【No.421】
ドイツにおける教育プログラムアクレディテーションおよびシステムアクレディテーションについて

 

○●○ドイツにおける教育プログラムアクレディテーションおよびシステムアクレディテーションについて○●○
 平成22年度から進めている科研「専門分野別教育プログラム認定・評価導入への実証的研究」((基盤(C)、課題番号22530912))により、先週、先週ドイツで訪問調査を行った。訪問先は、
evalag (Evaluationsagentur Baden-Württemberg, Mannheim, http://www.evalag.de
ZEvA(Zentrale Evaluations- und Akkreditierungsagentur Hannover, Hannover, http://www.zeva.org)
 Akkreditierungsrat (Geschäftsstelle der Stiftung zur Akkreditierung von Studiengängen in Deutschland, Bonn, http://www.akkreditierungsrat.de/)
の3つのアクレディテーション団体と
International Centre for Higher Education Research(INCHER-Kassel, University of Kassel, Kassel, http://www.incher.uni-kassel.de/ )
であった。
 ドイツでは、連邦制の下、州毎に独自の教育システムを持っているが、高等教育の質保証としては、1998年からの教育プログラムアクレディテーションおよび2008年からのシステムアクレディテーションがドイツ全体で採用されている。教育プログラムアクレディテーションは、州の教育文化担当大臣が集まる常設会議であるKMK(Die Ständige Konferenz der Kultusminister der Länder in der Bundesrepublik Deutschland , The Standing Conference of the Ministers of Education and Cultural Affairs of the Länder in the Federal Republic of Germany)およびドイツ学長会議HRK(Die Hochschulrektorenkonferenz, The German Rectors' Conference)により決められたものであり、システムアクレディテーションは教育プログラムアクレディテーションの改善策としてKMKにより導入が決定されたものである。
 各大学は学士課程、修士課程などの課程区分毎の教育プログラムアクレディテーション、または、大学内での内部質保証システムに対するシステムアクレディテーションのどちらかを受けることが義務づけられている。大学に対するアクレディテーションを実施するのはAkkreditierungsratによるアクレディテーションを受けたアクレディテーション機関である。この仕組みは、日本において文部科学省の認証を受けた評価機関が機関別または専門分野別認証評価を行う仕組みと似ている。(図1参照)
 
センターニュース421図.jpg
 
 今回は、主として、教育プログラムアクレディテーションについての調査を行った。教育プログラムアクレディテーションは、分野にもよるが6ヶ月から9ヶ月の期間をかけて、自己点検評価報告書作成、ピアレビューアーによる書面審議、訪問調査を経て最終決定が下されることになる。アクレディテーション結果は、「可」、「条件付き可」、「保留」、「否」の4つであり、「可」、「条件付き可」の場合は結果が公表されるが、「否」の場合は公表されない。ただし、当該教育プログラムが別のアクレディテーション機関のアクレディテーションを受けられないようにチェックするため、Akkreditierungsratのデータベースには結果が登録される。
 ピアレビューアーは当該学問分野の専門家と学生代表から選出され、専門家は、今回調査した2つのアクレディテーション機関(evalagとZEvA)では、それぞれアクレディテーション機関内の委員会がピアを選出し、大学はその選出に関与することは出来ないし、アクレディテーション機関からの提案を拒むことも出来ない。学生メンバーは、学生が登録されているデータベースから全国レベル、州レベル、機関レベルいずれかの学生団体(Student Union)が推薦し、選ばれる仕組みとなっている。
 システムアクレディテーションは、ドイツにおいて、上記教育プログラムアクレディテーションが実施されてほぼ10年たった頃に導入されたもので、高等教育における世界的流れとしての内部質保証をより重視したものである。ここで詳細を全て述べることは出来ないが、簡単に言うと、大学内部で自らの責任で教育プログラムアクレディテーションを実施するシステムを構築し、外部のアクレディテーション機関がそのシステムが有効に稼働しているかどうかを検証するものである。現在、ドイツ全体で6つの大学がこのシステムアクレディテーション受審が完了しており、15から20の大学が受審中とのことであった。大学にとっては、教育プログラムアクレディテーションと比べて、こちらのシステムアクレディテーションの方が全体としての負担が大きく、質保証を外圧によりやむを得ず実施するものとしてではなく、学内活動として行うため、いやがられているとの話もあった。
 以上、述べてきたようにドイツでの高等教育質保証の仕組みは、大きな流れとしてはまだ教育プログラムアクレディテーション中心であり、そのアクレディテーション過程も日本での認証評価とそれほど異なるものではないことが確認できた。ただ、ピアレビューアー選出方法、アクレディテーション機関をアクレディテーションする仕組みなどが日本と異なり、今後、日本において教育プログラムに対するアクレディテーションまたは認証評価を広げていく際の参考になるものと思われる。また、ドイツでもまだ新しい動きではあるが、システムアクレディテーションの仕組みからは、金沢大学だけでなく日本の全ての大学に求められている内部質保証制度構築への示唆が得られるものと考えられるため、今後、より詳しく調べていきたいと考えている。
(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)