【No.358】
BEATセミナー参加報告1

○●○ BEATセミナー参加報告 1 ○●○

去る6月4日(土曜日)に東京大学本郷キャンパスで開催されたBEATセミナー「ソーシャルメディアによって変わる学びのかたち」に参加してきた。最初にジャーナリストの津田大介氏より「ソーシャルメディアが変える社会」というテーマで基調講演があった。ソーシャルメディアの普及と世界的に起こっている社会変容と関連づけられ、ソーシャルメディアが社会に影響を与えている特徴について講演があった。ここ数年、ソーシャルメディアの利用状況は大きく変わってきており、日本ではMIXIが独壇場であったのが、鳩山首相(当時)がTwitterを利用したことが大きなインパクトを与え、300万人程度の利用者数が1000万人を越えるようになった。そして尖閣諸島での中国漁船と巡視船の衝突事件ビデオ流出やWikileaksによる機密情報が流出したのも放送メディアではなくソーシャルメディアから始まっていることから、情報の流れが大きく変化してきているということであった。これらのソーシャルメディアによる現象を読み解くキーワードとして「リアルタイム性(速報性・伝播力:発言の再生産)」、「共感・協調(感情・思考の共有)」、「リンク(具体的行動の促進)」、「オープン性(参加・離脱が容易にできる)」、「プロセス(コミュニティー成立過程が可視化される)」という5つが津田氏より挙がった。特にTwitterは上記キーワードを顕著に特徴として持つソーシャルメディアである。またTwitterにより、消えていく情報が現れるようになり、何かのイベントと関連づけられた感動の共有、そのイベントが過ぎ去った時にはその感動や情報の共有に意味づけがなくなっていくことをワールドカップのゴールシーンを例に説明された。感動などTwitterで発言される内容は95%ほど他愛の無いものであるが、そこで発言されるパーソナリティーが点描画のように描き出され、蓄積されることで、ユーザーの個性が浮かび上がってくることに価値があるということであった。
 またFacebookによる中東諸国で発生した革命・デモについても説明があった。ソーシャルメディア革命として、2010年にモルドヴァ、イラン、中国、タイ、2011年にはチュニジア、エジプト、リビアで変革が起こった。Facebook上で状況伝達だけではなく、感情・思想の伝播が促進され、Facebookが起こした革命として世界のニュースに取り上げられた。しかし、ソーシャルメディアが革命を起こしたのではない。民衆のデモが政治的圧力を引き起こし、そのデモや革命を引き起こすのに民衆の背中を押したのがソーシャルメディアであった。感情・思想の伝播は世界レベルでソーシャルメディアを介して行われたが、実際に必要なことは行動力であるという津田氏の主張があった。ソーシャルメディア以前は出る杭が各々飛び出し、やる気があって主体性がある人は打たれる状況があったが、ソーシャルメディアで誰かが飛び出すと、それを追いかける人が登場し、大きなムーブメントになり、具体的行動の促進に大きく寄与するようになった。
3月に発生した東日本大震災においても感情・思想の伝播、具体的行動はソーシャルメディアからスタートしている。被災者の安否情報や放送メディアが取り扱わない事実、隙間情報、現地の声もソーシャルメディアで流通するようになり、国民をつなぐ大きな媒体となった。しかし、ソーシャルメディアの大きな問題もあることが震災を例に説明された。1つは「消えない情報」が現れたこと。デマ情報、また既に対応されたトラブル情報も流れ、対応されても消されず、それが数日後にも流れる可能性があるため、悪影響もあった。また情報格差が拡大し、ソーシャルメディアにアクセスできる人とできない人で生死を分けることにも成りかねないことである。救済物資が届く場所も公式の情報よりもソーシャルメディアで流れることが早く、そういった情報にたどり着けることで生存率が高くなるということであった。
最後に津田氏はソーシャルメディアによって変わることのまとめとして1.「コミュニケーション革命が起きていることを正しく認識し、怖れない」、2.「使ったときの肌感覚を大事にし、自分に合うソーシャルメディアを使えばいい」、3.「こんなことしたいというアイデアを即座に実現できる。」の3点で整理された。
以上の講演ではソーシャルメディアの利用においては現実世界と関連づけが重要となる。ソーシャルメディアだけで全てを完結させるように思われがちだが、そうではなく、学生生活・学習の支援を考える際に、現実の状況、イベントとの関連を検討することが重要であることを認識すべき点であろう。次回はBEATのプロジェクトを紹介する。

(文責:教育支援システム研究部門 山田政寛)

○●○ 第8回学生・学習研究会を開催致します ○●○

下記のテーマで第8回学生・学習支援研究会を開催致します。もしご興味がおありの教職員の皆様は是非ご参加ください。

テーマ 本学における障害学生支援のあり方-発達障害学生支援を中心に-
日時 6月20日(月)16:30~18:00
場所 角間キャンパス総合教育一号館 2階 大会議室
報告者 青野 透(大学教育開発・支援センター 教育支援システム研究部門)
 本学は、国立大学法人金沢大学中期計画(文部科学大臣認可:平成22年3月31日)
において、「学生への支援に関する目標を達成するための措置」として、「各学域・学類
及び保健管理センター等が連携し,学生の学習・生活及び心のケアを含めた健康相談体制
を拡充する。」「障がいのある学生及び障がいのある学生の支援に直接携わる教職員をサ
ポートする全学的な体制を整備する。」と定めている。これにもとづき、障害学生支援委
員会では、昨年度、参考となる取組を行っている大学への訪問調査を行った。報告者もそ
の任を担った。本研究会では、訪問調査結果および関連論文研究にもとづき話題提供を行
う。本学の障害学生支援についての意見交換を試みたい。なお、学内の参加希望者には、
アカンサスポータル内のアカンサスFDにリンク先を掲載している、川住隆一ほか「大学
における発達障害のある学生への対応 : 四年制大学の学生相談機関を対象とした全国調査
を踏まえて」『 東北大学大学院教育学研究科研究年報』59巻1号(2010年12月)を、事
前にお読みいただくよう希望する。