FD/SDを担当している。そこで重視していることは、アクティブ・ラーニング型研修と「越境型学修」である。前者においては、講師を想定していない。主役は、参加者すべてであり、グループごとに討議された内容は、全体でまとめられることもない。ここでは、発信力・表現力・ネットワーク力に加えて、省察力・共感力・批判精神が育成されている。後者は、教員・職員・役職者が同じテーブルで、ケース・スタディを行うものである。組織で行動する職員を思考停止にするのは、指揮系統への盲従である。フラットな組織を実現するために、「越境型学修」は「つなぎ役」を育成する。

最後に、アメリカにおける役職者を調査してきた、筆者の感想を述べたい。アメリカの場合、40代の半ばから、アドミニストレーションの階段を登り始め、大学間の流動性も高いため、役職者としての専門性が高い。このトラックを選んだ教員の理由は様々であるが、大学改革に強い意欲を持ち、能力開発やネットワーク作りを図っていることは共通している。このような役職者を、日本において実現するためには、クリアすべき条件も多いが、国際的には、日本の大学の役職者たちも、強烈な自我と権力、経験を持った海外の役職者たちと渡り合って行く必要性があることを指摘したい。

 

厳格・公正な成績評価に向けて

高等教育開発・支援系 西山 宣昭

厳格・公正な成績評価に向けた「科目ルーブリック」作成に全学で取り組むための説明会が7月4,10-12日、角間キャンパス、宝町キャンパスで行われた。教育担当理事から、厳格な成績評価のための絶対評価基準(科目ルーブリック)を明確にし公表することは、本学がどのような知識・能力を養成した学生を社会に送り出すのか、その質保証のために必要不可欠であること、さらにその絶対評価基準による評価の結果を踏まえ、各教員が成績評価方法と絶対評価基準自体を不断に検証し見直すサイクルを回し、全学的に共有しうる妥当な成績分布に収束させていくという、公正な成績評価へのロードマップが説明された。

各授業科目が求める学修の成果に対して、どの程度達成されているかを評価するための試験問題や課題は、例えば成績評定Cが達成されるために求められている知識、能力の獲得の程度やその獲得の程度を示す証拠としてのパフォーマンス(説明できるなど)を測ろうとするものである。今回の取組は、教員の頭の中にある作問・作題の意図を成績評価基準として明文化しようとするものである。以下の例(筆者が試行的に作成したもの)のように、求められている知識、能力、パフォーマンスを評価項目として明らかにした上で、それぞれの評価項目について多段階の達成レベルを設定し、各段階の達成度の状況を成績評価基準として記述した「科目ルーブリック」を全学で作成することとなった。

評価レベル

評価項目

(方法・配分)

レベル4
達成率:90~100%
レベル3
達成率:80~89%
レベル2
達成率:70~79点
レベル1
達成率:60~69%
レベル0
達成率:0~59%
(1)
○○の知識           (試験 配分:50%)
○○の要素および基本的な概念について正確な知識を獲得しており、複数の要素および概念を統合して、学習していない事実あるいは現象を説明することができている。 ○○の要素および基本的な概念について正確な知識を獲得しており、複数の要素および概念を統合して、学習内容に含まれる事実あるいは現象を説明することができている。 ○○の要素および基本的な概念について正確な知識を獲得しているが、複数の要素および概念を統合して、学習内容に含まれる事実あるいは現象を説明することができていない。 ○○の要素および基本的な概念について知識を獲得しているが、表面的かつ部分的であり、その理解は不完全である。 ○○の要素について、表面的かつ部分的な知識の記憶に留まっており、基本的な概念について理解していない。
(2)
問題発見・解決力  (レポート 配分:50%)
○○に関する与えられたテーマについて、妥当な問題を同定し、複数の解または仮説を導出しており、その検証方法を提案しているか、あるいは検証のための情報を示している。 ○○に関する与えられたテーマについて、妥当な問題を同定し、学習内容に基づく発展的な情報収集あるいは深い洞察により、複数の解または仮説を導いている。 ○○に関する与えられたテーマについて、学習内容の深い理解に基づき問題を同定し、その解または仮説を提案している。 ○○に関する与えられたテーマについて、問題を同定しているが、その同定の根拠は学習内容の不完全な理解を示している。 ○○に関する与えられたテーマについて、問題を発見することができていない。

 

今回の説明会では強調されなかったが、各授業科目で求める学修の成果は、本学においては、KUGSやカリキュラム・マップの学修成果と連関を持っており、今後の成績評価基準の検証・見直しの段階で考慮されることが望まれる。なお、アメリカの大学でのルーブリックモデル(VALUE Rubric)を参照したKUGSに基づくルーブリックについての考察[1]にも目を通していただければ幸いである。[1]http://herd.w3.kanazawa-u.ac.jp/post_kei/news-center/1065/

 

山形大学・大正大学・金沢大学三大学合同シンポジウム 報告

高等教育開発・支援系 杉森 公一

 

平成30年6月8日、大正大学学長室と山形大学教育開発連携支援センターとの連携のもと、東京・一橋講堂にて「金沢大学・山形大学・大正大学合同シンポジウム『大学組織変革は誰がいかに担うのか?–「チェンジ・エージェント」の提案-』を開催した。金沢大学と山形大学は、昨年度から文部科学省教育関係共同利用拠点(FD・SD)の認定を受けており、職員の人事育成に優れた取り組みを行う大正大学とともに、より多くの大学関係者に届くことを意図して東京での開催となった。プログラム進行は、以下の通りであった。後で詳述するが、本シンポジウムではオープニングトーク、事例報告の間に参加型ワークショップ<対話のアクティビティ>を複数挿入する変則的な構成を取る。

■開会挨拶 金沢大学国際基幹教育院長 大竹茂樹 理事・副学長
■シンポジウム趣旨説明
金沢大学国際基幹教育院高等教育開発・支援部門長 吉永契一郎 教授
■オープニングトーク「企業人、事務職員、教員へのトランジション経験からのFD・SDの考察」愛媛大学教育・学生支援機構教育企画室 上畠洋佑 特任助教
■対話のアクティビティ(ワールドカフェ①)
「自大学のFD・SDの省察 ー  何を何のためにやってきたか」
金沢大学国際基幹教育院高等教育開発・支援部門 杉森公一 准教授
発創デザイン研究室・福井大学教職大学院非常勤講師 冨永良史 氏
■3大学 FD・SD事例紹介
(1)「地方中小規模大学・短大を対象とした教育改善・改革の支援システム開発とその展開」
山形大学教育開発連携支援センター長 小田隆治 教授
(2)「職員ビジョンに基づいた人材育成制度の構築について」
大正大学学長室人事課 森田百合子 課長 杉田美調 主任
(3)「自律的な組織開発・人材開発のためのリーダー養成」
金沢大学SGU企画・推進室松村典彦 専門職員

■対話のアクティビティ(ワールドカフェ②)
「自大学のFD・SDの省察 ー  これから何のために何を」
■閉会の挨拶(シンポジウム総括)
山形大学教育開発連携支援センター長 小田隆治 教授

当日の参加者100名(講演者・スタッフ除く)は、25%が大学教員・75%が大学職員から成り、高専校長・センター長・学長補佐・事務局長・部長といったマネジメント層からFD担当教員・人事担当職員まで幅広い職階、関東を中心に北海道から長崎まで80大学等からの参加を得た。

オープニングトーク(上畠氏)では、初めに参加者への大きな問いとして「あなたはFD・SDについてどのような考えを持っているか」を投げかけた。企業・大学職員・大学教員という移行経験から、2つの研修観(人事権か、キャリア権か)の提示、教員組織(革新性)と事務組織(永続性)の指向性の相違などの示唆から、対話と越境に関する導入となった。続けての対話のアクティビティは、ワールドカフェ形式による「自大学のFD・SDの省察」に関する活動である。参加者は25グループ(4〜5名)に予め分かれて着席しており、グループ内での簡単な自己紹介・自分のバネとなる経験の共有ののち、グループホスト1名を残し別のグループへ離散し、ふたたび元のグループへ再集合する対話のプロセスを繰り返す(下図)。別々のグループで行われた各自の実践にフォーカスをあてた対話は、離散・集合によって一度に16人の対話が混ざり合うことで対話の広がりを増幅させた上で、FD・SDを何のために・その目的はそのままでよいのかについて問いを発展させる。問いに関連づける形で、3大学の事例報告を間に挟み、そのインスピレーションを助けに、私たちが担うもの・その担い方について共有・省察する(ファシリテーションは、冨永氏と杉森が共同で行った)。

山形大学が担う中小規模大学の対話のネットワークによる相互研鑽の在り方(小田氏)、大正大学が人事制度と職員研修をビジョンに基づいて見直し体系化=職務等級基準書と研修体系を紡いできた過程(森田氏・杉田氏)、経験に頼らないミドルマネジメント改善を指向するケースメソッド型SDの構築と研修紹介(松村氏)の3事例から、グループ対話の奥行きを深めることが可能となった。

事後アンケートでは「対話のアクティビティを他大学の方とできたことで情報共有と情報の発見、気づきが重要であり糧になった」「シンポジウムの中身を深める会の進め方がとても良かった」「今回の内容を自分が自大学でどのように活かしていくかを他大学の先生と考えられることは非常に良かった」といった声が上がり、回答者の88%が今後につながると答えた。大学を取り巻く情勢が急激に変化する中、所属や役割を超えた越境と対話による組織開発・それを担う人材研修の在り方とシステムの再構築が求められる。本シンポジウムが各大学での実践を支える一助となれば幸いである。

大学教育学会大会参加報告

高等教育開発・支援系 河内真美

 

6月9日(土)~10日(日)に筑波大学にて開催された大学教育学会第40回大会に参加し、ラウンドテーブルおよび自由研究発表において発表した。以下では、それぞれの発表概要とともに同じ部会で発表された他大学等の取組や研究について簡単に紹介する。

9日に開催されたラウンドテーブルでは、テーブル12「アクティブラーニングを支援する学生アドバイザーの制度・研修・効果」に企画者および報告者のひとりとして参加した。このラウンドテーブルは、大学教育学会の課題研究として2018年度に採択された「アクティブラーニングを支援する学生アドバイザーの制度・研修・効果に関する実証的研究」の一環として企画されたものである。アクティブラーニング型授業を対象とする学生(学生アドバイザー)による学生の学修支援制度を設けている福岡工業大学、横浜商科大学、北陸大学および金沢大学での実践事例について各取組の運営・実施に携わっている教員が報告し、それを踏まえて参加者も含めた意見交換や議論が行われた。各事例の報告からは、制度導入の背景(授業改善やコミュニケーションが苦手な学生への対応、仲間づくりなど)、学生アドバイザーが学修支援を行う対象科目(全学か一部科目か)、学修支援の具体的な内容などの面で多様性がみられた一方、事前研修の必須化や学生アドバイザー自身の学びの重視、授業づくりのパートナーとしての学生アドバイザーの位置づけなどの共通項が浮かびあがった。事例報告後の議論では、アクティブラーニング型授業における学修支援に着目する意義や授業を担当する教員の研修や負担と授業設計への接続、制度を運営する組織整備等について活発な意見が交された。

10日には自由研究発表が実施され、教育方法・授業改善をテーマとした部会において「アクティブ・ラーニング型授業における学生アドバイザーの効果―受講生アンケート調査から―」と題する発表を行った(杉森准教授との共同発表)。これは本学のアクティブ・ラーニング・アドバイザー(ALA)制度を事例に、2017年度後期/第4クォーターに実施した受講生アンケート(17科目、回答者延べ549名)結果の分析を報告したものである。上記ラウンドテーブルの企画にみられるように、ティーチング・アシスタントやスチューデント・アシスタントなど用いる名称こそさまざまであるが、学生が学生の学修支援を行う制度を設ける大学は増加してきている。他方、それらの学修支援を受ける学生にとっての教育効果についてはまだ十分に検証されていないのが現状である。本受講生アンケートは、主にALAによる授業時間内外における学修支援の内容とその効果を調査するものであった。調査結果の詳細は紙幅の都合上割愛するが、15項目4件法で尋ねた学修支援の効果については「とてもあてはまる」「ある程度あてはまる」とした回答者の割合が全体的に高く、特に質問のしやすさや授業内容の理解、授業での安心感などの面ではそれぞれ7割前後の受講生が効果を感じていることが明らかになった。同じ部会ではそのほかに、授業時間内外での学生の深い学びを促す授業設計上の工夫についての実践事例や、学びの「深さ」を下位概念レベルで捉え授業経験との関連性を分析した研究、アクティブラーニングにより身についた能力を測るための尺度やルーブリックの開発事例などについて発表が行われ、アクティブラーニングを促すための授業設計や方法、環境整備、学修成果の評価のあり方の幅広さと難しさが実感された部会であった。

 

2018年度総合教育部(前期を終えて)

高等教育開発・支援系 中野 正俊,井上 咲希

金沢大学の総合教育部

金沢大学では2008年(平成20)年度に従来の「学部・学科」制から、より幅広く柔軟な学びを目指し、「学域・学類」制という組織に再編しました。そして、2018年(平成30)年度より一般入試の後期日程で、学類単位の募集と並行して入学後に1年かけて所属する学類を決定する「後期一括入試」をスタートさせました。
学類を定めず、文系・理系の“大括り”で募集。センター試験・個別試験の科目を統一し、私立型の科目数で実施した点が、前期日程や後期日程の学類別入試と異なります。
「後期一括入試」による入学者は全員、1年次は「国際基幹教育院総合教育部」に所属し、いくつかのクラスに分かれ、文系・理系それぞれの共通カリキュラムに基づいて、「共通教育科目」を幅広く学び、じっくり進路選択を考えていきます。その際、クラス担任教員が学習や生活上の相談にあたるとともに、文系・理系それぞれの専任教員「アカデミック・アドバイザー」が個々の学類・進路相談に沿った履修計画をチェックし、随時面談を行うなど、丁寧にサポートします。最終的には学年末の3月に、本人の希望と1年次の成績(対象となる科目の「移行点」)によって、進む学類が決まり、2年次に移行します。この「移行点」についてはクラスによる差が生じないよう、平等性をしっかり保った上で厳密に決定します。

総合教育部とアカデミック・アドバイジング
入学時のオリエンテーション以降、導入科目、ランチョンセミナーの開催など、アカデミック・アドバイザーと会う機会を増やし、まずは顔を覚えて話しやすい環境を用意するようにしました。入学直後は履修方法についての相談が主でしたが、その後は勉強方法や総合教育部の移行方法について、学類ごとの詳細などの相談を受けています。導入科目の中で学類紹介を行うことで各学類について興味が湧き、進路について相談に来る学生が増え、アカデミック・アドバイザーが一緒に進路について考えています。
一部の学類では学類主導の個別の学類紹介として研究室紹介やシンポジウムを開催していただき、学類選択の参考となっています。学生がより深く知りたい学類について研究室を見学したいという声が多数あり、学生からの声を聞いて研究室紹介・シンポジウムに参加させていただきました。現在も複数の学類について見学等の要望があり、こういった要望をもとに進路選択のサポートをすることもアカデミック・アドバイザーとして携わっています。
進路相談を主としていますが、アカデミックスキルや勉強面での悩みを受ける事もあり、立ち話で簡単な質問を受ける事もあります。積極的な学生が多く教員が教わる事も数多くありますが、学生が充実した学生生活を送れるよう後期もサポートしてまいります。

保護者懇談会の開催

平成30年度新入生保護者懇談会を6月9日(土)に開催しました。大学全体の説明会、総合教育部の文系・理系合同の説明会、文系・理系にわかれて保護者との懇談、希望者との個別相談会の順に実施しました。個別相談の前後には学生による学内の施設案内を行い、学生会館、図書館、学生食堂、アドバイジング・ルームなどの施設見学を実施しました。
総合教育部全体で約50名の保護者にご参加いただき、9割以上の方から満足いただけたとのアンケート結果をいただきました。大学全体説明・学類別説明会ともに満足度の高い結果となりましたが、学類別説明会の内容について見ると、文系・理系ともに「学類・コース配属等に関する説明」に対しての関心が最も高い結果となり、文系・理系を問わず進路に関する保護者の不安を感じ取る事ができます。また、理系では「学生生活等に関する説明」が同程度に関心を見る事ができました。これは、医薬系を志望していた学生が多く、移行の際の定員が少ないことが影響していると考えられ、大学入学時に希望の進路と異なる結果になった事に対する保護者の不安が大きく、心配されている様子がわかります。
個別相談会では担任教員ごとに面談を行い、普段接している教員から学生の様子を説明しました。全員が後期入試での入学という事もあり、大学入学後に落ち込んでいないかなどを心配されている声もありましたが、普段の学生の様子を聞いて安心できたというお声を多数いただき、充実した保護者懇談会となったと実感しております。
今年度は新制度の中での保護者懇談会開催となり、不安を感じている方の参加が非常に多い印象を受けました。来年度は今年度の経験を生かし、より満足いただける内容となるよう検討重ねてまいります。