【No.386】
基準(standards)、学習成果(outcomes)、質(quality)とは(ASPAの定義)

○●○基準(standards)、学習成果(outcomes)、質(quality)とは(ASPAの定義)○●○

現在、「専門分野別教育プログラム認定・評価導入への実証的研究」(基盤研究(C)22530912)を進めるため、欧州及び米国の専門分野別教育プログラム認定・評価についての調査を進めている。昨年度は、デンマークにおける教育プログラムアクレディテーションについての調査を行ったが、今年度は、米国における専門分野別アクレディテーションについての調査を行っている。その中で、the Association of Specialized and Professional Accreditors(以下、ASPA http://www.aspa-usa.org/)という団体の存在を知った。ASPAとは、高等教育における専門分野別・専門職業別アクレディテーション機関により構成されている団体であり、アクレディテーションを通して教育の質を高めるための活動を行っている。そのミッションは以下の通りである。

  • 教育プログラム、教育機関、アクレディテーション機関における協働作業を支援する
  • 関係者間での議論や教育面での支援活動を通して、教育およびアクレディテーションにおける質の向上を目指す
  • 学生の学習および卒業生の能力に焦点をあてるよう仕向ける
  • アクレディテーション機関およびその加盟教育機関・教育プログラムの健全性、独立性、自律性を擁護する

 このASPAがアクレディテーションについてまとめたいくつかの文書の中に、基準(standards)、学習成果(outcomes)、質(quality)について書かれたものがあったので、それの要約を以下に紹介させていただく。原文は、以下のURLを参考にしていただきたい。

http://aspa.awmdemo.com/sites/default/files/AccredRefGuide-1-StdsOutcomesQuality_1.pdf

 ASPAのアクレディテーションクイックリファレンス:基準、学習成果、質(要約)

 アクレディテーション基準とは、教育の質に関する基本的要素について期待されていることを定義・設定したものである。機関別アクレディテーション基準は、機関全体に関して述べられている。専門分野別アクレディテーション基準は、様々な学問分野や専門職に関する特定の教育プログラムに関して述べられている。具体的なアクレディテーション基準とは、「機関、教育プログラム、個々のレベルにおけるより詳細な活動の枠組みを提供し、教育成果向上や学位や資格の一貫性を担保するのに必要な教育面および運営面での問題を扱い、アクレディテーション判定の基本として当該学問分野や高等教育の専門家による合意を反映させた」ものである。ただし、基準は、標準化を意味するものでは無く、基準に適合している限り、柔軟性と多様性は許容される。また、基準という用語は、「最低基準」を意味するものでは無い。それは、絶対的要求水準を意味しており、当該専門分野におけるレベル、特性、複雑さに応じたものである。

 学習成果とは、結果であり、「教育成果:学問および/または専門職業に関する学生の知識と技能からわかる教育成果、入学者のレベル、卒業率、学生ローン返済率など測定可能な指標、在学期間中の学習スケジュール、教育プログラムにおける科目接続の適切性、各種規程、締切などの手続きに関するもの、図表、アンケート、それらの分析・解釈など」により示される。つまり、上記基準に基準に適合しているかどうかの証拠(根拠)を提供することにより示すことが出来るものである。特に、学生の学習と到達度が重要であり、専門性を備えた評価者は、基準に基づき、特定の学問分野、専門職業に関する学問的内容に特に注目する。

 教育の質とは、個々人の知識、技能、到達度の内容に関わるものであり、教育機関または教育プログラムにおける教育の質は、過去、現在、将来において、学生に対する教育の結果が、学生の成長を支援出来ていたかどうかによって判断される。質は結果のレベルである。

 上記は、あくまでも、アクレディテーションの視点からの基準(standards)、学習成果(outcomes)、質(quality)についての記述に焦点をあてて要約したものである。それぞれの定義を短い言葉で言い切っているため、わかりやすく、解釈に幅を持たせられる形となっている。これら3つの用語については、大学教員の日常では当たり前のことで特に意識せずに扱っているかもしれないが、今一度確認しておく必要があるのではないだろうか。今後、金沢大学において、教育の質、学習成果に絡め、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー、アドミッションポリシー等の実質化の議論を進める際に、上記定義が少しでも参考になれば幸いである。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

 ○●○金沢大学FD・ICT教育推進室シンポジウム「変わりゆく大学生の生活とモバイル、ポータルの役割~学生支援のための情報技術を考える~」開催のご案内 ○●○

  近年、学生の生活が多様化し、それとともに学生の精神的もろさも目立つようになってきました。そのため、大学の学生支援業務が教育から日常生活にまで広がり、それが多くの高等教育機関において対応重視項目となりつつあります。その一方で、わたしたちの日常生活においては、情報技術の発展により、コミュニケーションがユビキタス的特性を持ち、いつでもどこでも気軽にコミュニケーションできるようになってきました。さらに、近年になってTwitterのようなソーシャルメディアの利用がますます普及し、「必要な時に即時に情報が得られる」環境となってきました。
ところで、先の東日本大震災では、携帯電話回線のいち早い復旧とソーシャルメディアの相乗効果により、世界に被害状況や支援情報が迅速に伝えられました。本学でも、学生の安否確認にこれらのツールが活躍し、それらが緊急事態における学生支援に対しても有効であることを再認識しました。もちろん、これにはスマートフォンといったモバイルとの相乗効果があったことは言うまでもありません。
 このように、学生生活が多様化していく流れの中で、日常的な学生支援、さらに突如として起こりうる緊急事態における学生支援において、ポータルシステムは今後ますます重要な役割を果たしていくものと思われます。それはモビリティーが高いデバイスやツール類と掛け合わせることで、情報を一元管理できるポータルの役割、効果をより強くするものとなります。本セミナーでは、多様化する学生生活の中で、モバイル備品・機器とポータルシステムの接点という切り口から、どういう学生支援が可能であるのかについて議論を行います。
主催:金沢大学FD・ICT教育推進室
日時:2012年2月11日(土)14時00分~17時30分
場所:金沢大学サテライトプラザ3階(金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内)
プログラム  (13時30分 受付開始)
司会:山田 政寛(大学教育開発・支援センター 准教授、FD・ICT教育推進室実務委員会委員長)
14時00分 開会の挨拶  樫見 由美子 副学長(教育担当理事)
14時05分 趣旨説明  山田 政寛
14時10分 講演 『入退出履歴を用いたうつ病による行動変化検知の可能性について』
不破 泰 氏(信州大学 総合情報センター長 教授)
15時00分 講演 『スマートフォンを用いた学習・学生支援 ~青山学院大学のケースについて』
伊藤 一成 氏(青山学院大学 社会情報学部 准教授)
15時50分 『アカンサスポータルの利用からみる学生生活とその役割 ~災害・緊急時の学生支援』森祥寛 (総合メディア基盤センター 助教)
16時30分 パネルディスカッション
17時25分 閉会の挨拶  中島 健二(経済学類教授FD・ICT教育推進室長、学長補佐)

 ○●○アカンサスFD○●○

大学教育開発・支援センターでは、FDをはじめとする各種高等教育関連情報をアカンサスポール上の<アカンサスFD>コースに掲載しています。アカンサスポータルにログイン後、<時間割>-<その他情報>-<FD/SD>-<アカンサスFD>でアクセスできますので、是非ご覧ください。今回は、米国における教育の質保証に関する情報を紹介させていただきます。解説の<国際的動向>の欄に米国における教育の質保証に関するルーブリックの情報をアップロードしています。昨年12月に開催された看護学専攻FDでのルーブリック説明資料です。