【No.423】
九州大学附属図書館付設教材開発センター訪問報告

 

○●○ 九州大学附属図書館付設教材開発センター訪問報告  ○●○
 
センターニュースNo.423図.jpg
 
 九州大学は日本でもオープン・コース・ウェア(Open Course Ware: OCW)の取り組みを積極的に行っている大学の1つである。OCWの他、本学のFD・ICT教育推進室のような教材作成支援、それに伴う研究活動を担っているのが附属図書館付設の教材開発センターである。今回、同センターの訪問調査を行ったので、その報告を行う。
 教材開発センターは総長配下の附属図書館長の下、3部門(エデュケーショナルテクノロジー部門・コンテンツデザイン部門・オープンエデュケーション部門)から構成されており、教材開発センター長が各部門をとりまとめている。知的財産本部(著作権処理)、法学研究院(著作権に関する助言)、人間環境学研究院(教育方法に関する支援)、芸術工学研究院(コンテンツデザイン支援)、システム情報科学研究院(ICT活用支援)、情報基盤研究センター(学習管理システムの運用)、医療系統合教育研究センターと基幹教育院(FD・教授法に関する支援)の部局と連携している。また図書館内の研究開発室とEリソースサービス室とも相互連携している。
 このような組織が図書館配下になったのは、書籍や論文を利用者に公開することから、新しいものを生成していく支援の場、学習の場として図書館が変わる必要性があること、図書館職員の高い情報技術により、OCWの支援を行っていくことができるという面からであった。
 教材開発センターは3部門から構成されているが、エデュケーショナルテクノロジー部門では、教授設計(インストラクショナルデザイン)に従い、教材設計、ならびにその支援を行っている。コンテンツデザイン部門では、協力教員のもと、コンテンツ作成や撮影を行っている。たとえば医学教育で用いられる臓器の構成を3次元でみるコンテンツなどである。オープンエデュケーション部門では、OCWの活動をしており、iTunes UやYouTubeへの授業映像の編集、アップロード、それに伴う著作権などの手続きを行っている。
 これら3部門はセンター長を含む兼任教員4名と4人のテクニカルスタッフで構成されており、OCWに関わる支援、撮影、デザイン、著作権の業務を行っている。講習会も実施されており、学習管理システムの講習会の他、MITの宮川繁教授によるOCWの講演会などが行われている。最近ではiBooks Authorなど、電子書籍を容易に作成できるツールも広がってきていることから、電子教材開発に興味のある先生方向けに講習会を行っている。また、医学教育学講座と連携し、学内から予算を受け、拡張現実感技術等、比較的新しい情報技術を活用した教材作成にも積極的に取り組み、利用の普及を目指している。インストラクショナルデザイン勉強会も行っており、教材作成支援を行うメンバーの能力育成もしっかり行われている。今後は上記活動の評価をどうしていくのか検討していくとのことであった。
 本学にもFD・ICT教育推進室があるが、非常に参考になる点が多かった。教材開発センターのように、学内にいる教材作成をご自身される教員向けにオーサリングツールの利用支援や、教材作成とその利用に興味がある部局と連携し、外部の予算を取り、その部局に特化した教材作成支援を行うというのも、学内の教育の質向上につながる活動と言える。また、学生のスマートフォン所有率の向上、アカンサスポータルのスマートフォン対応(一部機能のみ)も行われていることから、授業外の学習支援という観点から、スマートフォン向けの教材作成支援を行うということも一案であろう。教材作成支援は教育の質向上に大きく寄与する活動と言えるが、技術的な観点、教育に効果的な設計、学生の生活実態も踏まえ、教材作成支援ができれば理想的である。今後も積極的な教材作成支援の事業を進めていきたい。
 
九州大学附属図書館付設教材開発センター http://www.icer.kyushu-u.ac.jp/
 
(文責 教育支援システム研究部門 山田政寛)
 
 
 
○●○ 新着資料のお知らせ ○●○
 大学教育開発・支援センターに、全国の大学や大学教育センター等から各種報告書が届いております。特別教育研究経費・科学研究費による成果(途中経過)をまとめたものも多数含まれております。資料は、図書室(総合教育1号館6階613号室。センター共同研究室向かい)に所蔵しております。ご関心のあるもの、参照したいものがございましたら、お貸しすることができますので、ご連絡いただければ幸いです。
・田中真理他著『学生のための心理・教育的支援』東北大学高等教育開発推進センター、2012年
・大学コンソーシアム京都『大学におけるキャリア教育を考える-企業が求める人材って、大学で育成しないとだめ?』2011年度第17回FDフオーラム、2012年
・愛媛大学教育・学生支援機構『全国の高等教育機関の組織力向上のための「教職員能力開発拠点活動報告書-23年度」2012年
 
○●○ アカンサスFDをご活用ください ○●○
 
 ポータル内のアカンサスFDのコーナーには、授業内容・方法改善に役立つ諸種の情報を掲載しています。 昨今、注目されているアクティブ・ラーニングについては、溝上慎一「アクティブ・ラーニング導入の実践的課題」『名古屋高等教育研究』7(2007)、谷口進一ほか「数理工基礎教育科目における教育工夫 -基礎化学におけるカスタマイズ教材を用いたアクティブ・ラーニング」など、掲載されています。ご活用ください。他にもカリキュラム関係、TA活用、協調学習など授業改善だけではなく、制度面に関するものなど幅広く情報を蓄積しております。
アカンサスポータルにログインして頂きまして、アカンサスポータルの時間割内にある、「その他情報」の「時間割」リンクをクリックしていただきまして、「アカンサスFD」をクリックしていただきますと、本センターが蓄積しましたFDに関する情報をご覧いただけます。