【No.550】
アクティブ・ラーニング・アドバイザー制度の発足

○●○アクティブ・ラーニング・アドバイザー制度の発足○●○

 今年度4月より、本学AP事業の一環として、アクティブ・ラーニング・アドバイザー(以下ALA)制度が発足した。本稿では、ALA制度の趣旨、ALAに採用された学生に対する研修会の概要、そしてALAによる学修支援の開始について紹介する。

 

1.ALA制度

 本学AP事業では、学生の主体性を涵養するカリキュラム・教育方法・学修支援環境の統合的改革に向けて、人間社会学域と理工学域の専門教育を対象にアクティブ・ラーニングの深化・充実を図っている。教員と学生間の意見交換や学生同士での活動を通して展開される授業においては、学生のアクティブ・ラーニングを深めるにあたっていくつかの課題がある。そのひとつが学生の学修への支援である。特に受講生が数十名を超える授業においては、グループでの学習活動を取り入れても、教員ひとりでは各グループの取り組みや議論の状況を把握し、適切な助言を与えたり、学生一人ひとりの様子に目を配ったりすることは難しい。また、授業時間外で予復習課題について、実施状況を確認したり学生の質問・疑問に答えたりするのも教員のみでは十分に対応できないことが多い。この課題を解決するために導入されたのがALA制度である。

 すなわちALAとは、アクティブ・ラーニングを導入する双方向型授業において、受講生のアクティブ・ラーニングの充実と質の高度化を目的として、担当教員の指導のもとに授業時間内外で学修支援を行う上級生の学生スタッフ(学士課程2年生以上)である。ここでALAの役割が、教員の教育補助ではなく、あくまでも学生に対する学修支援であることに留意したい。この点が既存のティーチング・アシスタントとは異なる点である。したがって、授業資料の印刷、機材準備や出欠管理のみの活動では、ALAとしては適さないことになる。それらの業務ではなく、受講生と直接的な接点をもち、グループワークへの助言や学生間の議論促進、学生が取り組んだ課題等への即時的なフィードバック、予習内容の理解度確認などにあたることが期待されている。

 

2.ALA研修会

学生の学修支援にあたるうえでは、授業内容に精通しているのみではなく、学修支援に関わる知識、能力および態度を持ちあわせていることが必要となる。そのため、5月21日および6月9日の2回にわたり、今年度前期開設科目のALAとして採用された学生を対象に、学修支援に関わる知識や能力の獲得を目的としたALA研修会を実施した。講師は、杉森公一准教授(大学教育開発・支援センター)と河内が務めた。

 研修会では、アクティブ・ラーニングの定義、ALA制度の趣旨、ALAの役割・活動例と心構えについての説明をした後、学修支援のスキルを身につけることを目的にアクティブ・ラーニング手法(ペア・リーディング、シンク・ペア・シェア、ロールプレイ)を用いた活動を行った。具体的には、グループワークを促すための対応策についてシンク・ペア・シェアにより意見の交換と共有を図り、ロールプレイではALA役、学生役、観察者の三人一組になって、授業内容を理解できていない学生に対する支援のあり方について考えてもらった。これらの活動を通して、ALAとして学修支援にあたるうえで必要な効果的な教え方、わかりやすい教え方のスキルを獲得する機会になったと思われる。

 

3.ALAによる学修支援の開始

上記の研修を受けたALAは、5月下旬以降、それぞれの担当授業で学修支援を開始している。今年度前期は試行的段階として、ALAの参画を希望する授業科目の募集対象を、AP事業においてパイロット科目またはAL重点拡充科目に選定されているもの、およびFDリーダーが担当しているものに限定した。選考の結果、人間社会学域で2科目2名、理工学域で9科目22名、計11科目24名のALAが採用されることとなった。採用されたALAは、学士課程の3年生から博士後期課程の大学院生まで学年には幅がある。

今回採用されたALAによる具体的な学修支援内容は、グループ・ディスカッションの活性化、グループ発表とその準備に対する助言やフィードバックといったグループワーク支援、授業の演習問題等に関する理解度確認や学生の質問への対応、レポートや論文の書き方や構成に関する助言など、各授業で導入されているアクティブ・ラーニングに応じて多岐にわたる。これらの学修支援を通して、受講生のアクティブ・ラーニングの質が向上し、授業内容に関する知識や能力の定着と深化が図られるとともに、思考力や発信力などの獲得が期待される。授業担当教員にとっても受講生の理解度や意見をしっかりと把握し、それに基づいて授業を展開することが可能になる。さらにALAにとっても、学修支援を通して、授業内容に関する知識や能力をより深められると同時に、指導力やリーダーシップを身につけられるであろう。

 

 ALAによる学修支援が行われている授業に対しては、実施状況やその効果を把握するために見学やヒアリングを行う予定である。当該授業におけるアクティブ・ラーニングやALAによる支援の様子については、今後のセンターニュースで報告したい。また、ALA制度は、「同じ学生(peer)同士が専門性を持つ教職員の指導(supervision)のもと、仲間同士で援助し、学び合う制度(プログラム)」[1]であるピア・サポート・プログラムのうち、アクティブ・ラーニングに特化したものであると言える。ピア・サポート・プログラムに関する研究や他大学の取り組み事例に照らした本学のALA制度の位置づけや特質に関しても今後示していきたい。

 

(文責 AP事業(アクティブ・ラーニング担当) 河内真美)



[1]沖裕貴(2015)「「学生スタッフ」の育成の課題―新たな学生参画のカテゴリーを目指して―」『名古屋高等教育研究』第15号、p.6。