【No.582】
アクティブ・ラーニングを促すための授業実践と学修支援

○●○アクティブ・ラーニングを促すための授業実践と学修支援○●○

1.平成27年度教育実践報告会参加報告

 3月3日(木)に開催された平成27年度教育実践報告会に参加した。この教育実践報告会は、本学において授業形態に応じたアクティブ・ラーニングを推進するため、共通教育機構および人間社会学域、理工学域、医薬保健学域それぞれで実施された授業のなかから優れた取り組みについて、授業担当教員が報告を行い、実践とその成果を共有することを目的とするものである。平成24年度より実施されており今回で4回目になる。なお、今年度は、AP事業における第3回FDリーダー研修会を兼ねており、教育企画会議教務委員会およびAP事業検討委員会の主催で行われた。

 共通教育機構からは、杉森公一氏(大学教育開発・支援センター)が「反転授業・協同学習によるアクティブラーニング入門の取組」と題して、反転授業や協同学習の考え方を提示した後、実際の授業で用いている反転授業のためのショートビデオの例やグループワークの手法、探求の学びのために学生に投げかけている問いについて具体的に紹介した。人間社会学域の授業実践としては、池下研一郎氏(経済学類)が「大規模講義におけるアクティブ・ラーニングの導入」として、受講生が200名を超える主に1年生向けの専門基礎科目での実践を報告した。学生の学習意欲を喚起し講義内容の理解を深めるために、今年度よりグループ・アクティビティとミニッツペーパーを導入したということで、アクティビティの内容例やミニッツペーパーの活用方法とフィードバックの例が示された。導入の効果として授業に対する理解度と興味の高まりが見られた一方、大規模講義におけるディスカッションの促進方法や自発的学習に対する動機づけの弱さが課題として残ったとのことであった。理工学域からは、大塚浩史氏(数物科学類)が「専門基礎科目(数学)における予習とグループ討論の導入事例」として、座学形式の講義と対として設計されている1年生向け演習科目における取り組みを紹介した。この授業は、講義科目で学習した内容に基づく演習問題および英語によるe教材に、6名グループで取り組むことを特徴としている。ひとりではわからない問題でも、グループ内で互いに相談し教えあうことによって解決する仕組みとなっている。学生間のつながりの醸成や予習の必要性への理解が進んだ一方、グループ学習導入による学力の向上はみられなかったことが問題点として指摘された。最後に医薬保健学域での実践報告として、「薬学類におけるチューター制度の単位化とPBL授業へのALAの活用」と題して松下良氏(薬学類)が、薬学類のカリキュラムを説明したうえで、下級生の演習・実習科目においてチューターを務めることを授業内容とする「総合薬学演習」(6年次)の様子と効果、5年次の実務実習に先立ち基本的知識・技能・態度を修得することを目的とする「薬物治療演習」(4年次)におけるPBL授業の方法とアクティブ・ラーニング・アドバイザー(ALA)導入の効果を報告した。ALAによる学修支援については、先述の池下氏と大塚氏の授業でも取り入れられており、グループ議論の促進、ミニッツペーパーに対するより良いフィードバック、さまざまな受講者への対応、学習者の立場・目線にたった支援、発表の質向上など、多様な面において効果がみられたとのことであった。

 それぞれの報告後に行われた質疑応答や最後の全体討論では、ミニッツペーパーの確認やフィードバックにかかる時間、グループの編成の仕方、議論が進まないグループの理由など具体的な質問が出され、報告者の実践から学び、自分自身の授業に反映させていこうという参加者の意欲がうかがえた。議論はさらに、グループ学習を取り入れた場合にクラス全体として生み出される意義、学生の深い学びを促すためにすぐれた問いを立てる重要性、個々の授業のみではなくカリキュラムとしてアクティブ・ラーニングを充実させる方法、ルーブリックも含めた知識・理解以外の技能や態度の評価方法、質の高いALAの育成など、学生の深い学びを促すためのカリキュラムや授業設計とその評価、学修支援のあり方にまで多岐にわたって行われた。

今回の授業実践報告会では、例えば同じくグループワークという方法を取り入れていても、授業の目的や内容によってその具体的な取り入れ方、進め方は異なってくることが示され、アクティブ・ラーニングの推進にあたって学問分野や授業形態に応じた適切なあり方を見いだす重要性をあらためて感じる場となった。個々の授業で取り組まれている多様な授業方法とその導入目的や効果に学びつつ、報告や討論で提起された課題を受け止めて、次年度以降のAP事業を進めていきたい。

 

2.平成27年度後期ALA報告会

今年度後期に学修支援活動を行ったALAを対象として、2月にALA報告会を実施した。ALA制度やALAによる学修支援の内容については、これまでにも本センターニュースで紹介してきているが、ALAには研修(研修会への参加)と報告(活動報告書の作成と報告会への参加)が必須となっている。ALA報告会は、ALA経験者から新規ALA学生への経験伝達の場としても位置づけ、通常は次期のALA研修会と合わせて開催している。ただし、次回のALA研修会は4月開催を予定しており、今年度卒業・修了する学生は参加が難しいことから、それらの学生を対象にALA報告会を単独で行った。

報告会は、書いてきた活動報告書をもとに、学修支援活動として具体的にどのようなことを行ったのか、それによって受講生にどのような効果があったと思うか、自分自身にとってはどのような学びがあったか、どのようなことが難しかったかなどについて、ALA学生それぞれに自由に話してもらい、気になった点について尋ねる形で進めた。ALAによる学修支援の効果については上述のように教育実践報告会においても指摘されたが、グループでの議論の際にうまく入れていない学生の参加を促したり、議論への雰囲気づくりを行ったり、より良い発表となるよう資料や発表のしかたを助言したり、何がわかっていて何がわかっていないのか学生自身に気づいてもらい授業内容への理解を深める支援をしたりと、さまざまな効果をALA自身が実感していることが明らかとなった。同時に、ALAにとっても、授業内容や専門知識の深まり、異なる考え方や視点の習得、自身の学習への姿勢の問い直し、相手の理解や考えを促すような発言や問いかけ方の発見や習得などの機会となり、時に迷いや困難に直面しながらも、活動を通して多様な面で理解や考えを深めていったことがうかがえた。学修支援活動を通した深い学びにも焦点をあてて、今後、受講生、ALA、そして教員にとってより良いALA制度となるよう改善を図っていきたい。なお、平成27年度後期のALA活動に関しては、4月の報告会終了後、学修支援内容や効果、課題について分析・検討を行い、学内外に向けて結果を発信する予定である。

(文責 AP事業(アクティブ・ラーニング)担当 河内真美)