【No.357】
ノートテイク講習会開催のお知らせ・大学教育学会参加報告

○●○ 平成23年度第1回ノートテイク講習会開催のお知らせ ○●○ 
日時:平成23年6月22日(水) 14 : 00 ~ 17 : 00
主催:障害学生支援委員会、企画:大学教育開発・支援センター
場所:角間キャンパス総合教育講義棟 C5講義室
内容:聴覚障害学生支援のためのノートテイク技術の習得と聴覚障害者への理解を深めるための講習
(聴覚障害学生のためのノートテイク要約の技法と実践及びノートテイクの基本を学ぶ)
講師:山村信平 他(社会福祉法人石川県聴覚障害者協会)
対象:本学におけるノートテイクに関心のある学生、教職員及びノートテイカー経験者
申込:所属・氏名・連絡先をメール又はファックスで6月15日(水)までに下記あてに
 学生部学生支援課(小川) mail: soudan@adm.kanazawa-u.ac.jp、fax 076-234-4040

○●○ 大学教育学会第33回大会参加報告 ○●○
6月4日(土)、5日(日)に桜美林大学で開催された大学教育学会第33回大会(総合テーマ:「大学教育の質とは何か」)に参加し、シンポジウム・ラウンドテーブル等で複数の報告を聞いた中で、ここではとくに学生の学修成果の測定・評価に関係した内容を紹介していきたい。
シンポジウムⅡ「大学教育における質保証の実践的展開とその意味」の筒井泉雄氏(一橋大)報告「GPA制度本格導入と成績評価を考える」では、22年度からの本格導入(足かけ7年の議論の結果)と卒業要件化(1.8点以上。ただし条件が整い次第2.0以上の適用を検討)となるまでの経緯、導入1年後の課題などが示された。ポイントは、一定のGPAに達しない学生に対するサポートをどう行うかという点で、関連の部会を発足させ、成績不振者(低GPA修得者)の調査・追跡、情報収集や面談などのメンタルケアを行い、その早期発見・対策に乗り出すなどGPA制度のサポートシステムの整備に努めているとのことである。一方で、教員間における成績評価の違い(単位取得の難易度)をどう解消するかも重要で、教員の成績評価(法)の変化(併せて学生の履修パターンも)のモニターの必要性を認識しているが、いずれにせよ限られた人的資源の下、どこまで対処していくかが課題となっている状況にある。
同シンポジウムの山田剛史氏(愛媛大)報告「学生調査の開発とマルチレベルFDとの連動による
教育の質保証」では、学生調査によるデータ・エビデンスに基づく組織的教育改善の重要性を強調し、またそれらのアセスメントを活かすためのFDの位置づけ(同シンポジストの佐藤浩章氏が提唱するミクロ・ミドル・マクロ各レベルのFDへの「埋め込み」)にも触れた。前職の島根大で、①入学時調査(診断的評価、2010年より開始)②学生パネル調査1)(形成的評価、2009年開始)③FYE効果検証(プログラム評価、2009年開始)④卒業生調査(総括的調査、2006年開始)で構成された学生調査を実施し、各レベルのFDの場面における教職員間の共有プロセス(対話ツール)の中で活用しようとしている。具体的な分析例がそれぞれ興味深く、例えば1年次の学習成果の獲得(全く身に付かなかった~かなり身に付いたの4段階)と指導ニーズ(指導してほしい~指導は必要ないの4段階)による対応マトリックスや、パネル調査での「アクテイブラーニングは学習成果の向上につながっているのか」「正課外活動に傾倒する学生は正課がおろそかになっているか」などといった問いがあり、あらゆる局面で客観的なデータに基づく議論や意思決定が行えるよう努めているようである。ただし実践的課題として、そうしたアセスメント結果を共有する場が本当に構築できているのか、アセスメントの導入で現場の教育力は向上し、かつそのことを証明できるのか、といったことが挙げられており、課題克服に向けた研究蓄積と継続的な実践が求められている。これらは本学にとっても重要な指摘であると思われる。
 自由研究発表の立命館大学教育開発推進機構の報告「大学生の成長を多面的に捉える尺度開発の試み」では、IRのプロジェクトによる「学びの実態調査」により立命館大学生の学習成果を測定する試みがなされているが、分析の結果大学生が身につけるべき力を十分カバーできていないとし、より多面で気に大学生の成長を捉えられる指標開発を試みていることが示されていた。詳細はここでは除くが、重要な指摘として、観念的に導かれた諸能力と具体的な調査から導かれた要素(因子)が一致するとは限らず、例えば学士力で異なる力として示されていても、実際にはそれらの力は関連が強く、分析を行うと一つの要素(因子)として抽出される可能性があるということである。つまりデータに基づいてどのような力に区分できるのかを確認していく必要があり、学修成果の測定においては、各大学(あるいは分野)の特性を考慮すべきであるということであろう。

注1)入学時から卒業時まで個々の学生の成長(学びの履歴)を追いかける追跡調査。入学時どのような状況で入ってきたか(インプット)、在学中どのような経路を経て(スループット)、卒業していくか(アウトプット)という点から包括的に捉え、「学習者としての育ちの基盤」を把握して、効果的な学修支援や教育内容・方法の開発を行うことを目的とする                       (文責:評価システム研究部門 渡辺達雄)

○●○ 新着資料のお知らせ ○●○
大学教育開発・支援センターに、全国の大学・大学教育センター、専門団体等から各種報告書が届いております。特色GPや特別教育研究経費によるプログラムの成果をまとめた報告も含まれております。資料は、図書室(総合教育1号館6階613号室。センター共同研究室向かい)に所蔵しております。ご関心のあるもの、参照したいものがございましたら、お貸しすることができますので、ご連絡下さい。
・ 名城大学FD委員会『大学院教育の底力 Faculty Development』2011年
・ 研究プロジェクト報告書『認証評価に関する研究-自己点検・評価の実質化を目指して-』私学高等教育研究叢書no.5、日本私立大学協会附置 私学高等教育研究所、2011年
・ 独立行政法人 国立大学財務・経営センター『平成22年度 国際シンポジウム報告書「大学の活力を育てるものー大学支援機関の役割と課題」』2011年
・ 『名古屋大学教員のための留学生受け入れハンドブック』名古屋大学高等教育研究センター、2011年3月
・ 山形大学教育方法等改善専門部会『基盤教育 授業改革の研究と実績 平成22年山形大学基盤教育改善充実特別事業報告書』2011年