【No.369】
教職員の相互の信頼を確立するFD・SD 第15回大学行政管理学会研究集会参加報告

○●○教職員の相互の信頼を確立するFD・SD-第15回大学行政管理学会研究集会参加報告-○●○
 9月3日・4日、「2011年度第15回定期総会・研究集会 全体テーマ:今、大学の果たす役割?震災後の新たな取り組みを考える?」が、当地において、ホテル金沢および金城大学を会場に開催された。
 筆者は新会員として、二日目の研究発表において、「コンソーシアム主催FD・SDの取組について-戦略的大学連携GPの成果として-」と題して報告する機会を得た。共同研究者と概要は以下のとおりである。
<発表者:青野 透、共同研究者:林 透(北陸先端科学技術大学院大学 大学院教育イニシアティブセンター 特任助教)、川上 正文(金城大学 事務局長)、大野 加奈子(大学コンソーシアム石川 主幹)>
<概要:大学コンソーシアム石川(放送大学を含む石川県内の全20高等教育機関が参加、平成18年4月1日発足)は、単位互換等による高等教育機関間の教育交流に関する事業を中心に行ってきたが、平成20年度からは、戦略的大学連携GP(代表校:金沢大学)により、各高等教育機関の連携を強化する一環として、各機関のFD・SD取組のノウハウを相互提供・共有化することに取り組んだ。具体的には、FD専門委員会のもとでさまざまなFD・SDを実施しながら、連携によるFD・SDのあり方を検討してきた。GP最終年度の平成22年度は、12回のFD・SDを主催し、計600名以上の参加者を得ることができた。本報告では、それらの企画趣旨を確認し、参加者アンケート結果などをもとに、大学院大学・大学・短大・高専という種々の高等教育機関が参加するコンソーシアムとして、開催するに相応しいFD・SDとはどのようなものかについて提言を試みる。>
 30分ほどの報告に対して、大学院大学から高等専門学校までの学校種、総合大学・単科大学等という規模、さらに国立・県立・市立・私立という設置者の多様な連合体のなかで、FDやSDを企画するうえでの困難な点についての質問があった。質疑終了後には、他の参加者から、実際にある地区で連合のSDを企画しなければならないのだが何から行っていいのか迷っているという相談も受けた。
 他の分科会で、藤原将人・新野豊(ともに立命館大学)「日本における大学連合組織の役割と課題」という優れた報告もあり、FDあるいはSDにおいて大学間での連携が注目されているのは事実であろう。おりしも、8月20日、朝日新聞は一面で「国立大、包括連携へ動き活発 北海道・東海・関西18校包括連携に取り組む国立大学」と報じた。「北海道と東海、関西の計18の国立大学が、それぞれのエリアで包括連携に向けて動き出した。3エリアともベースは効率化と経営基盤強化のための 事務連携だが、北海道と関西では単位の共通化など教育面でも手を結ぶ方針だ。文部科学省は『規模、内容ともに、これほど本格的な連携は初めて』としている。・・・北海道では、北海道大と6単科大学(北海道教育、室蘭工業、小樽商科、帯広畜産、旭川医科、北見工業)の全国立大が事務と教育の両面で協力する。単科大は1~2年次の教養教育を担う教員が手薄なため、北大から教員の派遣を受けることなどを考えている。関西では大阪教育、奈良教育、京都教育の3大学が手を携える。数億円をかけてテレビ会議システムを整備し、各大学の教室をつないだ遠隔授業がで きるようにする。・・・付属学校同士で、共同の職員研修や研究をすることも検討する」という内容である。この間の中教審答申などで、大学間連携あるいは、関連学協会による、教育力向上のための取組が推奨されていることを考えれば当然の動きである。
 また、第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)には、「国は、大学が、教員の教育面での業績を可視化して多面的に評価し、人事や処遇に反映する取組、教員に対するFD(ファカルティディベロップメント)の実質化、自己研鑽機会の充実等を通じ、教員の意識改革を進めることを期待する。」「国は、大学・・・が、専門性の高い職員の配置等の体制の強化を進める・・・ことを奨励する。国は、これらの取組を支援する。国は、大学が、計画的なSD(スタッフディベロップメント)によって、研究活動の推進に関わる人材の養成と確保を進め、事務局体制を強化することを求める」との文章があり、国家の施策として、FD・SD推進が打ち出されている。大学教育への期待は大きいものがあり、それにこたえるための連携も必至である。
 こうした動向を背景に、大学間の連携FD・SDのあり方を考察すれば、学内でのそれと同様に、連携各大学等の間の個々の教員、個々の職員間の信頼の醸成が当初の目的に置かれねばならないだろう。それぞれに特徴的な学風をもつ高等教育機関が、全てにおいて利益を得るFD・SDは無理である。地域のコンソーシアムでは、教員職員が、学生のためにどうしたらいいのかという一点での意見交換によって、地縁ともいうべき関係を創っていきながら、単一組織では開催が困難な企画、あるいは、多様な機関の多様な教職員が参加してより豊かな成果が得られるテーマ企画を続けることが大事だと思われる。そのことを、大学行政管理学会(全国から多くの参加者が、仕事をやりくりし、自費で参加していると思われる)という初参加の場で、再確認することができたことが筆者にとって何よりの収穫であった。(文責:教育支援システム研究部門 青野 透)

●○●大学コンソーシアム石川主催2011年度第4回FDSD研修会開催案内●○●
日時:9月16日(金) 18:00-20:00
場所:しいのき迎賓館3階 セミナールームB 金沢市広坂2-1-1
テーマ:「京都地域18大学・短期大学によるFD連携事業~京都FD開発推進センターの挑戦~」
講師:深野正之 氏 (一橋大学大学教育研究開発センター特任講師)
文部科学省「戦略的大学連携支援事業」により大学コンソーシアム京都が取り組んできた約2 年間のFD連携事業の実践を報告する。専門職員が常駐する京都FD開発推進センターを設置し、階層別研修の開発・実施、マンガ版FDハンドブックの刊行、連携大学のFD活動に対する情報提供等、多彩な行事,取り組みが活発に進められた。本報告では、京都FD開発推進センターが進めてきた約2 年間の実践報告を中心にしつつ、特に中小規模大学のFD活性化、実質化をミッションとして活動してきた私の経験を共有したい。主な論文・「ハーバードのカリキュラム改革:5 年間の軌跡」『大学教育学会誌』30(1) 号, (2008/5)・「ハーバードのカリキュラム改革:コア・カリキュラムからカレッジコースへ」『大学教育学会誌』27(1) 号, (2005/5)
参加お申込み:「第4 回FDSD 研修会申込」とタイトルに記載の上、本文に(1)機関名、(2)所属、(3)お名前を記載して、MAIL:oono@ucon-i.jp(担当:大野)までご送信願います。