【No.451】
いま大学教育に求められること(金城大学第1回FD研修会報告)

 

○●○いま大学教育に求められること(金城大学第1回FD研修会報告)○●○

 この4月に入ってから、各所から大学生の学びに関する報告・答申が相次いでいる。ベネッセ教育研究開発センターによる大学生の学習・生活実態調査[1]、中央教育審議会による第2期教育新興基本計画(答申)[2]が発表された。前者は、第1回調査(2008年)に続く第2回(2012年)調査結果の報告であり、大学生の主体的な学びを促進する能動的学習の方法(アクティブラーニング)が浸透している一方で、学生の教員・保護者に対する依存心が強まっており、消極的・受け身的な学習スタイルが好まれる傾向が見えるという。後者は、中教審が今後5年間の平成25〜29年度に求める方向性であり、小中高大の教育課程全体にわたってどのような能力を求めていくかの指針:4つのビジョン・8つのミッション・30のアクションを示している。第一のビジョン「社会を生き抜く力の養成」の中に、大学のミッション「課題探求能力の修得」が含まれている。どんな環境でも「答えのない問題」に最善解を導くことができる力を養うために、学生の学修時間の増加(欧米並みの水準)という成果指標を例示しており、大学教育の質的転換を促した昨年度中教審答申(平成24年8月28日)が踏襲されている。大学教育での主体的な学びの結果として、課題探求能力という学習成果(ラーニングアウトカムズ)を獲得するためにどのような段階を積み上げるべきかというプロセスの可視化、また、「学修時間の増加」を含めて様々な成果指標を見出すこと、2点を持って学びの連続的な評価を可能とするのではないだろうか。

 さて、去る4月30日、筆者を講師として金城大学第1回FD研修会「いま大学教育に求められること(2) -カリキュラムツリー、ラーニングアウトカムズ、ルーブリック—」が行われた。研修目的としては、前年度からの同テーマの研修会に引き続き、大学教育について学内外の現状を分析・整理し理解を深め、学生の学びのための支援者となることを目指している。FD研修会の自己評価のルーブリックとして表現すると、表1のようになる。

 ルーブリックは、学士課程全体(4年間)、各学年(1年間)、各科目(15コマ)、1回の講義(90分)のいずれの時間単位でも記述作成できる。これを教員間/教員—学生間で共有し、それぞれの学びを振り返る手段となる。こうした自己評価の積み上げによって、学位の授与に向かう学修到達度の評価が可能とできると考える。様々な大学の実践によって、カリキュラムマップを学習成果把握のツールとして活用するために、ルーブリック等を用いた個々の教員・学生の自己理解がさらに進められることを期待している。

(文責 教育支援システム研究部門 杉森公一)

表1:金城大学FD研修会の自己評価のルーブリック(杉森試案)

 

授業開発の支援者

(2ポイント)

授業開発の実践者

(1ポイント)

初任者教員

(0ポイント)

①大学教育についての自己理解が共有できる

自分の目の前にいる学生に対して、講義・学生支援を通して、学生がどのような躓きを感じているか、自分の言葉で明らかにできる。改善を日々実行できる。

講義・学生支援を通して、学生の様子の変化や成長を実感できる。

講義・学生支援を通して、学生の成長に気づくことができず、改善の手立てが見当たらない。

②5年後の改革イメージが持てる

キーワードをもとに、大学改革に必要なFDツール(シラバス、同僚評価、授業アンケート)を説明でき活用できる。

大学改革に必要なFDツールのいくつかについて理解できる。

FDツールについて、必要性を理解できず、改革のイメージを持っていない。

③学内外の現状を分析・整理し、理解できる

中教審・文科省の施策から、大学にいま求められている「学習の主体」の転換、授業手法の開発の位置づけを説明できる。

「学習の主体」の転換について理解し、授業手法の開発の必要性が分かる。

「学習の主体」は講義を行う教員にあるため、授業開発や研究を各自で行うことが必要と考える。

④学生の学びのための教育開発の支援者となる

学科カリキュラムにおける学修目標を設定し、個々の科目の重要性と関連性を説明できる。

自分の科目の学修目標を設定し、学生の到達度を測ることができる。

科目の到達目標ではなく、教員の教育目標を中心に講義・学生支援を行う。

 

○●○ 角間ランチョンセミナーのご案内 ○●○ 

ランチョンセミナーは、15日より31日まで、外国語教育研究センターのスタッフを中心に、「外国語学習特集」として、報告が予定されております。詳しいスケジュールは、以下のとおりです。

5月15日(水)モナシュ大学語学研修体験談 根本浩行
5日16日(木)ワシントン大学、ハワイ大学、ユーコンカレッジ研修-参加者からのアドバイス

結城正美
5月17日(金)エジンバラ大学研修 体験者の声を聞こう! 大藪加奈
5月20日(月)パソコンで英語学習!ALC NetAcademy2を使ってみよう 西嶋愉一
5月21日(火)今日からはじめるTOEIC対策 西嶋愉一
5月22日(水)自分の英語学習をデザインしよう!:英語II/英語IIIのススメ 榎本 剛士
5月23日(木)大学生としての継続的英語学習法 小林恵美子
5月24日(金)IELTS対策とIELTS勉強会 根本浩行
5月27日(月)フランス語の魅力と学び方 三上純子
5月28日(火)ロシア語の魅力と学び方 平松潤奈
5月29日(水)朝鮮語の魅力と学び方 宋有宰
5月30日(木)ドイツ語の魅力と学び方 バスティアン・ノネンベルク、佐藤文彦(人文学類)
5月31日(金)中国語の魅力と学び方 矢淵孝良

○●○図書館ビブリオバトルの開催のお知らせ○●○

日時:5月29日(水)13時00分〜 場所:中央図書館ブックラウンジ・ほん和かふぇ。

発表者(バトラー)募集 応募問い合わせ

 大学教育開発・支援センター 久保田 shinkubota@staff.kanazawa-u.ac.jp

 中央図書館 松原・押見 etsuran@adm.kanazawa-u.ac.jp

今後の予定

 ・6月19日(水)13時00分〜

 ・7月29日(水)13時00分〜

チャンプ本を紹介した方には、ちょっとした賞品があります。

聴講(バトル観)には、自由にご参加ください。



[1]ベネッセ教育研究開発センター 第2回大学生の学習・生活実態調査 http://benesse.jp/berd/center/open/report/daigaku_jittai/2012/hon/

[2]中央教育審議会 第2期教育振興基本計画 平成25年4月25日 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1334377.htm