【No.351】
CP・DP策定作業(愛媛大学の事例)

○●○CP・DP策定作業(愛媛大学の事例)○●○
 大学教育開発・支援センターによるCP・DP策定WG支援活動の一環として、2011年3月22日に愛媛大学、翌23日に山口大学を訪問し、両大学におけるCP・DP策定作業について情報収集を行った。今回は、愛媛大学でのCP・DP策定作業について報告させていただく。

作業体制・作業過程
 愛媛大学には、いわゆる大教センターにあたる教育企画室が平成18年度に発足した教育コーディネーター制度を動かしている。教育企画室は教育担当理事直属で理事の補佐を行う立場にある。教学・学生に関する全学的会議としては、教育・学生支援会議がおかれており、全学的な教育改革についての方針の策定や議論を行っている。構成員は、各学部・学科の統括教育コーディネーター他である。教育コーディネーターは、教育重点型教員と位置づけられており、現在、全学で60名程度(愛媛大学全体で760名程度の教員)の教員が教育コーディネーターとなっている。各学部から選出され、学長が任命する形となっている。教育コーディネーターは、学部と全学両面の教育改革に関わるため、場合によっては両者の板挟みになることもある。法文学部総合政策学科には5名、人文学科には7名の教育コーディネーターがいる。統括教育コーディネーターは、教育コーディネーターによる互選となっている。
 具体的なAP・CP・DP策定作業は、教育コーディネーター研修(年5回)を通して進めた。そこで策定され、教育・学生支援会議で承認されたAP、CP、DPおよびカリキュラムマップは全学部で公表されている。教育コーディネーター研修は全員参加(任意参加ではない)で、教育担当理事も参加する。研修プログラムは教育企画室が担当する。
 カリキュラムマップ作成にあたっては、文系、理系、学生によってもその形が異なるため、全学的に特に指示は出していないが、教育企画室としては、「学生の視点で見やすい、わかりやすく工夫されているか」についてコメントをつけた。カリキュラムマップはあくまでもモデルであり、学問領域の特性は考慮すべきである。総合政策学科、人文学科ともにコース毎にカリキュラムマップを作成している。ただ、作成作業は、あくまでも「学生のため」という立場で考え、全学で一斉に作業を行った。他学部・他学科の作業を見ることで、他学部・他学科の教員、学生もわかるようにする必要はある。これらの作業過程が大事である。これらの過程で組織全体としてカリキュラムを醸成する重要性に教員が気づいた。
 共通教育科目との関わりについては、学科、コースのカリキュラムマップに組み込んでいるところ(総合政策学科)と組み込んでいないところ(人文学科)がある。今後、学部・学科のCPをもとに共通教育へ要望を出すとして、それを共通教育が受け止められるのかが問題となる。そのため、まずは、共通教育の立て直しをしてからと考えている。ちなみに、コーディネーター研修には、共通教育からも参加している。
検証体制
 アセスメントチェックリスト(平成21年度~)を基に自己点検を行っている。学部によっては、このアセスメントチェックリストまで公表しているhttp://www.ed.ehime-u.ac.jp/~edhp/curriculum/assessment.pdf  http://www.me.ehime-u.ac.jp/program/mech_cur_check.pdf。また、平成22年度からは、学生の達成状況をどのように確認したのか、結果として達成されたのか、について、カリキュラム評価シートでチェックしている。
今後の予定
 平成22年度から策定された3つのポリシー(AP、CP、DP)の検証を始めた。PDCAサイクルのCの段階にあたる。先ずは、学部・学科の自己診断を行い、その後、他学部からの他者評価を受けている。平成23年度からは、ジェネリックスキルに焦点をあて、1年目は教養教育改革、2年目は大学院教育改革、3年目は学部専門教育改革にそれぞれ絡めてCP、DPの検証を行う予定であるとのことであった。これらの作業と合わせて、より現場レベルの問題としては、今後、こららのカリキュラムマップを学生の履修指導にどう活用するかが課題となっている。
その他
 成績評価については、これから取り組みをはじめ、初年次教育など同一科目名で評価に差のあるものについて差を無くしていくことなどについて、教育・学生支援会議で議論している。また、中期計画に「卒業研究,修士論文,資格取得プログラムなどを主な対象として,学習段階ごとのプロセス評価を行うシステムを開発する。」とあるので、それには対応する予定である。

 以上、愛媛大学での事例について述べさせていただいたが、金沢大学が作業に入るにあたって参考にしたこともあり、教育コーディネーター制度の部分を除けば、具体的な作業内容にあまり大きな差は見られなかった。ただ、先行して作業にあたっているため、検証体制が出来ている点、共通教育、大学院教育への適用まで予定として組み込まれている点は見習うべきかと考える。愛媛大学においてもまだまだ個々の教員レベルでの認識共有は十分でないとの話もあり、金沢大学においても、現在進めている作業を今後の教育において実質化し、有効な成果を得るためには、より情報公開、情報共有を進めて個々の教員の意識を高めて行かなければならないと感じた。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)