【No.394】
大学設置基準における「社会的及び職業的自立を図るために必要な能力」と発達障害者支援法における「適切な教育上の配慮」-発達障害学生の支援研修会を実施して-

○●○大学設置基準における「社会的及び職業的自立を図るために必要な能力」と発達障害者支援法における「適切な教育上の配慮」-発達障害学生の支援研修会を実施して-○●○
 3月7日、大学コンソーシアム主催第7回FD・SD研修会「障害学生の就職活動に対する支援-発達障害(診断書の有無に関わりなく)学生の場合も含めて-」を開催した。県内外を含めて30名近くの参加者があった。講師の平井肇氏(株式会社イフ)には、障害者と企業のマッチングを支援する人材紹介サービス・ジョブサーナのキャリアコーディネーターの経験から、様々な実例を含めて報告をしていただいた。質疑応答も含めて強く感じたことは、多くの大学関係者が、発達障害学生の支援、特に就職支援について方策を探しあぐねているという事実である。
平成22年、大学設置基準に追加された条項に「第四十二条の二 大学は、当該大学及び学部等の教育上の目的に応じ、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び厚生補導を通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする」がある。中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」(平成20年12月24日)の、「グローバルな知識基盤社会や学習社会において,学問の基本的な知識を獲得するだけでなく,知識の活用能力や創造性,生涯を通じて学び続ける基礎的な能力を培うことが重視されつつある」あるいは「大学が幅広く多様な学生を受け入れ,学士課程教育を通じて,自立した市民や職業人として必要な能力を育成していくことが求められる」という文言に基づくものである。日本の大学に課せられた、今最も切実な課題である。
その多様な学生の中に、発達障害学生がいる。例えば、<字を書くのは苦手だがパソコンを使えば文章を書ける。発達障害のある受験生が、AO入試でパソコンの使用を認められ、鳥取大学に合格した。受験を諦める障害者が多いと言われる中、「画期的」>との報道(朝日新聞2月27日夕刊)があり、大学入試センター試験でも昨年度より、発達障害は受験特別措置の一区分として独立し、平成24年度の志願者では125名(昨年度95名)が特別措置を認められた。発達障害の学生の数は、確実に増えてきている。
支援はどうなっているのか。独立行政法人日本学生支援機構が先月発表した大学等における障害学生修学支援実態調査結果によれば、他の障害と同様の授業における支援に加えて、発達障害(診断書の有無を問わず)学生に対する「授業以外の支援」が四年制大学だけでも363大学(前年度210大学)と、支援の多様性が目立つ。東京大学では一昨年、従来からの学生相談所とは別に、<自分の悩みが発達障害に関係あるのではないか>という相談にも応じるコミュニケーションサポートルームを開設した。従来の学生支援の枠組みを超えた対応が求められている。
発達障害者支援法は、全ての高等教育機関に「障害の状態に応じ」た「適切な教育上の配慮」を義務付けている。医師を含めた学外の専門家の協力も得ながら、組織的に対応しなくてはならない。全ての学生に対して、「教育課程」(キャリア教育)においてであれ「厚生補導」を通じてであれ、「卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力」を培うことを目標にした適切な体制が義務付けられている。その一環として、発達障害学生の多様な個性的な「資質」(杉山登志郎『発達障害のいま』講談社の言葉では「発達凸凹」であろう)に応じた個別的な支援が、教室内外で、そして就職支援で必要となっているというわけである。
卒業判定、合格判定・・・毎年この時期に行ってきた仕事のポリシーが文章化され、教育情報として公表される。同時に各大学等には、障害学生支援や就職支援をコアにした学生支援ポリシーの明確化が求められている。例えば、立教大学では新たに「しょうがい学生支援方針」を定めHPで公開している。教育課程におけるポリシーと同様、文章化されて初めて学生支援の「組織間の有機的な連携」は進むことが期待されよう。(文責:教育支援システム研究部門 青野 透)
●○●保健管理センターに新しいカウンセラーが着任されました。本学の学生相談・学生支援の更なる充実のために活動されることを期待します。自己紹介文をいただきました。●○●
3 月1 日に着任しました伊藤大輔と申します。臨床心理学を専攻し,認知行動療法を専門としております。金沢大学に赴任する前は,早稲田大学人間科学学術院で,臨床心理士および日本学術振興会特別研究員(PD)という立場で,カウンセリングの実践や心身の健康に関する研究に携わってまいりました。
具体的には,主に外来の精神科クリニックやデイケア,大学相談室において,成人の気分障害(うつ病)や不安障害,子どもの発達障害などを対象に,認知行動療法に基づいたカウンセリングおよびコンサルテーションを継続的に経験してまいりました。そして,それらと並行して,外傷後ストレス障害(PTSD)患者を対象とした面接調査や,うつ病休職者に対する精神療法の効果研究などにも携わってまいりました。
今後も,これまで私自身が意識してきたように臨床実践と研究活動の両側面を重視する,いわゆる『科学者―実践家モデル(scientist-practitioner model)』 を基盤として業務に励み,その成果を大学教育や学生支援に活かしていきたいと考えております。
●○●既報訂正 3月22日(木)開催予定の研究会は3月28日(水)に延期となりました。
当センター主催研究会は以下のとおりとなります。詳細は当センターHPにてご確認ください。
★第4回評価システム研究会・第10回カリキュラム研究会合同開催
時:3月23日 (金)10時~12時 所:角間キャン パス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:卒業研究 の評価について
報告者:堀井祐介、西山宣昭(大学教育開発・支援センター)
★第5回FD研究会
時:3月23日 (金)13時~15時   所:角間キャンパス総合教育1号館2階会議室
テーマ:ソーシャ ルメディアを使ったアクティブラーニング実践報告
報告者:山田政寛 (大学教育開発・支援センター)
★第5回評価システム研究会・第11回カリキュラム研究会合同開催
時:3月28日(水)13時~15時 所:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:授業改善のためのシラバス作成、成績評価の考え方
報告者:渡辺達雄(大学教育開発・支援センター)
★第6回評価システム研究会・第12回カリキュラム研究会合同開催
時:3月28日(水)15時30分~17時30分 所:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:成績評価ツールとしてのルーブリック
報告者:堀井祐介(大学教育開発・支援センター)