【No.446】
新任教員(教育支援システム研究部門)の自己紹介–理工学域・大学院自然科学研究科主催第5回FDシンポジウム参加報告と併せて–

 

○●○新任教員(教育支援システム研究部門)の自己紹介—理工学域・大学院自然科学研究科主催第5回FDシンポジウム参加報告と併せて—○●○

 4月1日付けで大学教育開発・支援センターに着任いたしました、准教授の杉森公一(すぎもりきみかず)です。教育支援システム研究部門に所属し、学生の主体的な学び支える仕組みを考えていきたいと思います。これまで計算化学、理科教育、福祉情報工学を専門として研究・教育にあたってきましたが、前任の金城大学医療健康学部では、リメディアル教育・初年次導入教育・高大連携の実施、カリキュラム・マップ設計のためのFD研修ツールの開発、ミニッツペーパー・クリッカーを用いたアクティブラーニングの推進に力を注いできました。

 大学における教育開発の支援者として、このセンターは金沢大学および地域の拠点に位置づけられます。昨年1年間センターの客員研究員としても大学教育改革の動向を調査し、私立大学での教育実践を通して垣間見えたことは、支援者としてどうあるべきかという指針や教育哲学かもしれません。目の前にいる1人1人の学生の人間形成を、1人の教員として支援することを前提として、第一に我々は教育者としての使命と責任を負っています。学問のプロフェッショナルである研究者として、学生たちに学士課程を通して文化継承し、社会に資する人材としなくてはならない、社会への正義にも立脚します。教育と研究が重なる場所に、人材育成を通した社会貢献が立ち上がるのではないでしょうか。

 学生と教員が、教育・研究に取り組む時間と空間を通して相互作用し合い、発見と探究の感動が生まれる、そのような「場」としての大学の営みが現在も創られ続けています。その支援のためには、自覚的に能動的な教授・学修にあたり(アクティブティーチングとアクティブラーニング)、大学入学→講義・カリキュラム→学位授与にいたる入り口から出口までの連続性を組織として担保し(ファカルティ&スタッフ・ディベロップメント)、幼保小中高から社会までを仲立ちとして繋ぐ高等教育機関として「教育学修成果」を評価し方向付けるミッション再定義の戦略(インスティテューショナル・リサーチ)といった、3段階の視座を持たねばならないとも考えます。

 さて、3月14日に行われた理工学域・大学院自然科学研究科主催第5回FDシンポジウム「学生の主体性を発揮させるために」では、当センターの青野透教授による平成24 年8月中教審答申の解説、および、富山大学保健管理センター長の斎藤清二教授の「総合的学生支援」と杉森による「リメディアル教育の実践と展望」という2件の特別講演が企画されました。この機会に概要を紹介します。斎藤教授からは、発達障害のある学生を支えるための修学サポート/キャリアサポート/メンタルサポートの3方面からの支援体制と具体事例の紹介があり、手厚い支援が必要である学生の実情を改めて知る機会となりました。また杉森は、主体的な学びにつなげるための学習者中心の教育の方略と、個別的・組織的に学修を支援するための初年次導入教育・リメディアル教育/日々の観察からの学修支援/系列校との高大接続の実質化の試みを紹介し、1人1人の学修成果(ラーニングアウトカムズ)を高めるための視点を報告しました。

 大学全入の、ユニバーサル型の大学進学時代を迎えたと言われている中、多様な能力を持つ学生たちに対し、我々は学生とともに何ができるのかが問われています。彼らは「なりたい自分」を目指し、そのハシゴを上ろうとしています。ただし、最初の何段かが抜けているのに気づかないままならば、「懸垂」のような状態でもがくばかりではないでしょうか。学生相談と学修支援の相乗によって、抜けたハシゴの格(こ)を入れること、つまり、能力・知識への適切な足場掛けがなされ、そして彼ら自身が主体的に高みを目指して行けるような援助と支援が必要であると考えます。大学生活でのコミュニケーション能力と、授業でのコミュニケーション能力があってこそ、学生の主体的な学びと成長が促されるという今回のシンポジウムの趣旨に対して、解のいくつかを示すことができ、改めて考える機会となったならば幸いに思います。

参考資料

1. 斎藤清二ほか、「発達障害大学生支援への挑戦」、金剛出版(2010) 本学図書館中央館所蔵

2. 杉森公一、「私立大学におけるリメディアル教育の実践と課題(上)(下)」、週刊教育資料1219号・1221号(2012) 当センター所蔵

3. かがくときょういく http://ed-science.blogspot.com/(杉森によるブログ記事)

(文責 教育支援システム研究部門 杉森公一)

●○● 「金大ビブリオバトルin角間ランチョンセミナー」バトラー募集 ●○●

 ビブリオバトルが普及しつつあります。ネットでもYouTubeでもその内容を知ることができますが、今月19日には、谷口忠大『ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』(文春新書)が発行されますので、詳細はそちらでご確認ください。当センターでは、専任教員の青野に加え、久保田特任助教が、本学および県内でのビブリオバトル普及委員としての活動を行うことになります。

 さて、本学のビブリオバトルは、昨年12月に第1回を開催し、授業のある月曜日、角間ランチョンセミナーの企画として実施しました。本年度も原則的に、角間ランチョンセミナーで毎週月曜日、12時10分から、総合教育講義棟A1教室にてビブリオバトルを開催します。

 今月は、15日に第5回金大ビブリオバトル、22日に第6回金大ビブリオバトルを開催します。バトラー希望者は、info@rche-kanazawa-u.jp宛、お申し込みください。当日12時10分までに本を持って集まった先着3名(事前申込者を優先)が、その日のバトラーとなります。新入生中心の学生たちが聴き投票することになります。とくに新入生たちに是非読んで欲しいという本をご推薦下さい

以下は、昨年度の金大ビブリオバトルで紹介された書物の一覧です。◎はチャンプ本に輝きました。バトラーの所属・学年等は当時のものです。(図)は本学図書館の所蔵が確認されています。

新井 素子『くますけと一緒に』(新潮文庫)新潮社(1993/3) (図)保健学類1年 

宮本 常一『塩の道』 (講談社学術文庫) 講談社(1985/3) 人文学類4年

たかの てるこ『ダライ・ラマに恋して』(幻冬舎文庫) 幻冬舎(2007/06) (図) 教員

忱(著), 鳥居 久靖(翻訳)『水滸後伝』(東洋文庫) 平凡社(1966/01) (図) 職員

結城 浩『数学ガール』ソフトバンククリエイティブ(2007/6)(図) 自然研大学院 数物科学2年

◎牧野 武文『論語なう~140文字でわかる孔子の教え~ (マイナビ新書) マイナビ(2012/4)  学校教育学類2年

篠原 ウミハル『図書館の主1(芳文社コミックス)芳文社(2011/8) 学校教育学類2年

井上 靖『補陀落渡海記 井上靖短篇名作集』(講談社文芸文庫)講談社(2000/11)(図)人文学類4年