【No.430】
本学の教育の内部質保証について

 

○●○本学の教育の内部質保証について○●○
 センターニュース420号では、他大学の関係者の見解および海外の事例を引用し、今大学が社会から強く求められている教育の内部質保証とは、「設定された学習成果を達成するための教育プログラムの不断の最適化(改善)を行うすべての組織的な取組、つまりFD」と定義できるとした。このような教育改善のPDCAサイクルは以下の各プロセスに分解できる。
1.教育プログラムの学習成果を組織において同定する。
2.各授業担当者は、教育プログラムを構成する各授業科目の学習目標を教育プログラムの学習成果に整合させる。
3.同定した学習成果と整合する各授業科目の学習目標の達成度評価方法(成績評価方法)および達成度評価基準(成績評価基準)を開発する。各授業科目の学習目標の達成度の累積として教育プログラムの学習成果の達成度を評価するとともに、学習成果の達成度評価に活用できる参考データ(たとえば学習成果達成度に関する在学生および教員による自己評価アンケート、卒業生アンケート、就職先による卒業生の評価、就職データ、卒業研究評価など)を収集する。
4.学習成果と整合した成績評価基準による厳格な成績評価の結果、および3.に示した参考データの分析結果に基づき、組織のFD活動としてカリキュラム、授業内容・方法、成績評価基準の改善、場合によっては学習成果自体の見直しを行う。
 本学においては、以上の教育の内部質保証のためのシステム構築は第2期中期計画に書き込まれており、中期計画【13-1】「卒業時における学力の達成度を評価し,在学生の学力向上にフィードバックさせるシステムを開発する。」に向けて、上記のプロセス1-4が以下の通り進められている。
【プロセス1】学位授与方針の明確化と学習成果の導出(【4-1】により実施済)
【プロセス2】カリキュラムマップの策定(【4-1】により実施済)
【プロセス3】学習成果および学位授与方針と整合する成績評価基準の明文化、成績評価基準のシラバスの「学生の学習目標」の欄への記入、学習成果の達成度に関する学生および教員による自己評価アンケートの実施(【10-1】【10-2】【13-2】に沿って24年度末までに実施)
【プロセス4】このプロセスは25年度に各部局で実施される。【プロセス3】で24年度中に得られた参考データおよび成績評価結果に基づき、カリキュラムマップ、カリキュラムツリー、授業内容・方法、成績評価基準、学習成果自体の検証が各部局で行われることになるが、より強固な内部質保証の仕組みとして、各部局が教育改善計画を立案し、FD委員会あるいは新規の内部質保証委員会を立ち上げて、立案された改善計画の検証を行うことが望まれる。
 本学の教育の内部質保証における今後の課題について私見を述べる。
1.各学類の学習成果に対する共通教育の寄与あるいは共通教育自体の学習成果を明確にし、その学習成果とカリキュラムおよび授業科目の整合性の検証が必要である。
2.授業科目の学習目標の達成度の累積としての学習成果の達成度評価に加え、卒業研究評価や就職先による卒業生の評価など、学習成果の達成度についての新規の評価方法を開発する必要がある。
3.各授業科目の学習目標(成績評価基準)が各学類の学習成果と関連付けられていることを学生に明示するために、カリキュラムマップ上で対応付けられている学習成果をシラバスにも明記すべきである。
4.シラバスに記載されている学習目標(成績評価基準)をカリキュラムマップに転送する、カリキュラムマップに記載されている学習成果を対応付られている授業科目のシラバスに転送する、各授業科目の学習目標の達成度およびカリキュラムマップに記載されている学習成果の達成度についての学生および教員による自己評価アンケートのフォーマットを自動生成する、などカリキュラムマップとシラバスとの連動を可能にするウエブシステムの開発が、内部質保証の省力化のために必要である。
教育の内部質保証システムの核心は、【プロセス3】の各授業科目の学習目標(成績評価基準)であろう。学習成果の達成度評価に適合する成績評価基準が設定されない限り、学習成果として明文化されている学生に身につけさせる知識・能力を保証するという教育の質保証の土台が崩れることになるからである。今年度、各部局で中期計画【10-1】【10-2】に沿って成績評価基準についての検討が行われている。この取組みは、25年度以降も継続して各部局のFDとして行われる必要がある。
                          (文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)
 
 
○●○第10回大学教育セミナーのご案内○●○
主催:大学教育開発・支援センター、共催:金沢大学附属図書館
後援:名古屋大学附属図書館、静岡大学附属図書館、大学コンソーシアム石川
日時:平成24年12月8日(土)13時~17時30分 場所:金沢大学サテライトプラザ3階集会室
テーマ:「『学びの場』に向けた大学図書館の再構成を考える
―学習支援促進のための三大学連携事業の中間報告」
 概要:近年, 大学図書館は大きく変化してきています.研究資料, 文献の保存と提供, ならびに文献検索などの情報検索技術を中心とした情報リテラシーの育成という従来の役割から, 学習支援の場として, 学生の学習に対して積極的に関与するという変化です. 学習支援の場として大学図書館は近年, ラーニング・コモンズという学習支援環境を構築し, 注目され始めています. しかし, どのような内容で, どのように学習支援すべきなのか, 現状では議論が進行中です. これらの問いにこたえるためには, 学習という概念を見直し, 検討する必要があります. 本セミナーでは同志社大学学習支援・教育開発センター事務長 井上真琴氏をお招きし、図書館職員に求められる学習支援に関する能力、井上氏の実践について、教育に貢献する大学図書館像についてご講演頂きます。また6月に締結した金沢大学、名古屋大学、静岡大学の3大学図書館の学習支援に関する連携事業の中間報告を行うとともに, 大学図書館が目指す学習支援について積極的な議論を行います。
【スケジュール】
13:00 開会挨拶 中村慎一 (金沢大学副学長・教育担当理事)
13:10 趣旨説明 山田政寛(大学教育開発・支援センター 准教授)
13:15基調講演 井上真琴氏(同志社大学学習支援・教育開発センター 事務長)
  「大学図書館員が持つべき「学習支援力」とは何か?-情報リテラシー教育を焦点にして-」
14:00 休憩
14:15 報告
・岡部幸祐氏(名古屋大学附属図書館 情報サービス課長 センター客員研究員)
 「学びのスキルとしての情報リテラシー -ILI-L育成事業が目指すもの-」
・加藤憲二氏(静岡大学附属図書館長 理学部地球科学科 教授)
 「英国ウォーリック大学の学習支援と静岡大学の現況」
・守本瞬(金沢大学附属図書館 情報サービス課専門職員)
「金沢大学附属図書館の学習支援~ラーニング・コモンズを中心に~」
15:45休憩
16:00 質疑応答・パネルディスカッション
17:25 閉会挨拶 西山宣昭(大学教育開発・支援センター長)