【No.400】
中教審大学分科会(審議まとめ)とアクティブ・ラーニング

○●○中教審大学分科会(審議まとめ)とアクティブ・ラーニング○●○
 本学カリキュラム検討委員会の下のWGと各学類による22、23年度2年間にわたるCP・DP策定を経て、4月9日に各学類のカリキュラム・マップ、カリキュラム・ツリーおよび各副専攻の学習成果が本学HPに公開された。これらは、平成23年4月の学校教育法および大学設置基準の改正に伴い公開が努力目標として求められている教育情報である。今後は、可視化されたカリキュラムとそれを構成する授業科目の相互連携によってカリキュラム・マップに明記された学習成果が達成されている、またその達成に向けた継続的な教育改善が行われていることを示す内部質保証システムを明確にすることが必要であり、この点は次期の認証評価でも問われる。本学における内部質保証システムの構築は、中期計画【13-1】「卒業時における学力の達成度を評価し,在学生の学力向上にフィードバックさせるシステムを開発する。」に沿って行われる。
 学習成果の質保証における本学のもう一つの課題は、共通教育の学習成果の明確化である。一部の学類のカリキュラム・マップには、学類の学習成果の達成に寄与する共通教育科目が組み込まれているが、共通教育の学習成果を各学類が共有する学習成果として既存のカリキュラム・マップに付加するのか、あるいは各学類の学習成果の達成に寄与する共通教育科目を選別するのか、について全学的な議論が必要である(センターニュース380号に関連記事を掲載、センターニュースは当センターHPに掲載中)。教育情報公開の施行により、各大学が教養教育の学習成果、つまり教養教育とは何かについてどう考えているか一目瞭然となる。しかし、カリキュラム・マップにおける共通教育の学習成果と各学類の学習成果との位置関係がどうであろうと、現行の共通教育が、幅広い教養としての知識を身につけさせるとともにどのような専門分野でも求められる批判的思考力などの汎用的な能力の養成に寄与しているかどうかを検証する必要がある。
 公表された各学類のカリキュラム・マップにおける学習成果は、各専門分野の特性を反映した表現で示されているが、各専門分野における知識の獲得と知識の運用能力とに集約することができるであろう。知識の運用能力として、現状を論理的に分析し、問題を同定し、その解決のための仮説形成を行い、その仮説形成の過程について自己評価あるいは他者との議論に基づいて評価し、仮説の検証を行う能力、つまり批判的思考力がグローバル化した現代社会で求められることに異論はないであろう。この批判的思考力を大学は身につけさせることができているかが今問われている。
 3月26日に中教審大学分科会大学教育部会が公表した「予測困難な時代において生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ(審議まとめ)」(アカンサスポータル内のアカンサスFDに掲載中、本センターニュースの末尾をご覧ください。)は、「学士課程教育は、学生の思考力や表現力を引き出し、その知性を鍛え、課題の発見や具体化からその解決へと向かう力の基礎を身につけることを目指す能動的な授業を中心とした教育が保証されるよう、質的に転換する必要がある。大学には、その転換の前提として、学生に、授業時間にとどまらず授業のための事前の準備や事後の展開などの主体的な学びに要する時間を含め、十分な総学修時間の確保を促すことが重要である。」とし、「大学教育の質的な転換」の方策として「双方向の講義、演習、実験、実習や実技等の授業を中心とした課題解決型の能動的学修(アクティブ・ラーニング)」を提示している。この審議のまとめが指摘する「大学教育の質的な転換」については、本学では、中期計画【8-1】「授業の目的に応じて授業形態を多様化し,少人数教育やTA(ティーチング・アシスタント)の活用を推進する。」に沿って検討が進められている。
 アクティブ・ラーニングはセンターニュース370号で考察した通り、講義や授業時間外の自己学習による知識の習得がその前提となる。専門教育のカリキュラムでは、講義科目と実験・演習等とが連結されている場合が多いが、アクティブ・ラーニングを本格的に導入するためには、講義内容と実験や演習等の内容とのより緊密な連携、つまり講義等で獲得した知識を問題発見・問題解決のために運用できる応用力を養成するための実験、演習等の設計、あるいは授業時間外での能動的学習を促す課題の設計がより重要になる。この点については、本学も含め工学系で開発されてきた創成科目がアクティブ・ラーニングの設計において一つのモデルとなるであろう。アクティブ・ラーニングの導入については、近年、教養教育において様々な取組が行われている。アメリカの大学の事例をモデルとして、大人数の講義科目において、講義に続いて同一時間内にグループに分かれて講義内容について討論を行うことにより、大人数の講義科目にアクティブ・ラーニングの要素を導入しようとする北海道大学や筑波大学の事例について繰り返し紹介してきた(センターニュース355号ほか)。また、東京大学では、1年次の理系全学生を対象とする通年の教育プログラムALESS(Active Learning of English for Science Students)において、受講生それぞれが1テーマの簡単な実験を、担当教員、TA、受講学生と討論を行いながら立案・実施し、その過程を英語で論文としてまとめ、最後はその論文に基づいて口頭発表を行う、インテンシブなアクティブ・ラーニングが行われている(センターニュース370号)。三重大学では初年次教育としてPBL(Problem Based Learning)セミナーを導入し、その教育方法の改善についてFDとして継続して検討が行われている。
 本学においても、中期計画【8-1】に沿って、アクティブ・ラーニングの導入について全学的な検討が行われることが望まれる。(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)

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