【No.576】
学士課程教育の学習成果(Learning Outcomes)―他大学の事例(2)

●○●学士課程教育の学習成果(Learning Outcomes)―他大学の事例(2)●○●

教育プログラムの学習成果(Learning Outcomes)とその達成のためのカリキュラムを明示することは、教育の内部質保証とともに学習成果の国際通用性を明示する上で必須となっている。本学は、共通教育を含む全学が共有する学習成果としての金沢大学<グローバル>スタンダード(KUGS)とその下の階層に各学類DPから導出された学習成果、さらに各学類の学習成果と授業科目との連関を可視化するカリキュラム・マップを公表している。センターニュースNo.519、523、527、531において、本学と海外の大学との間での学習成果、カリキュラム、授業科目の対応関係を明示するツールとしてVALUE(Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education  Rubrics) ルーブリックを活用することについて考察した。センターニュースNo.569では、他大学の例としてアメリカの代表的なリベラルアーツカレッジとして知られるカールトンカレッジ(Carleton Colledge)を取り上げ、6つの学習成果が全学で共有されていること、そのうち5つの学習成果には4段階のレベル評価基準が設定されていること、そのレベル評価基準の一部はVALUEルーブリックを参考にしていること、残りの1つの学習成果は、各Departmentの学習成果に連結されていることを大学HPの情報に基づき紹介した。今回は、本学の各学類DPから導出された学習成果とカリキュラム・マップを他大学のそれらと対比させることを念頭に、同様の様式を公表している例としてオレゴン大学のCollege of Arts and Sciencesを取り上げ、Department of BiologyおよびDepartment of Mathematicsの学習成果を以下に紹介する。

【Learning outcomes required for completion of a major in Biology】

1.     学生は、様々な階層における生物学の広範な知識、つまり分子レベルから生態系に至る異なる階層における生物の組織化について理解していることを示している。

2.     学生は、生物の多様性について認識し、すべての生命体は遺伝子レベルでの生物進化の所産でることを理解していることを示している。

3.     学生は、カリキュラムの主要な領域(細胞/分子、組織/生体、生態系/進化)を横断して科学的情報を読み、理解し、批判的に評価する能力を示している。

4.     学生は、科学の探究のプロセスおよびその応用についての理解、つまり十分な推論に基づき仮説を形成しそれを検証するための実験を設計できる能力を示している。

5.     学生は、生物が処理する情報を理解するために数学あるいは統計学の手法を適用する能力、その生物情報をグラフィカルに表示した図表を解釈する能力を示している。

6.     学生は、科学に関するアイデアを一般の人々および研究者に対して口頭および文章によって明確に伝える能力を示している。

7.     学生は、現代社会における生物科学の重要性を理解していることを示している。

Department of Biologyは、以上7つの学習成果を設定し、さらにこれらの学習成果(列)と授業科目(行)との連関をマトリックスとして表示するカリキュラム・マップを公表している。授業科目はLower Division Biologyに区分される200番台の科目ナンバーを持つ授業科目(BI211, BI212, BI213, BI214, BI281H, BI281H, BI283H)とUpper Division Biologyに区分される300番台および400番台の授業科目からなり、カリキュラム・マップから例えばBI214(General BiologyⅣ:Mechanisms)は、学習成果2、4、5に対応付けられていることがわかる。本学のカリキュラム・マップと同様に、一般に1つの授業科目は複数の学習成果と連関し、その連関の程度は、I=introduces outcome; D=develops outcome; A=assesses mastery of outcomeによって示されている。

College of Arts and SciencesのDepartmentはGeneral Educationの授業科目も提供しており、Department of Biologyは6~8の100番台の授業科目(BI121 Introduction to Human Physiology, BI123 Biology of Cancerなど)を提供している。これらの授業科目の内容は相互に異なるが、以下の3つの内容について理解することを共通の学習成果としている。

1.生物とその生命現象

2.観察から仮説を形成し、その仮説を検証するために実験・研究を設計し、それらの結果に基づいて結論を導き出すという科学のプロセス

3.生物学のデータを示す図表やその他データを可視化したものを解釈し、生物学の問題に統計学の手法を適用するといった生物学の定量的な側面

【Learning outcomes required for completion of a major in Mathematics】

1.学生は、計算技法、また極限値と導関数が存在するか否かを示すことができる能力を含め微分積分学の応用について熟達していることを示している。

2.学生は、線形代数と基礎解析を含む数学の幅広さについて熟知していることを示している。

3.学生は、論理的に正しい論拠を構築しながら数学での証明を読解し書き下していることを

示している。

4.学生は、数学のいくつかの特定の領域についての深い理解を示している。

 

 以上、学習成果および学習成果と授業科目の連関を可視化するカリキュラム・マップを公表している他大学の事例としてオレゴン大学のCollege of Arts and Sciencesを取り上げ、大学HPに掲載されている情報に基づいて紹介した。本学の各学類の学習成果およびカリキュラム・マップと同一の形式である。このような学習成果の可視化の形式が同一の場合は、双方の学習成果の対応関係を明確にすることが重要であると考えられる。

(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)

*上記の情報は以下のUniversity of Oregon College of Arts and SciencesのHPに

基づいている。    http://cas.uoregon.edu/learning-outcomes/

 

●○●大学教育再生加速プログラム第3回教学IR研修会のお知らせ●○●

主 催 大学教育再生加速プログラム検討委員会

日 時 2月10日(水)14時30分~16時00分

会 場 角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室

講 師 茨城大学大学戦略・IR室准教授 嶌田敏行氏

テーマ 「茨城大学のIR~組織立ち上げから現在の運営に至るまで~」