【No.392】
大学教育のアウトカム評価の動向(その1)

○●○第9回大学教育セミナー(金沢大学創基150年記念「講演会・シンポジウム」シリーズ第52回)○●○
日時:2012年3月3日(土)13時30分~17時20分
場所:石川県政記念しいのき迎賓館3階 セミナールームB(石川県金沢市広坂2丁目1番1号)
タイトル:カリキュラムマップ実質化の方策  -学生の到達度確認の仕組み-
趣旨:現在、中教審答申等を受け、3つのポリシー(DP、CP、AP)策定作業が各大学で進められている。既に作  業が完了し3つのポリシーを公表している大学も多い。この流れの中、策定したポリシーを教育活動に具体的に反映させ、教育の質保証に結びつけるべく各種取り組みが行われている。今回は、それらの中から、カリキュラムマップに基づく学生の到達度確認の仕組みについて、その教育的意図、効果、具体的運用、成果を中心に、先駆的に研究、導入されている事例を新潟大学および広島大学からご報告していただく。その上で、本学の取り組み状況を確認し、全体討論を通じて今後の大学における教育の質保証につながる知見を得ることを目指す。
プログラム:
「NBAS-新潟大学の質保証への試み」生田孝至氏(新潟大学理事(教育担当)・副学長)
「広島大学到達目標型教育プログラム(HiPROSPECTS®)における到達度評価の現状と課題」坂越正樹氏(広島大学理事・副学長(教育担当))
「金沢大学における取り組み」西山宣昭(大学教育開発・支援センターセンター長)
○●○ 大学教育のアウトカム評価の動向(その1) ○●○
2月22日に学術総合センターで開催されたIDE高等教育フォーラム「大学教育のアウトカム評価-国際的趨勢と日本の課題」(IDE大学協会・千葉大学・国立教育政策研究所主催)に参加した。国内外で、大学教育の成果(アウトカム)に着目し、かつ測定しようとする動きはますます目立ってきている。フォーラム冒頭で金子元久氏(国立大学財務・経営センター)が問題構図として提起したように、社会的圧力が高まっているのに、大学が変わっていないという印象が強く、何かしろという要求が増大していること、日本では具体的な政策として明確に表れていないものの、早晩何らかの手段が講じられること、アウトカム自体の定義を中心に世界的に錯綜しており、また汎用能力のような重要なアウトカムであるほど把握が困難で、そうした技術的な課題が残っていること、しかしそれらの多様な形態のアウトカム情報(※)の多様な利用方法を視野に入れながら、大学自身がどう位置付け改善にどうつなげていくかがいよいよ重要になってくる。
すでにアメリカではそうした動きが具体化していることは、P.Ewell氏(全米大学経営センター)の報告「アメリカの大学教育評価と大学改革」でも紹介されている。(センターニュースでも何度も触れられているが)アメリカの質保証システムとして、一方で州政府による監督および直接評価(TuningUSAのような達成度基準の標準化や、達成度評価に基づく財政配分=パフォーマンス・ファンディング、など)があり、もう一方で、機関評価と専門分野(プログラム)評価の適格認定制度がある。適格認定に対しては、大学側にとって自己評価・改善の機会となり、また相互評価を行う評価員(ピア・レビュ)として教員の教育が可能であること、さらに制度を通して高等教育界の声を凝集できるなどの利点があるものの、社会に対し大切な情報を提示しておらず、評価に一貫性が欠けており、非効率で、また社会からの理解(信頼)を失っている、といった問題も指摘されてきた。突き詰めると、適格認定とアウトカム評価の二つが必ずしも関係づけられてないということである。「アカウンタビリティ(重視)か改善(重視)か」という基本的な問題は、近年の改革により、適格認定機関が教育機関の改善に資する評価基準や方法を設定し、伝統的な評価から学習アウトカム評価にとって代わられていることに象徴されているとおりである。一部の大学では、そうした外圧をうまく使い、先取りをして(組織内)改革を進めているところもある。 (続く)

※事例として、学習成果そのものであれば①OECDが進めているAHELOの専門分野別能力②アメリカのCLAおよびAHELOのジェネリックスキル能力など汎用能力をみる標準化テストがあり、③日本の学術会議が作成する「参照基準」あるいは英国の分野別参照基準(rubric)のような質的評価があり、他方で学習行動をみるものとして、米国NSSEに代表される学習環境・行動調査などが存在する。(文責:評価システム研究部門 渡辺達雄)
○●○第4回評価システム研究会・第10回カリキュラム研究会合同開催○●○
日時:3月22日(木)10時~12時      場所:角間キャンパス総合教育1号館2階会議室
テーマ:授業改善のためのシラバス作成、成績評価の考え方
報告者:渡辺達雄(大学教育開発・支援センター)
趣旨:授業改善 を実質化するためのツールとしてシラバス、 授業評価アンケートの他に、近年はポートフォリオやルーブリック等が知られ既に活用している大学もあるが、今後カリキュラムマップにもとづき改善を進めていく土台として、改めてシラバスとは何か、到達目標を中心に(シラバスに)どこまで書くべきか、それと表裏一体である成績評価の目的や方法、またそれらを結びつける授業評価アンケートのあり方について、国内の事例も紹介しながら確認し、理解を深めていきたい。
○●○第5回評価システム研究会・第11回カリキュラム研究会合同開催○●○
日時:3月22日(木)13時~15時      場所:角間キャンパス総合教育1号館2階会議室
テーマ:成績評価ツールとしてのルーブリック
報告者:堀井祐介(大学教育開発・支援センター)
趣旨:ディプロ マポリシー(DP)、カリキュラムポリシー(CP)を 効力のあるものとするためには、成績評価が非常に重要となる。近年、米国において、教員の成績評価活動を支えるツールとしてルーブリックが注目されている。ルーブリックを用いることで、教員の側からは、今まで以上に成績評価の可視化を進め、公平性・平等性を担保することにつながり、学生の立場からは、学習に対する目的意識、学習意欲を高めることにつながる。ルーブリックは、また、アウトカムズ測定にも有用とされている。本研究会では、米国大学に対する調査研究に基づき、「ルーブリックとは」、「ルーブリック作成手順」、「ルーブリック事例」について報告を行い、参加者のルーブリックに対する理解を深め、ルーブリック導入の可能性について議論したい。
○●○第6回評価システム研究会・第12回カリキュラム研究会合同開催○●○
日時:3月23日 (金)10時~12時    場所:角間キャン パス総合教育1号館2階会議室
テーマ:卒業研究 の評価について
報告者:堀井祐介、西山宣昭(大学教育開発・支援センター)
趣旨:第2期中期計画【13-1】として、「卒業時における学力の達成度を評価し、在学生の学力向上にフィードバックさせるシステムを開発する」と明記されている。卒業時までの学力・能力の獲得において、4年間の授業科目における学習成果の累積とともに、4年次の卒業研究の寄与は極めて大きいと考えられる。当センターでは、卒業時における学力の達成度を評価する基準について検討するために、国内の卒業研究を評価する取組
について情報収集を行ったので、その結果について報告する。一方、米国では、キャップストーンと呼ばれる科目がある。日本における卒業研究に相当する場合もあり、卒業時における学習成果を測定するための科目として位置付けられている。このキャップストーンにおいて、学生がどのように評価され、それがアウトカムズ測定につながっているのか、米国における事例等を紹介する。
○●○第5回FD研究会○●○
日時:3月23日 (金)13時~15時    場所:角間キャンパス総合教育1号館2階会議室
テーマ:ソーシャ ルメディアを使ったアクティブラーニング実践報告
報告者:山田政寛 (大学教育開発・支援センター)
趣旨:近年、プロジェクト学習などのアクティブラーニングが多くの大学で導入されてきており、必修科目とする大学も増えてきている。アクティブラーニングでは、世の中に流れている情報を授業の中で活用すること、または授業で学んだことが社会で活かせるなど、社会との接点を作ることがアクティブラーニングの1つの重要な要素である。社会との接点を作 る方法の1つとして今、注目されているのがTwitterやFacebookと いったソーシャルメディアである。本研究会ではアクティブラーニングにおけるソーシャルメディアの教育利用について研究知見を引用しながら、実践事例を紹介し、報告者が1年間行ってきた実践について報告をする。また ソーシャルメディアを使った学習の評価についても議論を行いたい。