【No.388】
「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップ参加報告2

○●○ 「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップ参加報告2 ○●○
2011年12月16日 東京大学本郷キャンパスで開催された「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップに参加した。前回のセンターニュース第383号では”Quest to Learn”という、6年生から12年生対象の公立の中高一貫校で、ゲームデザイナーと教育専門家が協力をして、カリキュラム開発と学習環境デザインを行って開設されたゲーム型学習の公立学校について報告を行った。2回目は東京大学 池尻良平氏による”Find the Future”について報告をする。
”Find the Future”はニューヨーク公共図書館が舞台となった現実の行動とモバイル上のアプリケーションと連動したゲーム型学習である。図書館に所蔵されている、功績がある人物の文献や展示品にまつわるストーリーを若い人たちが読んで、自分の未来について考え、文書化し、図書館に所蔵する流れになっている。開催時間は夜8時から朝6時までで、図書館が閉館している時間帯であった。始めに参加者(18歳以上約500名)を3人から6人程度にグループ分けし、目的が「自分の未来を本に残すこと」と指示され、その自分の未来を考えるきっかけになる、図書館に隠された100のストーリーをiPhone、またはAndroidのアプリケーションを使って、読んでいく。そして、そのストーリーに関係する文書や展示物を探し、対応する文書・展示物に張られているQRコードからデータを取り込む。データを取り込むことでアプリケーション上では、そのストーリーを「発見した」という処理になる。そのストーリーに関係するものを発見した褒美として、カードが与えられ、目標達成に向けた動機付けとなるようにデザインされている。参加者は「発見した」ストーリーをもとに、自分の未来について考え、文書化し、図書館に所蔵される。この試みは評価が高く、Webアプリケーションで提供されており、書いた文書を参加者で共有することができる。
池尻良平氏は”Find the Future”のゲームフルな点を6点に整理した。
1.図書館が持つ豊富で面白いリソースを利用していること
2. 夜の図書館というワクワクする舞台の用意されていること
3. オンラインによる誘導と実際の空間との連動していること
4. 時間毎に章を埋めていくという、わかりやすいイベント進行メタファーが使われていること
5. 自分の未来を考えるという、敷居が低いこと
6. みんなが書いたものが1冊の本に製本されるという達成感と目標の共有がされていること
この事例にて、授業ではない、インフォーマルな状況における学習をどのようにゲームフルにできるのかということについて、2点挙げられた。1点目は活用されている「お宝」を探すということであった。その「お宝」というものは、その場が持つ資源であり、”Find the Future”における文書・展示物であることや、「人のノウハウ」というのも「お宝」として発見していくという、ゲームフルなデザインは可能であろうということであった。2点目としては、人が来なくなった(訪問者数が減っていることも含まれていると思われる)「空間」の活用であった。訪問者数が減っている場とその場にある展示物とつなぎ、ストーリー、行動フローをデザインし、その仕掛けをつくることで、人にとって大変貴重な学びの場に変えることができる。非常に興味深い事例であった。
 大学教育にそのまま転用するということは、あくまで事例であるため、難しいが、このようなイベントは地域におけるイベントや地域を活性化していく事業と関係が強くあり、ゲームフルに設計することを学生にさせるといった、地域と連携したプロジェクト型学習への応用として大きなヒントになるのではないだろうか。今後もゲーミフィケーション、ゲームの教育応用について情報収集を行っていく。
参考情報
国立国会図書館関西館 カレントアウェアネス ニューヨーク公共図書館による真夜中のゲームイベント“Find the Future”http://current.ndl.go.jp/node/17990
Find the Future  http://game.nypl.org/#home
 (文責 教育支援システム研究部門 山田政寛)

○●○ 金沢大学FD・ICT教育推進室シンポジウム「変わりゆく大学生の生活とモバイル、
    ポータルの役割~学生支援のための情報技術を考える~」開催のご案内 ○●○
  近年、学生の生活が多様化し、それとともに学生の精神的もろさも目立つようになってきました。そのため、大学の学生支援業務が教育から日常生活にまで広がり、それが多くの高等教育機関において対応重視項目となりつつあります。その一方で、わたしたちの日常生活においては、情報技術の発展により、コミュニケーションがユビキタス的特性を持ち、いつでもどこでも気軽にコミュニケーションできるようになってきました。さらに、近年になってTwitterのようなソーシャルメディアの利用がますます普及し、「必要な時に即時に情報が得られる」環境となってきました。
ところで、先の東日本大震災では、携帯電話回線のいち早い復旧とソーシャルメディアの相乗効果により、世界に被害状況や支援情報が迅速に伝えられました。本学でも、学生の安否確認にこれらのツールが活躍し、それらが緊急事態における学生支援に対しても有効であることを再認識しました。もちろん、これにはスマートフォンといったモバイルとの相乗効果があったことは言うまでもありません。
 このように、学生生活が多様化していく流れの中で、日常的な学生支援、さらに突如として起こりうる緊急事態における学生支援において、ポータルシステムは今後ますます重要な役割を果たしていくものと思われます。それはモビリティーが高いデバイスやツール類と掛け合わせることで、情報を一元管理できるポータルの役割、効果をより強くするものとなります。本セミナーでは、多様化する学生生活の中で、モバイル備品・機器とポータルシステムの接点という切り口から、どういう学生支援が可能であるのかについて議論を行います。
主催:金沢大学FD・ICT教育推進室
日時:2012年2月11日(土)14時00分~17時30分
場所:金沢大学サテライトプラザ3階(金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内)
プログラム  (13時30分 受付開始)
司会:山田 政寛(大学教育開発・支援センター 准教授、FD・ICT教育推進室 実務委員会委員長)
14時00分 開会の挨拶  樫見 由美子 副学長(教育担当理事)
14時05分 趣旨説明  山田 政寛
14時10分 講演 『入退出履歴を用いたうつ病による行動変化検知の可能性について』
不破 泰 氏(信州大学 総合情報センター長 教授)
15時00分 講演 『スマートフォンを用いた学習・学生支援 ~青山学院大学のケースについて』
伊藤 一成 氏(青山学院大学 社会情報学部 准教授)
15時50分 『アカンサスポータルの利用からみる学生生活とその役割 ~災害・緊急時の学生支援』森 祥寛 (総合メディア基盤センター 助教)
16時30分 パネルディスカッション
17時25分 閉会の挨拶  中島 健二(経済学類教授 FD・ICT教育推進室長、学長補佐)