【No.361】
デンマークの教育プログラム評価について(第二弾)

○●○デンマークの教育プログラム評価について(第二弾)○●○

以前、週刊センターニュース345号でデンマークの教育プログラム評価(専門分野別アクレディテーション)について紹介させていただいた。今回は、「専門分野別教育プログラム認定・評価導入への実証的研究」(平成22年度科学研究費補助金(基盤(C)、課題番号22530912))の調査活動の一環として、この3月にアクレディテーション実施団体を訪問調査して得られた情報をもとに、デンマークにおける教育プログラム評価について補足させていただく。

 デンマークにおける教育プログラム評価は、アクレディテーションにより実施されており、そのアクレディテーションには、文書作成(Dokumentation)審査・審議(Vurdering)決定・承認(afgørelse og godkendelse)の3段階がある。文書作成段階では、アクレディテーションを申請する大学とのミーティングにおいてアクレディテーションのガイドライン(vejledening)を示し、5つの基準(kriterium)などについて説明する。それに基づき、大学は、報告書を用意する。審査・審議段階では、アクレディテーション分科会(以下、分科会)が設置される。分科会のメンバーは3名で、当該教育プログラム関連分野の専門家1名、外部(卒業生・修了生の雇用可能性のある企業から)1名、学生1名となっている。専門家は、当該教育プログラムを提供している大学からの推薦が多い。大学からの報告書がデンマーク語で書かれているため、それを読んで理解できるスウェーデン、ノルウェーの大学から選ばれることが多い。どうしても北欧地域に専門家がいない場合は、ACE Denmarkが英訳することもある。もちろん、当該大学との利害関係が無いことを確認する。専門家の選定を関連学会に依頼することはない。履歴書等のチェックの後、当該大学からの推薦状を添えてACE Denmarkがその専門家に分科会委員就任を打診する。外部(雇用可能性のある企業)からの1名は、業界団体に依頼するかACE Denmarkが独自に探す。この場合も、当該大学と利害関係の無い人を選ぶ。雇用可能性の関係および利害関係特定の問題からデンマーク人が選ばれる。海外の企業人だと利害関係特定が難しい。学生1名の選出は、学生が登録されているACE Denmarkのデータベースから選ぶ、大学に推薦を依頼する、学生団体からの推薦のいずれかの方法による。この場合も留学生ではなく、デンマーク人で利害関係の無い学生から選ぶことになる。例えば、化学教育プログラムの場合、化学の専門家、化学教育プログラム修了生が就職する可能性のある企業、学生は、化学だけでなく幅広く自然科学専攻の学生から選ぶこととなる。また、フランス語教育プログラムの場合、フランス語教育の専門家、フランス語への翻訳会社やフランスに輸出している企業、フランス語専攻の学生から分科会が構成される。分科会は、書類審査および訪問調査を行う。訪問調査では、執行部(studieleder(教務委員長)、institutleder(学科長、お金と任用権を持つ)、場合によっては学部長が含まれる)、当該教育プログラム担当教員、当該教育プログラム履修学生との面談が行われる。分科会での議論を経て、アクレディテーション報告書が作成される。アクレディテーション報告書は事務局としてアクレディテーションをサポートするACE Denmarkスタッフが作成する。決定・承認段階では、大学からの事実誤認等に関する意見申し立てによる修正が終わったアクレディテーション報告書がアクレディテーション委員会に送られ、最終の決定が下される。その席には、ACE Denmark専門事務局スタッフも同席し、アクレディテーション委員会委員からの質問に答える。

 以上、簡単にデンマークにおける教育プログラム評価としての専門分野別アクレディテーションについて紹介させていただいた。今回の訪問調査から特に補足できる点としては、分科会の実態が明らかになったことがあげられる。教育プログラム評価のため、分科構成が3名と少数であること、外部専門家によるピアレビュー、その専門家の選定は当該教育プログラム担当者による推薦であること、雇用可能性のある企業の視点、当該教育プログラムまたは類似教育プログラム履修学生参加による学生の視点重視などの点は、日本の評価にはまだあまり見られない点である。これらの点は、今後、日本に専門分野別評価が取り入れられる際には、参考になると思われる。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

 

○●○第5回カリキュラム研究会のご案内○●○

日時:7月12日(火)10時30分~12時

場所:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室

テーマ:批判的思考力を養う共通教育科目の開発

報告者:西山宣昭、山田政寛(大学教育開発・支援センター)

趣旨:教育の質保証に向けた動きの中で、学士力としての批判的思考力をいかに学生に身につけさせるかについて活発な議論が行われている。根拠と結論の明確化、論証の検証、仮説の推論、推論の検証、仮説検証を行う批判的思考力は、研究能力としてばかりでなく学士力、社会人基礎力、就業力として重視される。本研究会では、本学で開講されている授業科目、他大学の事例を参考にして、批判的思考力を養うための教育方法と教材について議論するとともに、新規の共通教育科目の開発に向けた検討状況について報告する。各専門分野の授業科目等で批判的思考力の養成を意図した様々な取組が行われていると考えられるが、そのような取組を行う多くの教員の参加と進めている授業設計に対するご意見をお願いしたい。

 

○●○2011年度大学コンソーシアム石川 第3回FD・SD研修会のご案内○●○

タイトル:「大学における、発達障害が疑われる学生への支援」

日  時:7月8日(金)18:00-19:30

場  所:しいのき迎賓館3階 セミナールームB

講  師:足立由美(金沢大学保健管理センター講師 臨床心理士)

趣  旨: 発達障害という障害があることは多くの人が知るところとなっています。筆者は学生相談業務の中で発達障害およびその傾向のある学生に接するのを日常としています。発達障害の大学生が見られるようになった当初は、発達障害を研究したり、多くの事例を見ている専門家が講演に呼ばれ、発達障害の定義から教えてもらうという講演会や研修会が多かったように思われます。今回、発達障害の学生への日常的支援をテーマに筆者が講演に呼ばれるということは、発達障害の学生への支援が次の段階へ進んだことを意味しているのでしょう。発達障害の学生は状況に応じた柔軟な対応を苦手とするため、きめ細かい支援が必要となります。すなわち、医師、看護師、カウンセラーなどによる個別の支援だけでなく、保護者や指導教員との連携を中心に、周囲の学生、教員、職員を含めたチームの支援が必要です。今回は、筆者が直接かかわってきた経験から、発達障害が疑われる大学生の特徴や大学で起こっている問題について話し、その支援の難しさについて共有し、支援のあり方を考える機会としたいと思います。

参加のお申込み: 次の要領で、メールでお申し込みください

  件名「第3回FDSD研修会申込」として、①機関名 ②所属 ③氏名をご記入のうえ   Mail:oono@ucon-i.jp(担当:大野) までご送信願います。 ※開催日の前日まで受付いたします。