【No.371】
サンフランシスコ州立大学におけるGeneral Educationの構成

○●○サンフランシスコ州立大学におけるGeneral Educationの構成○●○
  2011年9月11日から17日まで、大学教育開発・支援センター事業費により、教養教育のアウトカムズアセスメントがどのように行われているのかを調べるため、米国サンフランシスコおよびロサンゼルスへ訪問調査を行った。訪問した機関は地区アクレディテーション機関が1つ、大学が4つであった。
 ・ WASC(Western Association of Schools and Colleges)
 ・ San Francisco State University
 ・ UC Berkeley
 ・ California State University Los Angels
 ・ University of Southern California
 今回は、サンフランシスコ州立大学(以下SFSU)におけるGeneral Education(以下GE)の構成について紹介させていただく。SFSUは23あるカリフォルニア州立大学の一つであり、全てのカリフォルニア州立大学は総長名で出されるEO 1033(California State University system wide policy, http://www.calstate.edu/EO/EO-1033.html)に従い幅広いGEを提供することが求められている。また全米カレッジ・大学協会(AAC&U:Association of American Colleges and Universities)が進めるLiberal Education and America's Promise (LEAP)キャンペーン(http://www.aacu.org/leap/vision.cfm)に記述されている4つのEssential Learning Outcomesの枠組みに適合するようGEを定義している。
 これらを受けてSFSUではGEを構築している。その特徴は、1.GEを大きく4領域に分け、それぞれに取得単位枠を設定、2.高学年(3、4年生、Upper-Division)にもGE必修枠を設定していることである。4領域とは、A.英語によるコミュニケーションおよびクリティカルシンキング(9単位)、B.自然科学探究および定量的推論(12単位)、C.芸術人文科学(12単位)、D.社会科学(12単位)である。このほかに、E.生涯学習、自己啓発の領域を含めて全体で48単位以上がGE枠として設定されている。ちなみに卒業要件単位は120単位である。この48単位の内9単位がUpper-Divisionに割り当てられ、それらは、1. Topical Perspectives Option, 2, Integrated Studies Option, 3. Study Abroad Optionのどれか3つの方法で履修することとされている。Topical Perspectives Optionは「創造性・イノベーション・発明」、「環境との相互連関」、「人類の多様性」、「倫理的思考・行動」、「サンフランシスコ・カリフォルニアでの暮らし」、「社会正義と市民知識・活動」、「不朽の理想・価値観・達成感」、「世界を見よう」、「個人と社会の幸福」の9つのトピックにおいて上記B、C、Dの科目を緩やかに組み合わせて履修する形態である。Integrated Studies Optionは、同じく3領域を組み合わせた履修であるが、より統一性、緊密性を高めてパッケージ化されたものである。Study Abroad Optionsも同様に組み合わせての履修であるが、9単位の内最低5単位を海外提携校で履修する形態である。
 このように領域別に枠を設定している点は、かつての日本の大学における一般教育に似たシステムであるが、高学年時(Upper-Division)にGEを割り当てている点は非常に興味深く、金沢大学における教養教育のくさび形履修をシステムとして強制的に実現しているものと考えられる。
 次に、このようにして構築されているGEのアウトカムズアセスメントとして言及されているLEAPについても簡単に紹介させていただく。LEAPで参照されているアウトカムズは、「科学、数学、社会科学、人文科学、歴史、言語、芸術を学ぶことを通して、人類文化、物質世界、自然世界に対する知識」、「推論・分析、批判的・創造的思考、文語・口語コミュニケーション、数的処理能力、ITリテラシー、チームワーク・問題解決などの知性と実践技能」、「市民知識および地域・世界における市民活動、異文化に対する知識と能力、倫理的思考・行動、生涯学習に対する基礎的能力獲得などを通して身につける個人および社会における責任感」、「一般的学習および専門に特化した学習の両方において学んだことを統合し応用できる力」を習得することとされている。
 米国大学におけるGEと日本の大学における教養教育は全く同じものではないが、最終的に大学卒業時に身につけるべき能力を国際的に揃えることが求められている現在、教養教育、専門教育を通して獲得するとされている「学士力」と上記LEAPで参照されているアウトカムズはかなりの部分が重複している。
 金沢大学においても、すでに学類毎にCP・DP策定WGでの議論を反映させ、専門科目を中心に学類毎にディプロマポリシー、カリキュラムポリシーは策定されている。今後は、教養的科目としての共通教育科目についても、「専門教育への導入としての教養教育」、「一般市民として身につけておくべき教養のための教養教育」などのポリシーを再検討し、金沢大学全体として「学士力」構築カリキュラムのあり方を考える必要があると思われる。なお、その他機関、大学で得た情報に基づく教養教育のアウトカムズアセスメントについては、10月以降の研究会でその詳細は報告させていただく予定である。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

○●○金沢大学創基150年記念「講演会・シンポジウム」シリーズ特別回○●○
金沢大学大学教育開発・支援センター主催(後援:大学コンソーシアム石川)
第11回学生・学習支援研究会
「東日本大震災被災地の半年を見つめて-記者は考え・伝える-」
時:9月30日 (金) 17時30分~19時
所:石川県政記念しいのき迎賓館 3階 セミナールームB
講師:岩波精(朝日新聞東京本社社会グループ記者)
 「目の当たりにした悲惨な光景が忘れられない。今後も復興活動に取り組みたい」「微力だが無力ではない自分を実感した」「人力での泥かき作業の困難さを痛感した。復旧には時間がかかる。それぞれの立場で長期的な支援を考え実行していくことが大切だ」・・・東日本大震災の被災地でボランティアとして活動した学生たちの声です。市民の方々とともに、自然との向き合い方や社会の在り方について思考を深めた学生たちは、自らの視点で震災を語り継ぐことになります。
 さて、今回、被災地・宮城県石巻市で子どもたちを中心に取材し続けてきた朝日新聞東京本社の岩波記者に、現地で撮影した写真数十枚とともに、記事にできなかったことを含め報告してもらうことにしました。記者は、9月7日~11日には、同紙教育欄「いま子どもたちは」シリーズ連載記事「清津峡にて」で、<福島県大熊町に暮らしていたが、震災後、新潟県十日町市の清津峡にある母の実家に身を寄せている>小学生姉妹の半年を描いています。復旧支援のために私たちはなにができるのか、一緒に考えてみたいと思います。
 本研究会はこれまで、学内角間キャンパスで開催してきましたが、今回は、大学コンソーシアム石川のご後援を得て、他の教育機関の教職員、学生・生徒のみならず、広く市民の方々にもご参加いただくべく、しいのき迎賓館(金沢市役所向かい)で開催させていただくことになりました。お誘いあわせのうえ、ご参加ください(参加費無料・予約不要)。
問い合わせ先:金沢大学大学教育開発・支援センター 教育支援システム開発部門
青野 透(aono@staff.kanazawa-u.ac.jp  ℡:076-264-5773)