【No.350】
平成23年度のセンター重点活動について

○●○第3回評価システム研究会のご案内○●○
日時:2011年4月21日(木)16:30-18:00 
場所:総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「デンマークにおける専門分野別教育プログラム認定の運用実態について」
報告者:堀井祐介(大学教育開発・支援センター)
趣旨:近年、日本国内においても高等教育における専門分野別教育プログラム評価への関心が高まってきている。本発表では、日本における専門分野別教育プログラム認定・評価システム導入、普及への一助として、デンマークにおける唯一の大学教育プログラム評価機関であるACE Denmarkが実施している専門分野別教育プログラム認定・評価について、書面調査、訪問調査を通して得られた知見をもとに、その法的根拠、仕組みを紹介するとともに、その運用実態について報告する。

○●○平成23年度のセンター重点活動について○●○
平成22年度に引き続き、第2期中期計画に沿った当センターの重点活動事項を以下の通り策定し、活動を行います。
1)カリキュラム検討委員会の下のCP・DP策定WGの支援を行う。
2)環境教育・ESD(Education for Sustainable Development)に関する文理融合型の新規の副専攻の検討について、カリキュラム検討委員会を支援する。
3)共通教育におけるコア・カリキュラム化の起点と位置づけられる共通教育特設プログラムの整備について、共通教育委員会の下のWGを支援する。
4)卒業時において各学類が付与しうる学力の達成度を測るための方法について研究を行う。特に、卒業研究のプロセス評価や卒業論文の評価に関する国内外の事例調査に基づき研究を行う。
5)本学FD活動指針に基づくPDCAサイクルのモジュールとして、CP・DP策定と並行して検討が進められているカリキュラム・マップの継続的検証を行うための内部質保証システムの設計について研究を行う。
6)厳格な成績評価に関する理論研究、学内外における取り組みやその課題を把握し、本学に適した方法について調査研究を行う。特に、PBL(Problem Based Learning)やゼミナールの学習成果やプロセス評価について調査研究を行う。
7)国内外における内部質保証、自己点検・評価、教員評価に関する調査研究を行い、企画評価会議評価部会等の活動を支援する。
8)国内外における大学院生の授業支援の事例(TA、プレFD)について調査研究を行い、TA研修のプログラム案について検討する。
9)アクティブラーニングの教育方法に関する国内外の実践事例を調査研究し、その成果にもとづく研修を行う。
10)学生相談など本学に適した学生支援の在り方について研究する。
11)就業力支援GPの取組に協力する。
12)大学コンソーシアム石川のFD・SDの取組に積極的に協力する。
以上の活動には、当センターの客員教授・客員研究員にも関わっていただく予定です。
調査研究の成果は、随時、週刊センターニュースとポータル上のアカンサスFD、定期的に開催しますカリキュラム研究会、評価システム研究会、FD研究会、学生・学習支援研究会、および大学教育セミナーにおいて報告します。また、各部局FDでの重点的な情報提供を行いますので、是非お問い合わせください。                                                                   (文責 大学教育開発・支援センター長 西山宣昭)

○●○保健学類FD研修会参加報告○●○
3月9日、保健学類において「ディプロマポリシー、カリキュラムポリシー策定の背景・意義、およびこれらに沿った成績評価の考え方」をテーマとしたFD研修会が開催され、筆者は他大学の事例紹介を中心に報告を行ったので、以下その概要を紹介する。
平成23年4月より、学校教育法および大学設置基準の改正により、卒業又は修了の認定基準など、教育情報の公開が義務化される。また、この改正では、努力目標として「大学は,教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報を積極的に公表するよう努めるものとすること。その際,大学の教育力の向上の観点から,学生がどのようなカリキュラムに基づき,何を学ぶことができるのかという観点が明確になるよう留意すること」が明記されている。このような大学教育の可視化、質保証の動きは、ヨーロッパにおけるボローニャプロセスの進行、OECDによるAHELO(Assessment of Higher Education Learning Outcomes)の検討など、就業などのグローバリゼーションを背景とした国際的な流れに呼応したものである。(詳細はセンターニュース340号の堀井の記事を参照されたい。)上記の法改正での努力目標は、本学においては、現在カリキュラム検討委員会の下のCP・DP策定WGが進めている学類ごとのディプロマポリシー・カリキュラムポリシー、学類・コース等ごとの卒業時に達成すべき学習成果の明確化と公開についての検討によって達成されることになる。認証評価機関の一つである大学基準協会は、平成23年度より認証評価基準を変更し、上記の努力目標がどの程度達成されているかを大学自身が検証するための内部質保証システムが構築されているかどうか、またそのシステムが機能しているかどうかを評価するとしている。つまり、卒業時に達成すべき学習成果の達成度の根拠が妥当であるかどうかを検証する仕組みについて検討することが求められることになる。このような動きは認証評価全体に及ぶことが予想される。本学のCP・DP策定WGでは、学習成果の達成にどの授業科目が寄与しているかの対応表(カリキュラム・マップ)の作成を進めているが、その対応の根拠が求められることになり、その根拠は各授業科目の教育内容と成績評価方法(授業科目の学習目標の達成度評価方法)に帰着することになるであろう。また、当該授業科目の内容がカリキュラムマップによって対応づけられる学習成果の達成に寄与したかどうかを学生に評価させるなどについても検討する必要があるであろう。今後、各学類・コース等ごとの専門分野を共有する教員集団における学習成果と各授業科目との関係、成績評価に関する情報共有すなわちFDがますます重要となる。
このような背景から、保健学類FD研修会では、今後学士課程全体への導入について検討されるべきPBL(Problem Based Learning)とその成績評価を考えるヒントとなる事例を紹介した。PBL(工学系ではProject Based Learningと呼ばれている。)は、医学・薬学・保健学の分野で導入が進んでいる一方、その成績評価については様々な考え方がありうる。課題について自己学習や討論に基づいてその解決のためのさらなる自己学習事項の抽出や解決の道筋の仮説を立て、その仮説を検証する、このようないわばミニ卒論研究をより低年次の授業科目に下すことの有効性に、卒論研究の高い教育効果を知る者であれば異論はないであろう。三重大学や同志社大学ではPBLの教育方法を開発する機関を設置し、学士課程全体へのPBLの導入を試みている。保健学類FD研修会では、三重大学高等教育創造開発センターが公開しているPBLのプロセス評価に活用できる資料(教員のためのPBLマニュアル、アカンサスポータルのコース「アカンサスFD」に掲載済み)を紹介した。今後、学士課程の学習成果の根拠が求められる中で、卒業研究のプロセス評価についても検討する必要が出てくるであろう。PBLや卒業研究の成績評価において、PBLのプロセスをいかに記述するかについて検討することは重要と思われる。
保健学類FD研修会ではさらに、桜美林大学の舘昭教授の解説(2008年)に基づいてGPAの起源について紹介した。GPAとは、本来は、点数づけが困難な成績(Grade)を学習目標の達成度としてレター・グレード(A :Excellent、B :Good、C :Fair、D :Minimal Pass、F :Failure)で表現し、このレター・グレード(G)を点数(P)化し、平均(A)したものである。伝統的なリベラルアーツ教育では知識を問うのではなく論理的思考力や批判的思考力を養うことを目的とし、結果として成績評価は点数化が難しい討論やレポート課題によることになる。このようなGPAの起源を考えると、厳格な成績評価とは、量的評価ではなく、できる限り明確な達成度評価方法を設けることを前提とした厳密な質的評価を行おうとするものであるという解釈もできるであろう。GPAは、レポート課題、討論、PBLなど、点数化が難しい課題についての成績評価のために考案されたものと理解できる。
本学では、CP・DPの明確化に伴い、カリキュラム・マップや成績評価方法について継続的な検証を行うための内部質保証システムについて今後検討する必要がある。当センターでは、各学類のFDに有効な情報提供ができるよう、引き続きこれらの課題に関する情報収集を行う予定である。
(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)