【No.578】
高大接続改革について-大学入学希望者学力評価テストのイメージ

○●○ 高大接続改革について大学入学希望者学力評価テストのイメージ ○●○

 「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(中央教育審議会、平成26年8月)の発表後、高大接続システム改革会議において、高校・大学教育改革、「高等学校基礎学力テスト(仮)」「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」、の各領域に関する議論、関係者(高校、大学協会等)との意見交換などが漸次進められている。上記の中で、大学入学希望者学力評価テストは、各種能力を評価するための方法のイメージ例やあるいは具体的な問題イメージなども俎上に上がってきている。いずれもたたき台(案)に留まるものの、今後我々が個別テストも含め様々な論点について検討するさい重要な材料となるので、少し触れたい。

 今後の社会の動向を踏まえ、大学入学者選抜において、大学における学修や社会において必要な問題発見・解決能力を有しているかどうかを評価することが重要となる。そのため、上記テストでは、①内容に関する十分な知識と本質的な理解を基に問題を発見・定義②様々な情報を統合しながら問題解決に向けて主体的に思考・判断し③そのプロセスや結果について表現し実行するために必要な能力をいかに適切に評価するかを重視すべきで、こうした観点から作問すべきとされている。基本的な構成は、記述式問題(当面は国語・数学)、英語の他技能を評価する問題、多肢選択式を中心とする問題(各教科目)の方向になるとみられる。

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高大接続システム改革会議第9回配布資料

「思考力・判断力・表現力」を問う問題については、①個別選抜になじむ問題(上図の右上領域)と、共通テストになじむ問題がある(中間領域)と考えられているが、結論や結論に至るプロセスを解答させる条件式記述式問題についてそれらを問うための条件をみていくと、思考力・判断力は、「解答を自由に記述するのではなく、例えば、あらかじめ結論(複数の場合もある)を設定したうえで、結論を導き出した理由、結論を導き出す思考のプロセスを説明することを条件とすること」や「結論を導き出す思考のプロセスについては、例えば、①問題の理解、②情報の統合、③解決方法の探索、計画

立案、④考察過程や考察結果の吟味といった思考のプロセスが適確に行われているか、それぞれの要素を個別に問うことや全体の流れを説明できるかを問うことが考えられる」などとされている。

 さらに進んで具体的に、求められる諸能力育成のため教科で重視すべきプロセスが提示されており、例えば、【国語】では、「多様な見方や考え方が可能な題材に関する文章や図表等から得られる情報を整理し、概要や要点等を把握するとともに、他の知識も統合して比較したり推論したりしながら自分の考えをまとめ、他の考えとの共通点や相違点等を示しながら、伝える相手や状況に応じて適切な語彙、表現、構成、文法等を用いて効果的に伝えること」と提示されている。そしてこの学習プロセスに対応して【国語】で評価すべき具体的な能力(案)が次のように示される。

センターニュースNo.578図2.jpg

出典、同上会議配布資料

 そして問題イメージとして、例えば、

(公立図書館に関し,その現状と課題の他,若者の自立・社会参画支援を推進する場,家庭教育支援のための場,地域の人たちの対話や交流の場としての試みなど今後の公立図書館の可能性等について記した1,400字程度の新聞記事を読んで答える問題)

問 今後の公立図書館の在るべき姿について,あなたはどのように考えるか。次の1~3の条件に従って書きなさい。

条件1200字以上,300字以内で書くこと(句読点を含む。)。

条件2解答は2段落構成とすること。第1段落には,今後の公立図書館が果たすべき役割として,あなたが重要と思

うものについて書くこと。その際,文中に示された公立図書館の今後の可能性のうち,今,あなたが重要と考える事項を一つ取り上げ,本文中の言葉を用いて書くこと。第2段落には,仮にあなたが図書館職員だとした場合,図書館において,第1段落で解答した姿を実現するために,どのような企画を提案したいかを記すこと。その際、企画の内容に加えて企画の効果についても記すこと。(後、省略) が提示されている。

 いずれにせよ今後の展開を待たないといけないが、平成32年度以降、アドミッション・ポリシーに適う「知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力」の水準を如何にして評価していくか、これまでのセンター試験と個別大学試験が果たしてきた機能を新テスト体制に移行したとき、どのように担保し発展させていくか、大学入学希望者学力評価テストも具体的制度設計の進展状況を睨みながら、継続して検討していかなければならないと思われる。

(文責 評価システム研究部門 渡辺達雄)

●○● 第25回学生・学修支援研究会のお知らせ●○●
日時:2月18日(木)16:30-18:00
場所:角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
タイトル:「文学部教育を問う―私立大学における在学生・卒業生調査の実践から―」
概要:学習院大学人文科学研究所では、文学部教育を問い直すための一連の調査票調査を実施した(共同研究プロジェクト「人文系学士課程教育における卒業論文がもたらす学習成果の検証」研究代表者:神田龍身)。本発表では、同プロジェクトの一環として実施された学習院大学文学部の在学生調査および卒業生調査の分析結果を、特に同学部における学びと、学習成果および卒業後の生活との関連性に焦点を当てて報告する。「文学部での学びは就職の役に立たない」といった従来からの見方をはじめ、文学部に向けられる視線は総じて厳しい。また、人文社会科学系分野に関する文部科学省の通達以降、人文系の大学教育が問い直される機会が多くなっている。本発表は、特定の私立大学における調査実践の成果報告であり、発表者自身は人文系研究者ではないという限界があるが、分析結果をもとに文学部教育について議論する機会としたい。発表は、中心となって同プロジェクトを進めた学習院大学の篠田雅人氏と、調査協力者として参加した谷村英洋が行う。