【No.437】
学生の学習の質量の確保のために(1)-中教審答申の受け止め方

 

○●○ 学生の学習の質量の確保のために(1)-中教審答申の受け止め方 ○●○
 高等教育のユニバーサル化とグローバル化が進み、学士課程教育の質保証が最大の課題となっている中で、「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ(答申)」(平成24年8月28日)は、学生の学習の質量の確保の視点から、教育の質的転換のための具体的な方策を提示している。そして、各大学がそれぞれに受け止め、実際の改善へ主体的に結び付けていくことが求められている。昨年12月20日に参加した私学高等教育研究所主催の公開研究会「中教審答申をどのように受け止めるか-これからの具体的な課題は何か」では、上記答申の作成に深く関わってきた委員が一堂に会し考えるところを述べており、参考になる部分も多かったので、その内容の一部について簡単に紹介したいと思う。
 まず濱名篤氏(関西国際大学学長)の報告では、教育活動の縦と横の連携を可能にする教学マネジメントのあり方に着目しているが、その具体例の一つとして同大学の科目のクラスター化が紹介されている。各科目の目標や内容、達成水準を明確にした上で、学部の専門性と教育目的を考慮し、「科目間のクラスター化」と「週複数開講科目の設定」の組合せで科目間を連携させている。科目クラスターにより、クラスター化された科目の担当者は、授業で取り上げる話題や教材などを共有しながら運営しているようで、一方学生はゼミ等の少人数制の授業と、教室外の学習環境の整備を前提に、問題解決発見型での教室外の学習体験を組み合わせて、協同学習体制を進めているものである。これにより、学部での科目間で(学習)課題に統一感が生まれ、さらにカリキュラムマップと履修パターンモデルの作成とルーブリックの明確化により、学習の構造化・効率化が図られるようである。これに関連して興味深いのは、教員間連携を形作るためのコモン・ルーブリック評価という、ルーブリックの共通化という考え方である。(ⅰ)教員間・教員学生間でルーブリック観点を共有し、(ⅱ)教員の課題内容や出し方・タイミングについて連携し、(ⅲ)継続的に同じルーブリックで評価するよう、レポートなどの返却タイミングなどについて連携し、学生の学習スキル等の伸長状況を教員間で共有するよう努めている。DP/CPに基づくカリキュラムの体系化・充実から科目間・教員間連携をより実質的に進めていく過程にあって、本学にとっても参考になるものであろう。
 次に小笠原正明氏(北海道大学高等教育推進機構名誉教授/大学教育学会会長)の報告では、とくにコースワークの中途半端さに注目をし、その改善を求める内容となっていた。(異論はあるかもしれないが)授業回数が絶対的に不足していること、形式的にはいくらでも授業を詰め込める構造になっていること、セメスター制の誤った(?)運用により通年科目として行うべきものが半期完結科目となってしまい、科目が断片化しまさに「コース」ワークが作れない状態にあると述べている。また一方の教員も、(ゼミなどの)少人数教育と研究室教育で忙しいことが指摘されており、そのためにもコースワークの組織的強化、言い換えると授業の統合整備(整理)が必要と考えている。つまり大人数・大規模授業の組織化をポイントに、(ⅰ)内容の標準化・(チーム対応)、(ⅱ)TA・SA、グループ討論の活用などによる授業の組織化、(ⅲ)評価法の標準化(先にふれた評価基準の共有化につながっている)が図られなければならないとされる。また少人数教育については、重点化した少人数教育という形での脱皮が必要と述べている。
 次回はさらに単位制度(学修時間)の考え方、学習成果につながるアクテイブラーニングについて報告内容を紹介したい。 (続く)
(文責 評価システム研究部門 渡辺達雄)
 
 
○●○ 第9回評価システム研究会・第15回カリキュラム研究会
合同開催のお知らせ ○●○
日時:2013年1月31日(木)16:30~18:00
場所:角間キャンパス総合教育1号館E1講義室
テーマ:教養教育における達成度評価について -広島大学、新潟大学の事例-
報告者:堀井祐介(大学教育開発・支援センター)
趣 旨:学士課程教育、特に教養教育における学習成果、学習達成度について、科研調査に基づき、広島大学、新潟大学の事例を紹介し、学習成果、学習達成度の設定手法、仕組み、測定方法、評価サイクルにおける位置づけについて議論したい。
 
 
○●○ 後期「角間ランチョンセミナー」終了 ○●○
平成23年度前期の「角間ランチョンセミナー」は、先週をもちまして、全ての日程を無事に終えることができました。前期の毎日開催、後期の随時開催によりのべ80回となりました。ランチョンセミナーに参加して下さいました皆さん、そして様々なテーマの下、ご報告をして下さいました学生・教職員の方々、テーマ企画に快く応じていただきました各部局の方々に対し、心から感謝申し上げます。
25年度についても何とぞよろしくお願いします
お問合せ:大学教育開発・支援センター(担当:渡辺)
TEL:076-264-5793   Email: tatsuode@staff.kanazawa-u.ac.jp