【No.383】
「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップ参加報告1

○●○ 「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップ参加報告1 ○●○
12月16日 東京大学本郷キャンパスで開催された「ゲームフルな教育をデザインする」ワークショップに参加した。近年、とある人間の行動に対して、愛着心や没入感を高める手法としてゲーミフィケーションが注目を浴び、公共事業やビジネスに適用するなど世界的に始まっている。本ワークショップでは教育にゲーミフィケーションの手法を応用し、デザインすることを検討したものであった。始めに東京大学の藤本徹氏より、「Quest to Learn:学校カリキュラムのゲーミフィケーション事例」について報告がなされた。”Quest to Learn”は6年生から12年生対象の公立の中高一貫校であり、ゲームデザイナーと教育専門家が協力をして、カリキュラム開発と学習環境デザインを行って解説されたゲーム型学習の公立学校である。公立学校であるため、教育行政関係者とも連携を行い、マッカーサー財団等からの資金を得て、運営されている。基本カリキュラムはニューヨーク州のカリキュラム基準に沿い、教科統合型のカリキュラムになっている。ゲーム的要素は全体的に導入されており、学習課題をミッション、小課題をクエストとして提示し、情報収集、共有、征服、成長といったゲーム的メタファーを導入し、クエストをクリアしていく。最後にプロジェクト課題として「ボスレベル」のものが与えられ、2週間ほどかけて、プロジェクト課題に取り組む。最終評価では、成績ではなく、称号を与え、クエストの達成度を可視化する仕組みが取り入れられている。クエスト等の実際の学習は、物事の仕組みを理解して、ルールやモデルの構成するものになっているという。たとえば、夏休みの課題として、空間調査を行うクエストがある。このクエストでは、生徒が訪問する場所を決定し、その場所の絵を書いて、様子を説明させ、構造図を書かせることをさせる。他にも遺伝子の仕組みを理解させるために、遺伝子ゲームを作るために遺伝子に関する情報収集や理解を深め、ゲームデザイナーに情報を伝え、ゲーム導入部の説明文を書くといった学習活動もある。実際にゲームを作成する過程で必要とされる知識、行動と学習項目とカリキュラムが合致している。教育評価手法も多様であり、ルーブリックだけではなく、質問への回答、表現解釈基準(絵や写真などの発表評価)や会話分析まで評価基準に取り入れている。まさに学校全体をゲーミフィケーションでデザインされており、ゲームデザイナー、教育工学研究者と教育行政担当者が連携した社会的な大規模プロジェクトと言える。研究知見が活用され、教育・学習という活動に対して、生徒の「楽しむ」気持ちを高め、没入させる成果を挙げている。
大学教育において、教育を専門とした研究者でもない限り、教育をデザインするために必要な理論や技法というものに触れる機会はFD活動に積極的な大学教員でもない限り、数少ないと思われる。1つの授業をデザインする時にでも、学習目標を定義した後、学生が行うべき学習行動をリスト化し、学生が「楽しく」活動する仕組みとしてゲーミフィケーションは1つの有効な検討材料になろう。勘違いして欲しくないのは、ゲーミフィケーションはゲームを作ることではない。学生が取り組む活動や教材と学生、または教員と学生とのインタラクションを楽しんでもらうための、1つの方法論である。教育に応用するならば、教育・学習に対する学生の没入感を高めるための、教授設計法として理解してもらうのが一番良いであろう。教授設計の1つとして、検討しても良い一要素とではないだろうか。次回の著者担当回では図書館やビジネスのゲーミフィケーション事例について紹介をする。
 (文責 教育支援システム研究部門 山田政寛)
○●○ 金沢大学FD・ICT教育推進室シンポジウム「変わりゆく大学生の生活とモバイル、
    ポータルの役割~学生支援のための情報技術を考える~」開催のご案内 ○●○
  近年、学生の生活が多様化し、それとともに学生の精神的もろさも目立つようになってきました。そのため、大学の学生支援業務が教育から日常生活にまで広がり、それが多くの高等教育機関において対応重視項目となりつつあります。その一方で、わたしたちの日常生活においては、情報技術の発展により、コミュニケーションがユビキタス的特性を持ち、いつでもどこでも気軽にコミュニケーションできるようになってきました。さらに、近年になってTwitterのようなソーシャルメディアの利用がますます普及し、「必要な時に即時に情報が得られる」環境となってきました。
ところで、先の東日本大震災では、携帯電話回線のいち早い復旧とソーシャルメディアの相乗効果により、世界に被害状況や支援情報が迅速に伝えられました。本学でも、学生の安否確認にこれらのツールが活躍し、それらが緊急事態における学生支援に対しても有効であることを再認識しました。もちろん、これにはスマートフォンといったモバイルとの相乗効果があったことは言うまでもありません。
 このように、学生生活が多様化していく流れの中で、日常的な学生支援、さらに突如として起こりうる緊急事態における学生支援において、ポータルシステムは今後ますます重要な役割を果たしていくものと思われます。それはモビリティーが高いデバイスやツール類と掛け合わせることで、情報を一元管理できるポータルの役割、効果をより強くするものとなります。本セミナーでは、多様化する学生生活の中で、モバイル備品・機器とポータルシステムの接点という切り口から、どういう学生支援が可能であるのかについて議論を行います。
主催:金沢大学FD・ICT教育推進室
日時:2012年2月11日(土)14時00分~17時30分
場所:金沢大学サテライトプラザ3階(金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内)
プログラム  (13時30分 受付開始)
司会:山田 政寛(大学教育開発・支援センター 准教授、FD・ICT教育推進室 実務委員会委員長)
14時00分 開会の挨拶  樫見 由美子 副学長(教育担当理事)
14時05分 趣旨説明  山田 政寛
14時10分 講演 『入退出履歴を用いたうつ病による行動変化検知の可能性について』
不破 泰 氏(信州大学 総合情報センター長 教授)
15時00分 講演 『スマートフォンを用いた学習・学生支援 ~青山学院大学のケースについて』
伊藤 一成 氏(青山学院大学 社会情報学部 准教授)
15時50分 『アカンサスポータルの利用からみる学生生活とその役割 ~災害・緊急時の学生支援』森 祥寛 (総合メディア基盤センター 助教)
16時30分 パネルディスカッション
17時25分 閉会の挨拶  中島 健二(経済学類教授 FD・ICT教育推進室長、学長補佐)

○●○ 「第4回授業改善とFDに関する教員アンケート」へのご協力のお願い ○●○
本アンケートは、第2期中期計画【13-2】・平成23年度計画に沿って、所属部局のカリキュラムによって達成されるべき学習成果、および担当授業科目において設定されるべき学習目標をどのように考え、当該カリキュラムおよび担当授業科目が実際にそのような学習成果、学習目標を達成しているかを各教員がいかに自己評価しているかについてその実態を把握しようとするものです。アンケート結果は、教育企画会議で報告し、各部局でのFD活動にご活用いただきます。趣旨をご理解いただき、アンケート回答にご協力いただきますようお願いいたします。