【No.575】
学修支援の担当者養成と実践

○●○学修支援の担当者養成と実践○●○

1.「ラーニング・サポート担当者研修」参加報告

2016年1月15日(金)に金沢大学附属図書館中央図書館にて開催された「ラーニング・サポート担当者研修:学修支援スキルとコミュニケーション力を身につけよう!」に、見学者として参加する機会を得た。この研修は、大学間連携共同教育推進事業「学都いしかわ・課題解決型グローカル人材育成システムの構築」[i]における図書館機能強化プログラムの一環として、丸善株式会社への委託により実施されたものである。今日の高等教育機関の附属図書館にとって学生の学修支援が大きな課題になっているとして、学修支援担当者に求められる役割を理解するとともに、相談者と良いコミュニケーションを築き学修支援にあたるためのスキルを向上させることを目的に開催された。中島里奈氏が講師を務め、レクチャーと参加者が実際に考え議論するワークを組み合わせて進められた。当日は、金沢大学以外の高等教育機関(北陸、九州、関西、中部地方)に所属する5名を含む18名(見学者を除く)が参加した。その内訳は、学修支援業務を担当している教職員、学修支援に関する運営に携わっている教職員、金沢大学のラーニング・アドバイザーなど学修支援補助業務にあたっている大学院生と多様であった。

研修は、まず参加者が抱えている学修支援上の課題について共有することから始まった。グループでの話しあいと全体での共有を通して、学修相談の場を設けても学生に来てもらえないといったことから、担当者の養成など学修相談の運用面、学生とのコミュニケーションの問題までさまざまな悩みや課題が出され、参加者が試行錯誤のなかで日々学修支援にあたっている様子が伺えた。この議論を起点として、教える方法としてのティーチングとコーチングの違いを踏まえたうえで、学修支援者として求められる3つのスキル(相談しやすい場づくり、相談者へのヒアリング、フィードバック)に関して、より良いコミュニケーションを行うための話し方や聴き方、言葉がけを中心に理解が深められていった。これらのスキルを踏まえて、最後に、学修支援相談において主要な事項のひとつであるレポートや論文のライティングに関する指導場面を想定して、支援のあり方が議論された。

上述のように、研修ではそれぞれの内容がレクチャーとワーク(グループ・ディスカッションやロールプレイ)によって組み立てられ、学んだ知識を活かして模擬状況における実演をしてみたり、参加者の経験や考えを出発点とした議論を行ったりと、学んだ知識を実践で使用できる力として定着させるための工夫がなされていた。同じ内容を学ぶとしても、説明として聴くのみよりも、ワークを通して自分の意見を考え、それを他の参加者と共有しフィードバックをもらうことによって、実際の活動において活きてくる知識となるかは大きく違ってくるであろう。参加者間での意見交換や質疑応答は大変活発に交わされ、3時間半にわたる研修が短く感じるほど充実した時間であった。参加者には、研修で学んだことを実際の学修支援活動にどう活かせるか、活動の質向上や課題解決にどうつなげられるか(あるいは、学んだこと以外に何が足りないのか)を考え、周囲の人々と議論し、実践へと移していくことが求められる。筆者にとっても、今後ALA研修(内容や構成、方法)の改善を検討するうえで参考となる研修であった。

 

2.ALAによる学修支援活動

 以前よりセンターニュースでも紹介しているとおり、本学のAP事業では、平成27年度より人間社会学域および理工学域の専門教育科目を対象として、アクティブ・ラーニング・アドバイザー(ALA)制度を導入している。ALAとは、アクティブ・ラーニング型授業において、授業時間内外で受講生の学修を支援する学生(学士課程2年生以上の学類生および大学院生)である。平成27年度前期には試行段階として募集対象を一部の科目に限定したが、後期からは講義、演習(少人数のゼミや卒業論文の指導に相当する科目を除く)のほか、実験、実習、実技の形態をとる専門教育科目へと対象を拡大している。その結果、後期は二学域合わせて16科目、44名のALAが採用された。なお、AP事業におけるALA制度の運用実績を踏まえて、後期からは医薬保健学域でもスーパーグローバル大学創成支援事業のもとALA制度が導入され、全学的な拡がりをみせている。

 今年度後期におけるALAの学修支援活動としては、授業時間内ではグループワーク(ディスカッションやグループで取り組む演習問題、発表)における助言やフィードバック、受講生が個人で演習問題に取り組んでいる際の質問対応や助言など、授業時間外ではレポート作成やグループ発表準備への助言、授業内容の理解度を確認するための小テスト(成績評価には結びつかない)の実施とフィードバック、質問対応などが行われている。前期より一層多岐にわたる活動が行われており、ALAによる学修支援がもつ可能性の大きさがうかがえる。後期に採用されたALA学生には、前期同様、アクティブ・ラーニングに関する理解を深め、学修支援のためのスキルを向上することを目的としたワークショップ形式の研修会を開催した。また初の試みとして、研修会の後半30分は前期のALA学生の報告会を兼ねて実施し、ALA間での経験共有の場とした。

 ALAによるピアサポートとしての学修支援という取り組みを一年間進めてきたなかで、受講生に対する教育効果のみではなく、ALAを経験した学生の深い学びを促す効果がみられている。その一方で、運営上、実践上の課題や要望も出てきている。その一部を例としてあげると、ALAが学修支援活動を行うにあたって必要となる授業担当教員との打合せや振り返りをALAの活動時間として認められないか(現行ではそれらは含まれていない)、授業時間とALAになってほしい学生の履修授業時間(時間割)が重なったり研究室外の学生に声をかけづらかったりなどによってALAを見つけにくいといったことである。現在、平成28年度の取り組みに反映できるよう、これらの課題を整理し、状況の改善に向けてALAの業務内容の見直しやALAの公募制導入などの検討を進めているところである。

 

【平成28年度ALA採用科目の募集について】

 人間社会学域および理工学域において、AP事業による平成28年度ALA採用科目の募集がまもなく開始されます。対象は、両学域において学域共通科目、学類専門基礎科目、学類専門科目として前期に開設される講義、演習、実験、実習、実技科目のうちアクティブ・ラーニング型授業を行う科目です。詳しくは、1月末から2月初めに各学域から送付される募集についての案内をご覧ください。募集締切は2月29日となっています。

なお、医薬保健学域に関しては、スーパーグローバル大学創成支援事業により同様の募集がある予定です。

(文責 AP事業(アクティブ・ラーニング)担当 河内真美)



[i]大学間連携共同教育推進事業「学都いしかわ・課題解決型グローカル人材育成システムの構築」<http://gakuto.ucon-i.jp/>