【No.544】
AP事業特任助教(アクティブ・ラーニング担当)より

はじめまして。4月1日付けで大学教育開発・支援センターに着任いたしました特任助教の河内真美(かわちまみ)です。「大学教育再生加速プログラム(AP)」事業[1]のアクティブ・ラーニング担当として、本学におけるアクティブ・ラーニングの推進に向けた支援に携わってまいります。センターニュースでは、AP事業の進捗状況やアクティブ・ラーニングに関する情報の発信を行っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○●○AP事業特任助教(アクティブ・ラーニング担当)より○●○

1.自己紹介

 大学院生として在籍した筑波大学では、発展途上国といわれる国々における識字の普及状況や十分な識字能力をもたないために人々が抱えている困難に問題関心をもち、国際社会の潮流やNGO等による識字教育プログラム、それらを下支えする識字理論に関して、比較教育学と社会教育学にまたがる形で研究を進めてきました。大学院はこの3月で退学しましたが、この研究テーマは継続し、「識字問題を解消することがどのように可能か」という問いについての考察をより深めていきたいと思います。

その一方で大学院生時には、平成20年度質の高い大学教育推進プログラム(文部科学省補助事業)に選定された同大学の取組「筑波スタンダードに基づく教養教育の再構築」[2]の研究員としても活動しました。この事業では、グループ・ディスカッションやクリッカー、演示実験、学習管理システムであるMoodleなどの技法を取り入れたアクティブ・ラーニング型の教養教育講義科目の開発や計画、運営、評価の支援を行いました。また、アクティブ・ラーニング型授業の充実化にはTAなどを担う学生の協力・関与が鍵となりますが、それらのTAに対する研修プログラムを計画し、将来の大学教員や高度職業人を養成するためのプレFDの一環として実施してきました。活動を通して、大人数講義科目でも工夫しだいで学生のアクティブ・ラーニングを促すことが可能であること、それが学修内容に対する学生の関心や理解の深まりをもたらすこと、TAとして関わった学生の教育力が向上することを実感しました。しかし同時に、アクティブ・ラーニングのさまざまな技法を授業に効果的に導入する難しさを感じる場面も多々ありました。このような研究員としての活動から得た知見と経験をより発展させて、AP事業推進という今回の任務に携わっていきたいと思います。

 

2.AP事業

 「大学教育再生加速プログラム」(AP)は、「国として進めるべき大学教育改革を一層推進するため、教育再生実行会議等で示された新たな方向性に合致した先進的な取組を実施する大学を支援することを目的」に行われる、文部科学省の補助事業です[3]。テーマⅠ(アクティブ・ラーニング)・テーマⅡ(学修成果の可視化)複合型に採択された金沢大学では、学生の主体性を涵養するカリキュラム・教育方法・学修支援環境の統合的な改革を目的として、人間社会学域と理工学域の専門教育を対象に次の3施策に取り組んでいます。すなわち、①学域・学類の中核をなす科目群でのアクティブ・ラーニングの深化・充実、②アクティブ・ラーニングに適した学修環境の活用・展開、③学修過程・成果の可視化による学修評価の定量的評価(IR)です。

このうち、私は主に①と②の施策を担当します。施策①に関しては、アクティブ・ラーニングの多様な技法を適切かつ効果的に取り入れて行われている講義授業を対象に、授業方法や技法の用い方、アクティブ・ラーニングを促すための工夫についての情報や担当教員の考えを「授業カタログ」として収集し、共有していきます。また、各学類のFDリーダーを通してアクティブ・ラーニングやその技法に関する教員の共通理解を深めていきます。これらの活動により、授業改善に向けた教員間の相互作用を促しながら、「なぜアクティブ・ラーニングなのか」「担当授業科目の分野や自分の授業スタイルで、(どのように)学生のアクティブ・ラーニングを促すことが可能なのか」という疑問や「アクティブ・ラーニング型授業をするための参考になる情報がほしい」という要望に応えていきたいと思います。施策②に関しては、アクティブ・ラーニング型授業における学生の学修支援にあたる上級生(学類生、大学院生)であるアクティブ・ラーニング・アドバイザー(ALA)の養成や、移動可能な机・椅子、ホワイトボード、プロジェクタが設置されグループ学修に適した学修空間の整備と利用促進など、ソフトとハードの両面から学修環境の充実化を図っていきます。

 

3.ALA制度の発足

 先に言及したALA制度が今年度発足しました。今月28日、30日には本学教員を対象としたALA制度説明会が開催され、5月からは、ALAの採用や研修、業務開始が一部の科目で進められていきます。これまでに経験のない新しい制度であり、色々な課題も出てくるかもしれませんが、学生の学修支援体制の確立に向けてより良いものへと改善していきたいと思いますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。ALAの研修などについては、今後のセンターニュースでも発信していきます。

(文責 AP事業(アクティブ・ラーニング担当) 河内真美)

 



[1]金沢大学のAP事業については以下を参照。http://apuer.adm.kanazawa-u.ac.jp/

[2]筑波大学の「筑波スタンダードに基づく教養教育の再構築」については、同大学教養教育機構のウェブページに詳細が掲載されている。http://www.ole.tsukuba.ac.jp/

[3]文部科学省「大学教育再生加速プログラム」http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/ap/