【No.532】
金沢大学におけるIR構想

○●○金沢大学におけるIR構想○●○

 平成26年度採択された2つの補助事業、スーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)および大学改革再生加速プログラム(AP)の構想調書において、IRへの言及が多くなされている。IRとはInstitutional Researchの略語であり、大学の文脈において訳すと機関調査となる。一般的に、IRの機能としては、計画策定支援、政策決定支援、意志決定支援、評価活動支援、報告書・レポート作成支援、情報提供、(エビデンス)データの収集管理・分析、個別テーマの調査・研究、コンサルティングなどと多岐にわたる。

 SGUにおいては、2.ガバナンス改革関連(2)ガバナンス⑤IR機能の強化・充実というのが調書の見出しとなっており、何らかの対応を記入しなければ申請すら出来ない形となっている。実際に採択された調書においては、これまでの取り組みとして、情報戦略本部を中心にIRについて検討し「金沢大学経営情報戦略の在り方」という報告書がまとめられたこと、そこでの提言を受けた具体的な取り組みが進められていることが記されている。本報告書では、IR担当組織としての大学情報戦略室の設置、金沢大学における3つのIR(教育及びエンロールメントIR、研究連携・促進IR、大学経営情報IR)の利活用について述べられている。SGUにおいては、それらの取り組みを進めるべく、平成27年度に大学情報戦略室を設置するとともに、教学、研究、経営の3分野に関わる部署と連携しながら、IRの基盤となる各種事務システムデータ収集、分析を進め、SGU自体の自己評価に活用するとされている。これらはあくまでも調書上での構想であり未定の部分も多く残されているが、金沢大学として教学、研究、経営の3分野におけるIR活動を進めていく方針は変わらないものと思われる。IR活動には情報の積極的な外部発信も含まれる。

 中でも教学マネジメントに関わる教学IRについては、学生の主体的学習評価を重視しながら、学修成果を定量的に評価するIRを確立し、GPAを補う学修評価の仕組みとしての学修ポートフォリオやカルテの活用、学類基礎科目から卒業研究までの長期の学修到達度を自己評価するルーブリックなどを開発し、実施するとされている。学修の他にも学生満足度調査、就職状況、学生募集活動、入学試験関連情報なども教学マネジメントには欠かせない情報となる。学生の学びや成長を測ることは難しい問題ではあるが、一部でも測れるもの、数値化できるものについては大学として責任を持って管理し、学生の学修支援に活用することが重要である。

 AP申請調書においては、「学生の主体性を涵養するカリキュラム・教育方法・学修支援環境の改革と統合を目的に,学士課程の専門教育を対象に3つの施策:(1)学域・学類の中核をなす科目群へのアクティブ・ラーニングの導入促進,(2)アクティブ・ラーニングに適した学修環境の設計・整備及び(3)学修過程・成果の可視化による学修評価の定量的評価(IR)に取り組む」とされ、IRが活動の柱の一つとしてあげられている。より具体的には、人間社会学域と理工学域において、1. これら2学域の実情に合わせた学修ポートフォリオ/学修カルテを設計し,GPA を補う新たな学修指標を策定すること、2. すでに実施している学類・大学院における学習成果等の自己評価アンケートで得られた学習成果の達成度進捗状況を,個別の学修ポートフォリオ/カルテと同期し,学期や年度ごとに学習成果と自学自習を関連させた振り返りに用いることができるシステムを設計すること、3. アドバイス教員は学修ポートフォリオ/カルテの作成を支援すること、4. この学習成果(と学生の学修の質に関するインタビュー調査)に,科目の成績分布の公表,成績基準の平準化(客観化)と成績の厳格化を加えて,多元的な成績評価の体制を確立することが記されている。

 このようにSGU、AP両事業においてIRを進めることが明記されている。とは言っても何でもかんでも数値で判断すればいいという話ではないことはご理解いただきたい。学内でのあらゆる活動は人間が行っており、人間より数字が偉いと言うことはあり得ない。大学情報戦略室等のIR担当部署は、通常活動、業務を客観的に見られるようにデータを提供することで、(改善活動も含む)個別の活動を支援、後押しするための部署である。また、収集されるデータも全てが新しく作られるものではない、それぞれの部局や担当者が既に持っているものが大半である。これからの活動において、それら学内データを連携させ活用することで両事業の調書に書かれている構想を実現し、金沢大学をより良くしていくことが重要である。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

 

 

●○●大学教育再生加速プログラム第1回教学IR研修会「客観的なデータに基づく大学改革の推進」の開催について●○●

主 催 大学教育再生加速プログラム検討委員会

日 時 2月2日(月)16時30分~18時00分(5限)

会 場 総合教育1号館2階大会議室(角間キャンパス)

講 師 佐賀大学 IR室 室長 西郡 大 氏

         総務部企画評価課係長(IR主担当)末次 剛健志 氏

テーマ 「客観的なデータに基づく大学改革の推進」

内 容  佐賀大学では,学長主導の下,病院での管理会計のノウハウを生かした先進的なIRを進め,大学が保有する情報を有機的に組み合わせ意思決定に生かす体制を構築し,大学改革を進めている。今回は,その中枢を担われている佐賀大学西郡氏及び末次氏をお招きし,佐賀大学での具体的事例を伺うことで,本学でのIR推進に生かし,大学改革へとつなげたい。