【No.531】
学習成果(Learning Outcomes)とルーブリック(その4)

●○●学習成果(Learning Outcomes)とルーブリック(その4)●○●

センターニュースNo.519、523、527に続き、金沢大学グローバル人材スタンダードが示す学習成果をさらに要素(評価観点)に分割し、学士課程の年次進行(1,2,3,4)に伴う各要素の評価基準を示す長期ルーブリックの作成を試行してみたい。その目的は、本学の学習成果と国内外の大学の学習成果との対応関係を明示するツールとしての活用である。また、このルーブリックを共通教育コア科目の割付表として活用すれば、共通教育のカリキュラム・マップとなる。

センターニュースNo.519、523、527では、5つの能力のうち、「1.自己の立ち位置を知る」「2.自己を知り、自己を鍛える」「3.考え・価値観を表現する」「4.世界とつながる」のルーブリックの作成を試みたが、今回は最後の「5.未来の課題に取り組む」に対応するアメリカの学士課程教育の学習成果の参照モデルVALUE ルーブリック(Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education  Rubrics)の評価観点を抽出した。「5.未来の課題に取り組む」は、VALUEルーブリックの16の学習成果の中の【Problem solving】【Creative thinking】【Quantitative literacy】【Information literacy】に対応していると考えられたため、これら4つの学習成果の評価観点をそのまま用いて「5.未来の課題に取り組む」のルーブリック案とした。以下では、紙面の関係から【Problem solving】の4つの評価観点ついてのみ4段階の評価基準を引用し、残りの評価観点については【Capstone 4】のみを引用した。金沢大学グローバル人材スタンダードをルーブリックに変換するためには、引用した評価観点の修正や独自の評価観点の追加が必要である。これらの試行はあくまで筆者個人の考察による。

「5.未来の課題に取り組む:科学技術の動向、自然環境変動、持続可能性などの多角的視座から地球と人類、国際社会と日本の未来を総合的に予測し、未来の課題に取り組んでいく能力」に対するルーブリックのイメージ

 評価尺度

評価観点

Capstone

  4

Milestone

  3

Milestone

  2

Benchmark

  1

【Problem solving】

Identify strategies

問題を解決するために、その問題に固有の文脈で適用できる複数の方策を同定している。

問題を解決するための複数の方策を同定しているが、その一部のみがその問題に固有の文脈で適用可能である。

問題を解決するために、その問題に固有の文脈で適用できる単一の方策を同定している。

問題を解決するための単一あるいは複数の方策を同定しているが、それらはその問題に固有の文脈では適用できない。

【Problem solving】

Propose

Solutions/

Hypothesis

問題について深く理解していることを示す一つあるいは複数の解/仮説を提案している。解/仮説は、問題の文脈に含まれる要素についてばかりでなく、問題の倫理的、論理的、文化的側面についても考慮されている。

問題について理解していることを示す一つあるいは複数の解/仮説を提案している。解/仮説は、問題の文脈に含まれる要素についてばかりでなく、問題の倫理的側面、論理的側面、文化的側面のどれかについてについて考慮されている。

問題に対する一つの解/仮説を提案しているが、問題の文脈に含まれる特定の要素に関連付けて導出したというよりもむしろ関連付けられていない。

問題に対する解/仮説を提案しているが、それはぼんやりとしたものか、あるいは問題の記述と間接的にしか関連付けられていないために、その解/仮説を評価することが難しい。

【Problem solving】

Evaluate Potential Solutions

解の妥当性に関する評価は、深くかつ洗練されたもので(例えば、網羅的かつ洞察に富んだ説明を含んでいる)、以下のすべてを含んでいる。:問題の歴史的背景を考慮し、問題に対する解の導出つまり論証を評価し、解の実現可能性および影響の大きさについて検討している。

解の妥当性に関する評価は適切であり(例えば、網羅的な説明を含んでいる)、以下のいくつかを含んでいる。:問題の歴史的背景を考慮し、問題に対する解の導出つまり論証を評価し、解の実現可能性および影響の大きさについて検討している。

解の妥当性に関する評価は短く(例えば、その説明は深さを欠いている)、以下のいくつかを含んでいる。:問題の歴史的背景を考慮し、問題に対する解の導出つまり論証を評価し、解の実現可能性および影響の大きさについて検討している。

解の妥当性に関する評価は表面的であり(例えば、雑で表面的な説明を含んでいる)、以下のいくつかを含んでいる。:問題の歴史的背景を考慮し、問題に対する解の導出つまり論証を評価し、解の実現可能性および影響の大きさについて検討している。

【Problem solving】

Implement Solution

問題の文脈上の複数の要素について網羅的かつ深く配慮しながら解(解決策)を実行に移している。

問題の文脈上の複数の要素を表面的に考慮しながら解(解決策)を実行に移している。

解(解決策)を実行に移しているが、問題の記述に沿ってはいるものの問題の文脈上の要素を無視している。

解(解決策)を実行に移しているが、問題の記述に沿っていない。

 

 

  評価尺度

評価観点

Capstone  4

【Problem solving】

Evaluate Outcomes

さらなる問題解決の必要性の有無について網羅的かつ深く検討することも踏まえて、規定された問題の解決の結果について評価している。

【Creative thinking】

Embracing Contradictions

異なる視点やアイデア、代替可能な視点やアイデア、相反する視点やアイデアを十分に統合している。

【Creative thinking】

Innovative Thinking

新規または独自性のあるアイデア、問い、形式、あるいは成果を発展させ、新しい知識あるいは領域を横断する知識を生み出している。

【Creative thinking】

Connecting, Synthesizing, Transforming

アイデアあるいは解を全く新しい形式に変換している。

【Quantitative literacy】

Application/Analysis

深く熟慮された判断の根拠としてデータの定量的な分析を行い、示唆に富み注意深く質を保障された結論を導いている。

【Information literacy】

Determine the Extent of Information Needed

研究上の問いあるいはテーマの範囲を適切に定義している。中心となる課題を適切に設定している。選択された情報(源)の種類は、課題に関係したものである、あるいは研究上の問いに答えるものとなっている。

【Information literacy】

Access the Needed Information

効率的でうまくデザインされた検索方針と最も適切な情報源を用いて情報を得ている。

(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)