【No.363】
BEATセミナー参加報告2

 

○●○ BEATセミナー参加報告② ○●○

 

前回のBEATセミナー報告では津田大介氏の講演「ソーシャルメディアが変える社会」について報告を行った。その講演後、BEATで行われている研究プロジェクトの報告があった。今、BEATではコミュニケーションを通じた学習支援に関するプロジェクトが行われているが、その1つがSoclaプロジェクトである。Soclaプロジェクトはソーシャルメディアで社会人・大学生と高校生を結び、コミュニケーションを通じて、進路支援を行うことが目的となっている。高校生がソーシャルメディアを通じて、社会人や大学生から高校で学習する科目を学ぶ意味、働く意味を学び、高校生各人が将来を考え、進路をどうするのか、考える。

 高校生同士は携帯電話でつながっているが、高校生と大学生、高校生と社会人は分断されており、この間をソーシャルメディアでつながることで大きな可能性が広がるということであった。Soclaの第1期はTwitterを使い、高校生と大学生・社会人の橋渡しをしている。Soclaでは高校生はTwitterクライアントがインストールされたiPadを使って、高校生が設定した進路に関するテーマについて、大学生・社会人とコミュニケーションを行い、学習を進めていく。その後、中間発表を行い、再度、Twitterを使い、大学生・社会人とコミュニケーションを行う。その後、テーマについて発表資料を作成し、最終発表を行う流れとなっている。大学生・社会人はファシリテーターとして関わり、高校生から挙がってきた質問について、フィルタリングを行い、各大学生・社会人のTwitterフォロワーに提示するという形になっている。高校生が立てたテーマとしては「高校と大学の授業内容の違い」、「どのような仕事が給与が安定しているのか」、「看護師として勤めて、その先はどうなるか」などが挙がったということであった。調査を進める手順としては、ガイドラインとしてプレゼン資料の型を作っておき、それを配布し、調査の前に仮説を立てさせる。確認をするために何を調べれば良いのか考えさせるよう工夫されたということであった。

 その調査の段階で興味深いのが、高校生は最初に「Yahoo!知恵袋」にアクセスし、調査を行う傾向が強いことであった。しかし、その先が重要なプロセスで、Yahoo!知恵袋で書かれている内容が事実であるか、実際はどうであるか、どのように認識されているかを、Twitterを使い、確認する行動が見られているという。

 個別のケースとしては、理系高校生が「社会で必要な教科、不必要な教科」について調べている際に「古文が大嫌いで、古文を学ぶ意味はあるのか?」という問いに対して、多くのTwitterユーザーは必要と回答し、高校生は意見を変容させるということがあった。これは高校で教科の必要性、社会での位置づけが高校生に対して伝えられていない懸念があることが指摘されていた。

 他のケースでは理系の高校生が仕事のやりがいについて調査して行く中で、やりがいが多様であることに気づき、自分にとっての仕事のやりがいを内省したところ、「形に残るモノ」、「100年先でも残る」という理由で土木系を進路として選択したケースが報告された。話された内容については、調査の内容だけではなく、日常生活や個人的な話も行われることがあった。今年度はFacebookで実践するということであった。

 続いて小論文を相互添削するシステム"Re:"の報告があった。開発経緯として大学入試に小論文実施が全国的に広がっていることや、初等中等教育における育成が必要されていることが挙げられていた。実践ではグループ内のメンバーは能力にばらつきが出るように構成されおり、相互添削を行う形であった。ログインを行い、既に書かれているレポートについてディスカッションを行い、学習者は情報の取捨選択を行い、改訂方針を決め、改訂を行っていく。評価結果として、能力にばらつきがある群(実験群)と能力にばらつきがない群(統制群)と比較したところ、実験群の方が、個人単位で小論文の質が変化し、実践後の方が向上したことが示された。また評価項目でも、論拠の質が向上すること、実験群の方が小論文の質が安定することが示された。

 BEATのプロジェクトでも扱っているソーシャルメディアは学習の場面でますます取り入れられている。本学においても、Twitter等のソーシャルメディアツールの利用者は着々と増えてきており、授業外の学習リソースに触れる機会を作るのに非常に有効である。無理のない形で、授業をどのようにデザインし、そのデザインの中にどのようにソーシャルメディアを組み込んで行くかが課題であるが、授業外の学習支援ツールとして、大きな役割を果たすことは間違いないと考えられる。

 

参考

東京大学BEAT Soclaプロジェクト

http://www.beatiii.jp/projects.html#socla

(文責:教育支援システム研究部門 山田政寛)

 

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