【No.411】
成績評価に役立つルーブリックの作り方

 

○●○成績評価に役立つルーブリックの作り方○●○
 ディプロ マポリシー(DP)、カリキュラムポリシー(CP)を 効力のあるものとするためには、成績評価が非常に重要となる。近年、米国において、教員の成績評価活動を支えるツールとしてルーブリックが注目されている。ルーブリックを用いることで、教員の側からは、今まで以上に成績評価の可視化を進め、公平性・平等性を担保することにつながり、学生の立場からは、学習に対する目的意識、学習意欲を高めることにつながる。ルーブリックは、また、アウトカムズ測定にも有用とされている。大学教育開発・支援センター主催で今年3月末に開催した第6回評価システム研究会・第12回カリキュラム研究会「成績評価ツールとしてのルーブリック」においてもルーブリックについてその意義を説明し、米国の大学で使われている実例を紹介させていただいた。今回は、第7回評価システム研究会・第13回カリキュラム研究会「成績評価に役立つルーブリックの作り方」開催に当たり、改めてルーブリックについて紹介させていただく。
 ルーブリックとは、 教員の側から見ると、「学習者の活動をどのように評価するかを示す手引き」、「どのようなことが出来るようになるのかを明確に示した採点ツール」、「現在進行中の学習努力を支援し導くための形成的フィードバックを提供するための、採点または成績評価の手引き」である。学生の側からすると、「学習者として、どのように評価され、成績をつけられるかを示すもの」、「学生自身の成長を確認し、評価することが出来るもの」、「自らの学習活動の強み、弱点を理解するのを助けるツール」である。形成的に用いることで、ルーブリックは、教員が、クラスにおける強み、弱さをより明確に把握する助けとなりうる。要素毎の点数を記録し、各要素毎に合格レベルに達していない学生の数を数えることで、教員は、授業での説明時間を増やしたり、学生がより努力しなければならない技能や考え方を特定することが出来る。ルーブリックは、レポート、プロジェクト、口頭発表、芸術的表現、グループプロジェクト、キャップストーンなど幅広い課題に対して用いることが出来る。
 ルーブリックは種類としては、全体的なもの(holistic)と要素別に分解したもの(analytic)に分けられる。また、運用面からは、全体的な成績評価に使われるもの(general)と特定の課題・授業形態に固有に使われるもの(specific)なものに分けられる。
 
Facione - Sample Holistic Rubric.jpg
RubricTemplate(RIT).jpgRochester Institute of Technology, Student Learning Outcomes Assessment Office
 
 
 
 
授業、課題 評価項目・基準
口頭発表・プレゼンテーション 構成、話し方、道具の使い方、内容の深さ・正確さ、文法、質疑応答、ボディランゲージ
議論 授業中の振る舞い、リーダーシップ、論理的思考、人の話を聞く、事前の資料読解
批判的思考法 分析・統合能力、問題理解・認識、幅広い視点、論証および根拠、全体
授業参加 出席していることを前提に、授業内議論にどの程度(頻度、内容)参加しているか
哲学レポート 論証(基本主張、前提、支持、反論)、理解(文章、議論構成、分析、綜合)、評価(論証、立場)、創作活動(基本主張、事例、別の立場)、文体(明確さ)、構成(導入部、本体部分、結論)
 
 
ルーブリックの作り方にはいろいろあるが、ここではWikiPODiaでの説明を紹介する。 
1. ルーブリックの種類と目的を決める(何を評価するのに使いたいのか?何故なのか?を考える)
2. 評価すべき明確な基準を決める(コース・課題・活動についての記述を発展させたり、参照したりし、自らの目標・期待から直接基準を導き出す。評価基準ごとの違いを明確にすることが重要)
3. 評価レベルを決める(点数をつける範囲、尺度を決める。素点なのか?割合なのか?区分(S、A、B、Cなどの)なのか?GPAなのか?)
4. 各基準の各レベルについて、違いがはっきりわかるように記述する(成果物・学習活動が連続したレベルのどこに当てはまるかについて、疑いの無いように記述する)
5. 学習者を、ルーブリックの発展および効果的活用に巻き込む(学習過程におけ学習者自身の責任について明確に認識させることの助けになる)
6. ルーブリックの事前検証と再検証
一部繰り返しになるが、ルーブリック作成・活用は、自らの授業の目的、学修成果、授業方法を見直すことにつながる(FD)、教育活動の可視化につながる、教育プログラムにおける個々の授業の関係性が明確になる、教育プログラムの国際通用性、国際比較につながる、学生自身が自らの学習活動・学習内容を把握するのに役立つと考えられる。ルーブリックは初等中等教育を中心に教育学の分野では特に新しい考え方ではないが、それが今日では大学レベルにまで求められるようになってきているのである。
 ここまでの内容は、前回の第6回評価システム研究会・第12回カリキュラム研究会「成績評価ツールとしてのルーブリック」において説明させていただいている。今回の第7回評価システム研究会・第13回カリキュラム研究会では、ルーブリックの作り方により焦点を当てWikiPODiaのほかに2つの参考書をもとに説明させていただく予定である。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)
 
○●○第7回評価システム研究会・第13回カリキュラム研究会合同開催○●○
日時:2012年7月12日(木)16:30~18:00
場所:角間キャンパス総合教育1号館E1講義室
(いつもと場所が異なりますので、ご注意ください)
テーマ:成績評価に役立つルーブリックの作り方
報告者:堀井祐介(大学教育開発・支援センター)
趣 旨:教員の成績評価活動を支えるツールとして注目を集めているルーブリックの作り方、使い方について、"Introduction To Rubrics: An Assessment Tool To Save Grading Time, Convey Effective Feedback and Promote Student Learning", Dannelle D. Stevens, Antonia Levi, Stylus Publishing LLC, 2005 および "From Standards to Rubrics in Six Steps: Tools for Assessing Student Learning", Kay B. Burke, Corwin Press, 2011を参考に説明するとともに、実際米国で使われているルーブリックを紹介し、授業におけるルーブリック活用につなげる方策について議論したい。
 
○●○第18回学生・学習支援研究会○●○
日時:2012年7月19日(木)16:30~18:00
場所:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:新入生対象社会規範に関する意識調査アンケート2011について
報告者:小林恵美子(外国語教育研究センター)
趣 旨:大学教育開発・支援センターでは、昨年度、新入生対象アンケートを2件実施した。
今回の研究会では、そのうちの1件であるルールやモラルの遵守に関する姿勢、周囲の人間
関係による影響などについて聞いた社会規範に関する意識調査アンケートの結果を報告す
る。学生の意識調査の結果を、今後の学生支援にどう役立てられるのかについて議論した
い。