【No.459】
大学間連携共同教育推進事業「学都いしかわ・課題解決型グローカル人材育成システムの構築」について

○●○大学間連携共同教育推進事業「学都いしかわ・課題解決型グローカル人材育成システムの構築」について○●○

 昨年度採択された文部科学省補助金による大学間連携共同教育推進事業「学都いしかわ・課題解決型グローカル人材育成システムの構築」(事業推進代表者 中村信一金沢大学長)が、今年度に入りスタッフ、体制が整い本格的に動き始めた。この取り組みでは、大学コンソーシアム石川の枠組みを活用し、石川県内全自治体、主要企業団体と連携し、地球規模の視野を持ちながら地域課題に主体的に取り組み解決できる人材(課題解決型グローカル人材)を育成する継続的システムの構築を目指すものである。具体的には、この人材に必要な5つの力(発見力、分析力、展開力、行動力、国際力)の養成のため、地域ステークホルダーと連携・協働した「ジャスト・イン・タイム・システム」、「海外インターンシップ」等を行い、既存の授業・体験的学修等を組み合わせた教育プログラムを開発し人材を輩出する。また、輩出人材の定着のための社会人向けリカレント教育プログラムも開発する(申請書より抜粋要約)。

 体制としては、中村慎一理事・副学長(教育担当)を統括本部会議議長、古畑徹人間社会研究域教授を実質的な事業推進責任者とし、地域連携グループ、企業連携グループ、FD・SD共同プロジェクトグループ、ICTシステム活用促進・開発グループ、障がい学生等支援グループの5つのグループで活動を進めていく仕組みとなっている。地域連携グループ、企業連携グループは一体となって2名の特任助教(清、西村)が自治体、企業団体、個別企業等ステークホルダーへの説明、協力依頼、情報収集を行っている。この2つのグループの活動を基に学都いしかわ・グローカル人材育成プログラム開発WGが石川県とも協力しながら海外インターンシップを含む具体的な教育プログラム開発を進めている。

 FD・SD共同プロジェクトグループと共同でFD・SD研修会「地域で学ぶ、地域と学ぶ」[1]が6月と7月にそれぞれ1回ずつ開催されており、多数の参加者による活発な意見交換が行われている。金沢大学を含め大学関係者の間では、地域や企業と連携した授業、教育プログラムについての認識がまだまだ不十分であるが、「地域で学ぶ、地域と学ぶ」での学生発表などを聞いていると、地域連携事業が学生の力を引き出し、能力が身についたことを実感できる非常に有効な機会であることが確認できた。

 残りの3グループは事業全体の下支えと位置づけられ、FD・SD共同プロジェクトグループは大学コンソーシアム石川の教職員研修専門部会と連携し、従来は単発で実施されていたFD・SD研修を内容・テーマを整理しプログラムとして提供することを目指してFD・SD共同教育プログラムの開発を進めている。ICTシステム活用促進・開発グループには二本の柱があり、一つは、大学コンソーシアム石川が運営しているUCIポータルの改修・開発である。そこにはポータルの改修だけでなく、学習管理システムMoodleのバージョンアップ、eポートフォリオシステムであるMaharaの新規導入、ユーザ認証システム改修による連携大学関係者の利便性向上などが含まれる。もう一つの柱としての活動が「オンライン共同日本語ライティングセンター」設置である。特任助教(久保田)を中心に図書館の「大学図書館機能強化連携プログラム」と一体となり、レポートの書き方、クリティカルシンキングなどの指導を中心に活動を進めている。障がい学生等支援グループでは、すでに活動している研究会・NPOなどと協働して、特任助教(濱田)を中心に「障がい学生等共同サポートセンター」を開設し、担当連携校が各地の先進事例の調査や学会・研究会などからの情報収集を行うとともに、学生のコミュニケーション力向上支援活動としてのコミュニケーションサポートセミナー開催なども行っている。

 地域で世界で活躍できる人材育成を目指す本取り組みに今後とも注目いただき、これまでの大学教育に欠けていたとされる地域、企業との連携を組み込んだ教育プログラム構築・実施に協力いただければ幸いである。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

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○●○第13回FD研究会・第20回学生・学習支援研究会○●○

日時:2013年7月12日(金)17時30分~19時00分

場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室

報告者:谷村 英洋 立教大学大学教育開発・支援センター(学術調査員)

テーマ:「大学生の学習と時間―分析事例の紹介と課題の検討―」

趣旨:中教審答申などで繰り返し指摘されている日本の学生の学習時間の短さについて、実証的研究成果を目にすることはあまりない。今回は、学術創成科研「高等教育グランドデザイン策定のための基礎的調査分析」(研究代表者 金子元久)の成果の一部として、「大学の教員が想定している授業外学習の時間」(『大学教育学会誌』第32巻第2号、2010年11月、87-94頁)等を発表された谷村氏を講師にお招きした。上記科研により実施された大規模調査の結果によるデータベースを活用し、従来抽象的な議論にとどまりがちであった学生の学習実態について、現状の分析と課題そして、課題解決に向けた具体的提言を含んだこの論文により、谷村氏は本年度の大学教育学会奨励賞を受賞されている。喫緊の課題である教育の質保証における重要なテーマとして、厳格な成績評価と結びつく単位制度のもとにおける授業外学習時間について、ご報告にもとづき、考察を深めていきたい。



[1]http://www.ucon-i.jp/newsite/pdf/chikidemanabu.pdf