【No.382】
大学におけるIRの可能性について

○●○ 大学におけるIRの可能性について ○●○
2011年12月4日に同志社大学今出川キャンパスで開催された大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム「相互評価に基づく学士課程教育質保証システムの創出―国公私立4大学IRネットワーク」の第2回IRシンポジウムに参加した。同プログラムは、同志社大を中心に、北海道大、大阪府立大、甲南大の4大学が共同でIR(Institutional Research:機関調査)を進めており、今年が事業の最終年度である。IRそのものは、大学に関わる様々な情報の収集・分析と報告により、大学の戦略策定・分析やエンロールメント・マネジメント、財務管理などに役立たせる他に、学習成果のアセスメント、教育プログラムの検討・効果測定、さらに認証評価に有効に応えられる根拠データの蓄積・提示など、(学士課程)教育の質向上に向けたガバナンス(教育改革)を支援する仕組みとしても有効である。学習成果アセスメントに関してはとくに、定期試験やレポート・卒業研究などの方法で評価しGPA等で表れる【直接評価】と、学生調査を代表に学習行動や広く大学生活や教育プログラム満足度を測定して、学習プロセスを評価する【間接評価】を効果的に結び付けることが重要で、IRはこの部分で大きな可能性を有している。つまり学生にとって、在学中の学習がどのような成果に、どのように結び付いているのかが把握でき、またそこから大学教育そのものの効果も読み取ることができるというわけである。
さらに大学間連携で行うことは、 調査結果分析を大学間で比較検討し(ベンチマーク)、各大学の特色や重要課題に対する対策のあり方を相互評価できるという点で「標準性の検証」が、かつ各大学の教育プログラムの成果指標とも組み合わせて活用できるという点で「個別性の充実」も確保できると中核メンバーである山田礼子氏(同志社大教授)は述べている。
シンポジウムでは、4大学の各固有のシステムから共有できるデータをまとめ分析する共通のIRシステム構築のプロセスが報告されたことに加え、各大学での個々の取り組みも紹介された。北海道大から、単位の実質化や学習時間確保の実績確認と改善、大阪府立大は教育体制の再編とカリキュラム改革の検証、甲南大からベンチマークから英語の到達目標の制定について、それぞれ報告がなされたが、印象深かったのは、北海道大の学生の通学時間(居住形態と関連あり)と学習時間に関係があり、単位の実質化に向け自宅学習を増やすよう仕向ける努力を行った成果が、IR調査結果から読み取れ、北海道大学生は(他大学と比べても)よく勉強していることが分かったこと、一方で女性の学習方法の変化や授業満足度の低下傾向なども把握でき、共同IRに参加したことで学生の実態を改めて教員が理解できた(その機会になった)ようで、成果をいろいろな観点で活用していることであった。
今後、加盟大学を広げてIRコミュニティーをつくり、各大学のIRにかかる負担を軽減できるようなシステム開発だけでなく、データ分析ができる人材の育成も求められ、PDCAサイク ルの実質化のために、大学情報を活用することが重要で、このことは様々な場所で文部科学省が強調しているところである。一方で、必要なデータの所在が把握できないとか、各部局で収集・分析した結果が共有できないとか、大学全体・各部局の取組の検証ができていない等といった学内ガバナンスのあり方も今後検討していかなければならないであろう。
 (文責 評価システム研究部門 渡辺達雄)

○●○ 金沢大学FD・ICT教育推進室シンポジウム「変わりゆく大学生の生活とモバイル、
ポータルの役割~学生支援のための情報技術を考える~」開催のご案内 ○●○
 近年、学生の生活が多様化し、それとともに学生の精神的もろさも目立つようになってきました。そのため、大学の学生支援業務が教育から日常生活にまで広がり、それが多くの高等教育機関において対応重視項目となりつつあります。その一方で、わたしたちの日常生活においては、情報技術の発展により、コミュニケーションがユビキタス的特性を持ち、いつでもどこでも気軽にコミュニケーションできるようになってきました。さらに、近年になってTwitterのようなソーシャルメディアの利用がますます普及し、「必要な時に即時に情報が得られる」環境となってきました。
ところで、先の東日本大震災では、携帯電話回線のいち早い復旧とソーシャルメディアの相乗効果により、世界に被害状況や支援情報が迅速に伝えられました。本学でも、学生の安否確認にこれらのツールが活躍し、それらが緊急事態における学生支援に対しても有効であることを再認識しました。もちろん、これにはスマートフォンといったモバイルとの相乗効果があったことは言うまでもありません。
 このように、学生生活が多様化していく流れの中で、日常的な学生支援、さらに突如として起こりうる緊急事態における学生支援において、ポータルシステムは今後ますます重要な役割を果たしていくものと思われます。それはモビリティーが高いデバイスやツール類と掛け合わせることで、情報を一元管理できるポータルの役割、効果をより強くするものとなります。本セミナーでは、多様化する学生生活の中で、モバイル備品・機器とポータルシステムの接点という切り口から、どういう学生支援が可能であるのかについて議論を行います。
主催:金沢大学FD・ICT教育推進室
日時:2012年2月11日(土)14時00分~17時30分
場所:金沢大学サテライトプラザ3階(金沢市西町三番丁16番地 金沢市西町教育研修館内)
プログラム  (13時30分 受付開始)
司会:山田 政寛(大学教育開発・支援センター 准教授、FD・ICT教育推進室 実務委員会委員長)
14時00分 開会の挨拶  樫見 由美子 副学長(教育担当理事)
14時05分 趣旨説明  山田 政寛
14時10分 講演 『入退出履歴を用いたうつ病による行動変化検知の可能性について』
不破 泰 氏(信州大学 総合情報センター長 教授)
15時00分 講演 『スマートフォンを用いた学習・学生支援 ~青山学院大学のケースについて』
伊藤 一成 氏(青山学院大学 社会情報学部 准教授)
15時50分 『アカンサスポータルの利用からみる学生生活とその役割 ~災害・緊急時の学生支援』森 祥寛 (総合メディア基盤センター 助教)
16時30分 パネルディスカッション
17時25分 閉会の挨拶  中島 健二(経済学類教授 FD・ICT教育推進室長、学長補佐)

○●○ 「第4回授業改善とFDに関する教員アンケート」へのご協力のお願い ○●○
本アンケートは、第2期中期計画【13-2】・平成23年度計画に沿って、所属部局のカリキュラムによって達成されるべき学習成果、および担当授業科目において設定されるべき学習目標をどのように考え、当該カリキュラムおよび担当授業科目が実際にそのような学習成果、学習目標を達成しているかを各教員がいかに自己評価しているかについてその実態を把握しようとするものです。アンケート結果は、教育企画会議で報告し、各部局でのFD活動にご活用いただきます。趣旨をご理解いただき、アンケート回答にご協力いただきますようお願いいたします。