【No.342】
ラーニング・コモンズの設計のヒント

○●○ 大学コンソーシアム石川 2010年度第8回 FD・SD研修会

「第二サイクルを迎える認証評価と教育情報公表義務化」 ○●○
 
日時:2月8日(火) 18時~19時30分
場所:石川県政記念しいのき迎賓館 3階 セミナールームB(金沢市広坂2丁目1番1号)
講師:早田 幸政氏(大阪大学大学教育実践センター教授)
趣旨:2011年4月から各高等教育機関に義務付けられた教育情報公表項目は、法令上、履行を怠った場合の最も厳しいサンクションが認証評価にリンクするなど、各高等教育機関には、慎重な対応が求められている。折しも、学士課程における認証評価は今春二巡目を迎える。大学評価研究の第一人者である早田教授を迎え、各高等教育機関にとっての喫緊の課題に関するレクチャーを受け、参加者間で議論を行いたい。
※参加申し込み:メールでお願いいたします。件名を、「第8回FDSD研修申込」として①氏名②機関名③所属 をご記入のうえ、oono@ucon-i.jpまでお送りください。開催日前日まで受け付けます。
 
 
○●○ 第6回学生・学習支援研究会開催のご案内 ○●○
 
日時:2月10日(木) 14時45分~16時15分
主催:大学教育開発・支援センター
共催:金沢大学附属中央図書館
場所:角間キャンパス中央図書館3階コラボスタジオ(ラーニングコモンズ)
テーマ:エントリーシート・面接の心得~就職活動にはポイントがあります~
講師:山田政寛(大学教育開発支援センター)
趣旨:2011年に入り、就職活動を行う学生も増えてきており、エントリーシートの執筆や、早ければ面接を受けている学生もいると思われる。しかし、それらをうまくこなすためには他の学生と変わった経験をすれば良いのかというとそうではない。3年間、4年間を通じて、自分に対する理解を深め、自分がやってきたことをどう考えているのか、また学業を通じて得たスキルを応用することが肝要である。今回の研究会では、現在、企業への就職活動をしている本学学生、またその意識がある学生を対象に、エントリーシートや面接の心得について講義を行う。実際に手を動かして、考える課題も用意し、各自の就職活動に有効活用できるように進めていく。
 
 
○●○  ラーニング・コモンズの設計のヒント ○●○
 
近年、大学図書館の位置づけが大きく問われている。教育・研究資料の保存と提供、また情報技術の発展により、資料の電子化が進み、資料の検索技術を中心にした情報リテラシーの育成の場として大学において重要な役割を担ってきた。しかし、今までの大学図書館が持つ資源を有効活用し、学習支援の場としての大学図書館を再構築するという意味で、ラーニングコモンズが登場し、近年、徐々に注目され、日本の大学図書館にも徐々に増えてきている。
  このようなラーニングコモンズが増えている背景には大学図書館の学習支援施設としての立場が問われていることだけではなく、学習観の変化も影響している。それは学習が有知識者から学習者への一方的な知識伝達と記憶という個人の経験に閉じたものや、1人で何度も書いて学習内容を記憶するなど、人間の認知機能のみに頼ったものだけではなく、日常生活や文脈に埋め込まれたものであり、道具を利用しながら人とコミュニケーションし、学ぶことや、グループに参加し、自分に与えられる役割が変化していく過程も学習であろうという、学習を1つの社会的活動と見る学習観も広がっており、近年は社会で広く求められている人材像に合致し、学習者中心の協調学習という学習形態が高等教育機関を中心に採用されてきている。そのような学習観の変化において、大学図書館では1人で書籍をとり、静かに学習するという場のから紙や電子化された様々な情報に基づて、個人とグループ、様々な学びにも対応することが求められてきている。
  しかし、このような学習空間を導入することは容易ではない。予算の問題だけではなく、どのような設計をするべきか、設計要件を検討することが困難である。山内(2010)は学習者中心の環境構築のためには、これまでの学習に対する認識や授業形態の変化だけではなく、物理的に学習形態を制限している学習空間の変革も必要であることをChism(2006)を引用しながら主張しているが、山内(2010)の主張はラーニングコモンズを設計する点でも大変参考になる。山内(2010)によれば、Chism(2006)は学習者中心の学習空間において配慮すべき要素として5つ挙げている。
 
柔軟性があること:発表形態からグループ学習など様々な学習形態に対応できる
快適であること:長い間、学習者に在室してもらえるために
感覚刺激的であること:光の加減や部屋の形状
技術支援:ワイヤレスネットワークやプラグアンドプレイで使用できるデバイスを用意するなど
脱中心的であること:教室以外にも図書館、廊下なども含め、議論などができる
 
これらに基づいて、東京大学本郷キャンパスにある情報学環・福武ホール内にある学環コモンズも以上の点が配慮されているという。大変興味深い要点と実践である。本学のラーニングコモンズも以上の点を配慮した。ラーニングコモンズの一部であるコラボスタジオ(中央図書館3階)の評価では、可動式の机で様々な形に組み合わせることができることや移動式のホワイトボードなどの設置と利用については満足度が高い。また、このような空間で学習するおかげで授業内容の理解が進むことや、図書館に来たくなるという、図書館への来館にも影響が高いことがわかった。今後、金沢大学のラーニングコモンズの空間や設備的な充実、学習支援の方策も含めて検討を進めていくにあたり、大学教育開発・支援センターも支援をしていく予定である。
 
参考文献
山内祐平(2010) 大学の学習空間をデザインする, 佐伯胖監修, 渡辺信一編 「学び」の認知科学事典, 大修館書店, 東京
Van Note Chism, N., (2006) Challenging Traditional Assumptions and Rethinking Learning Spaces, Diana Oblinger (Ed.) Learning Spaces, http://www.educause.edu/Learning Spaces
(山内(2010)内の引用より)
 
文責:教育支援システム研究部門 山田政寛