【No.366】
大学基準協会が求める自己点検評価について

○●○大学基準協会が求める自己点検評価について○●○

 今年度から第二サイクルに入った機関別認証評価では、第一サイクルでの経験を踏まえ、各認証評価機関が認証評価の方法、項目などの見直しを行っている。以前、『週刊センターニュース305号』(2010年4月19日)において、認証評価機関の一つである大学基準協会(http://www.juaa.or.jp/)の新しい評価システムについて簡単に述べさせていただいたが、今回は、今年度からの大学基準協会の評価システムにおける「自己点検・評価」について紹介させていただく。

 『週刊センターニュース305号』でも説明したが、大学基準協会が実施する新評価システム構築の基本方針は、

  • 評価とは、「されるもの」ではなく、自らの意思で「行うもの」であるという意識の定着を図る
  • 評価結果を改革・改善に繋げる内部質保証システムの構築を支援する
  • 評価項目の数を大幅に削減することで、評価に関わる負担を軽減する
  • であり、大学評価の目的は、
  • 自己点検・評価体制が整備され、確実に機能していることを確認する
  • 自己点検・評価に基づく改革・改善が着実に実行されることを支援する
  • 自己点検・評価における自己評価が妥当なものであるかどうかを判断する

である。(大学基準協会特任研究員 生和秀敏広島大学名誉教授作成資料より)

 本稿では、上記方針におけるポイントの1つである「自己点検・評価」について、『大学評価ハンドブック 2011(平成23)年度評価者用 2012(平成24)年度申請大学用』(http://www.juaa.or.jp/accreditation/university/handbook_2011.html)から要約して紹介させていただく。

 まず、自己点検・評価の意義として、以下の3つがあげられている。

1.    公共性の高い高等教育機関としての責務である対社会的な説明責任を果たす

学校教育法第109 条第1項によって、「当該大学の教育及び研究、組織及び運営並びに施設及び設備の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表する」ことが定められている。

2.    認証評価のための基礎的情報を提供する

「当該大学の教育研究等の総合的な状況について、政令で定める期間ごとに、文部科学大臣の認証を受けた者(以下、「認証評価機関」という)による評価(以下、「認証評価」という)を受ける」(学校教育法第109 条第2項)ことが求められている。この認証評価制度は、第三者の評価によって大学の質を保証しようというものであるが、各大学が行う「自己点検・評価」が認証評価の基礎となる。

3.    大学が教育・研究活動の活性化と質の向上に向けて発展するために、継続的な改革・改善に必要な情報を得る

自主性・自律性を掲げる大学は、現状に甘えることなく、たえず自己改革を行う必要がある。そのためには、現状を的確に把握し、それを目指すべき方向と照合し、伸長すべき点や解決すべき点を確認し、実現可能・実行可能な改善計画を立て、構成員が一丸となって実現に向けて努力することが求められる。

 

 次に「自己点検・評価」の体制としては以下の5つがポイントとなる。

1.    自己点検・評価のための学内組織の設置

自己点検・評価の対象が大学の諸活動全般に及ぶことから考えると、全学組織のみならず、学部・研究科といった部局ごとに自己点検・評価を行うための組織が必要であり、それらは、全学組織と有機的に連携しなければならない。

2.    自己点検・評価のための前提条件の整備

  • 構成員が合意している目標や計画
  • 評価方法についての技術的な課題がクリアされていること

自己点検・評価は、活動実態を的確に把握できる情報の収集・管理に加え、客観的な根拠をもとに第三者的な視点から評価するための評価者の訓練が条件となる。質の高い自己点検・評価を行うためには、組織の整備とともに評価訓練を受けた見識ある人材の配置が重要。

3.    学内情報のデータベース化の推進

自己点検・評価のためには、大学の諸活動や現状把握についてのデータを計画的・継続的に収集し、これらを体系的に整理し、検索・分析・加工などの情報処理を効率的に行えるよう管理することが重要。

4.    自己点検・評価結果の活用

評価結果の活用について、学内合意を形成しておく必要がある。自己点検・評価を大学マネージメントの一環に正しく組み込み、経営戦略や改善計画の策定に生かす体制を構築する。

5.    外部評価の有効利用

自己点検・評価の信頼性と妥当性を高めるために、必要に応じて外部評価を受ける。自己点検・評価の過程で卒業生や外部有識者の意見を積極的に聴取したり、専門分野の評価に関連する学協会に依頼したり、大学間で相互的に評価し合う方法などが考えられる。

 

 最後に、より具体的に必要な作業について「自己点検・評価の実施方法例」として、以下の9項目があげられている。

1.    方針および到達目標の明確化

2.    到達目標の妥当性の吟味

3.    評価方針および評価項目の決定

4.    評価項目に対応する評価指標の確定

5.    評価指標をもとにした現況の把握

6.    現況と到達目標との照合

7.    現況に対する自己評価

8.    自己点検・評価に基づく改善計画の策定

9.    改善計画の実現に向けた方策

 

  金沢大学でも第一サイクルの認証評価の経験に基づき、第二サイクル対応として、昨年度に企画・評価会議を立ち上げ、その下に企画部会、評価部会を置く形で、新しいPDCAサイクルが構築されている(http://www.adm.kanazawa-u.ac.jp/ad_kikaku/file/soshiki.pdf)。また、事務体制も評価室から企画・評価室となり、さらに、学内情報を一元化するため教員情報データベースを新たに構築し、構成員の教育・研究その他活動を把握する体制は整備されている。今後は、全構成員の「自己点検・評価」への意識をより一層高めること、「自己点検・評価」結果活用を各部局および全学としてのマネジメントにわかりやすい形で組み込むこと、外部評価の活用などが課題であると思われる。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)