【No.346】
「社会人基礎力」育成の取り組みについて その2

○●○ 第3回カリキュラム研究会のご案内 ○●○
日時:3月11日(金)10時~11時30分             
場所:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「環境学とは何か―副専攻カリキュラムについて考える」
報告者:西山宣昭(大学教育開発・支援センター)
趣旨:本学の第2期中期計画4-3「現代的課題の一つである環境問題に関する見識を備えた人材を育成するため,学士課程(教養教育・専門教育)及び大学院博士前期課程に,それぞれの課程に応じた環境教育のプログラムを構築する。」における専門教育として、新規の文理融合型副専攻の必要性・可能性について検討したい。他大学の事例も参考にしながら参加者とともに考える。

○●○ 第8回大学教育セミナーのご案内 ○●○
金沢大学創基150年記念「講演会・シンポジウム」シリーズ第26回
主催:金沢大学大学教育開発・支援センター  共催:金沢大学カリキュラム検討委員会
テーマ:「環境学のフレームワークとESDカリキュラムの構築に向けて」
日時:平成23年3月16日(水) 14時~17時35分
場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
趣旨:地球環境という閉鎖系において、いかなる持続可能な社会を構築できるか、この問題に挑む人材を養成することは大学に課せられた重大な使命である。そのためには、自然環境、人間社会、そして両者の間の複雑な相互作用について、様々な学問分野のフレームワークに基づいて論理的かつ批判的分析を行い、課題を明確にし、その解決の糸口を見出す能力を養成する教育のデザインが求められる。本学の第2期中期計画には、「現代的課題の一つである環境問題に関する見識を備えた人材を育成するため,学士課程及び大学院博士前期課程に,それぞれの課程に応じた環境教育のプログラムを構築する。」と明文化され、これは平成20年9月、本学で組織された環境教育検討会の提言に基づいている。本セミナーでは、本学における共通教育、専門教育、大学院教育におけるESD(Education for Sustainable Development)カリキュラム構築の現状を把握するとともに、その指針となるべき学問分野間の協同の在り方、研究活動の教育デザインへの還元の可能性、さらに論理的思考力、批判的思考力、創造的思考力を養成するESDの教育方法について議論する。環境人材の育成は大学、企業、地域社会全体の問題であり、学外からも多くの参加者を得て議論したい。


プログラム:開会挨拶 樫見由美子(金沢大学副学長、教育担当理事)
基調講演 鈴木克徳(金沢大学環境保全センター教授)
     「ESDを巡る最近の動向~高等教育機関に期待される役割を中心に~」
報告1  西山宣昭(金沢大学大学教育開発・支援センター長・教授)
      「金沢大学における環境教育カリキュラム整備の現状」
報告2  池本良子(金沢大学環境デザイン学系教授)
     「自然科学研究科日中韓環境・エコ技術特別コースの取り組み」
報告3  吉田麻友美(日本スマートエナジー株式会社代表取締役)
     「企業活動と地球温暖化防止ビジネスの最前線の紹介、これからの社会に必要なカーボン・マネージャーとして求められる能力と必要な教育について」
討論  「環境学の構築に向けて-副専攻カリキュラムを中心に」
 閉会挨拶 堀井祐介(金沢大学大学教育開発・支援センター・副センター長・教授)
*参加申し込みは、info-rche@ge.kanazawa-u.ac.jpまで氏名、所属、電子メールアドレスを明記の上、3月14日までに。
 

○●○「社会人基礎力」育成の取り組みについて その2 ○●○
 本誌331号において、経済産業省が提唱し、様々な取り組みを進めている「社会人基礎力」について、その構成要素(能力)や、取り組みを進める背景として独自調査からみえる学生・企業間の能力認識のミスマッチや大学授業の課題、さらに社会人基礎力を育てるためのポイントについて簡単にふれてきたが、今回はそれに続き、昨年参加した「普及に向けた事例研究セミナー」(10月11日仙台会場)で取り上げられた実践例(科目において社会人基礎力育成をどのように取り入れるか)について紹介していきたい。
 宮城大学の事業構想学部(文系の事業計画学科、理系のデザイン情報学科)では、「専門性と実践的能力育成を目指した社会人規則育成・普及モデル」(平成20年度~22年度。学部生800名中、350名が育成対象)として、1年・2年次は知識習得型授業科目(事業構想総論、コンピュータ言語など)、3年次は産学連携による実践型学習(総合研究など)を、4年次に専門性を深めた実践型学習(卒業研究)を配置している。また「基礎スキル」(1年生:気づきと振返りの仕方、基礎的コミュニケーション力を身につける)、「学内社会人基礎力」(2年生:学内の授業での行動事実とその成果を評価対象とする)、「学外社会人基礎力」(3・4年生:チーム・個人での学外フイールドワークにおける行動とその成果を評価対象とする)の3つに分けて、各学年・各授業において段階的な育成を図ろうとしている。それらのうちの必修科目の一つである「コンピュータソフトウエア」(富樫敦教授担当)では、もともと理論を学ぶことが中心であった当該科目を、課題解決型の授業に転換する形をとってきた。
 詳細にみていくと、グループ協働によるPBL型実践授業として、90分授業のうち、20-~30分が知識伝達で、残り60~70分は学生の提案プレゼンなど発表にあてている。課題は、研究室の蔵書を検索・登録できるWEBシステムの開発であり、開発はチーム制で4,5人編成としている。全体の流れは、第4回まで「システム企画・提案」でどのようなシステムを作るかの検討を行い、その中で顧客である富樫教授へのヒアリング場面も組み込まれており、知識・インタビュー力、チーム力を問うようにしている。そして第5~7回の「基本設計」を経て、第8回以降では実装・テストを行っていくことになる。実際の開発作業は課外活動でチーム活動での役割分担・作業効率が鍵となってくる。毎回の授業ですべてのチームが発表を行うが、自分の活動を言語化し説明するのみならず、他チームの発表へのコメントも必ず求められ、知識を駆使する能力のほかに「発信力」や「傾聴力」を高める場面も設定して、工夫がなされているようである。その他の工夫として重要なものとして、社会人基礎力を成績評価に反映させており、毎週のチーム活動の振り返りの中で、社会人基礎力の視点をあてはめ「チームへの貢献度」を自己評価・メンバー評価の両方で、社会人基礎力学内行動評価レベル基準(表省略)にもとづき行っている。
   これらに、成果物への学生同士の相互評価なども含め個人の最終評価を行うなど、評価方法についても新たな
観点から作り直すなど修正を重ね、新たな授業展開を行う努力をしているとのことである。どのような専門知識を教えるかを再検討し、実践的場面を教育(授業)の中に作っていくことの意味を問い直すために、これまでとは異なる教育方法やその効果を試し検証していくために、こうした取り組みは大きな示唆を与えると思われる。
        (文責:評価システム研究部門 渡辺達雄)