【No.527】
学習成果(Learning Outcomes)とルーブリック(その3)

●○●学習成果(Learning Outcomes)とルーブリック(その3)●○●

センターニュースNo.519、523に続き、金沢大学グローバル人材スタンダードが示す学習成果をさらに要素(評価観点)に分割し、学士課程の年次進行(1,2,3,4)に伴う各要素の評価基準を示す長期ルーブリックの作成を試行してみたい。その目的は、本学の学習成果と国内外の大学の学習成果との対応関係を明示するツールとしての活用である。また、このルーブリックを共通教育コア科目の割付表として活用すれば、共通教育のカリキュラム・マップとなる。

センターニュースNo.519、523では、5つの能力のうち、「1.自己の立ち位置を知る」「2.自己を知り、自己を鍛える」「3.考え・価値観を表現する」のルーブリックの作成を試みたが、今回は「4.世界とつながる」について同様に、本学の学習成果に対応すると考えられるアメリカの学士課程教育の学習成果の参照モデルVALUE ルーブリック(Valid Assessment of Learning in Undergraduate Education  Rubrics)の評価観点をそのまま流用した。「4.世界とつながる」は、VALUEルーブリックの16の学習成果の中の【Intercultural knowledge and competence】に対応していると考えられたため、以下の通り、【Intercultural knowledge and competence】を構成する6つの評価観点をそのまま用いた。金沢大学グローバル人材スタンダードをルーブリックに変換するためには、以下の評価観点にさらに独自の評価観点を追加する必要がある。これらの試行はあくまで筆者個人の考察による。

「4.世界とつながる:他者への深い共感に基づいて異文化と共生し、各人にとっての自国と郷土の文化への自覚と誇りをもって、世界と積極的につながっていく能力」に対するルーブリックのイメージ

評価尺度

評価観点

Capstone

  4

Milestone

  3

Milestone

  2

Benchmark

  1

【Intercultural knowledge and competence】

Knowledge

(Cultural self-awareness)

 

自分自身の文化的な規範や傾倒について分析し明確に説明している。(例えば多様性を追求している、自身の経験がいかに自分の規範を形成するか、また自身の文化的な傾倒を認識し対処することにより自己認識をいかに変化させるかについて知っている。)

自分自身の文化的な規範や傾倒につながる新しい視点に気付いている。(例えば同一性を求めず、新しい視点がもたらす複雑性を心地よいと思う。)

自分自身の文化的な規範や傾倒を同定している。(自分が属する文化的集団で共有されている文化的規範を強く嗜好しており、また別の集団における文化的規範を見出そうとしている。)

自分自身の文化的な規範や傾倒について(自分が属する文化的集団で共有されている規範や傾倒だけでも)わずかながら気づいている。(他文化とのあって然るべき相異を同定しようとはしていない。)

【Intercultural knowledge and competence】

Knowledge

(Knowledge of cultural worldview frameworks)

 

異文化における歴史、価値観、政治、意思伝達の方法、経済、信条、行動に関して、その文化的背景を持つ他者にとって重要な要素が多様であることについて十分理解している。

 

異文化における歴史、価値観、政治、意思伝達の方法、経済、信条、行動に関して、その文化的背景を持つ他者にとって重要な要素が多様であることについてある程度理解している。

異文化における歴史、価値観、政治、意思伝達の方法、経済、信条、行動に関して、その文化的背景を持つ他者にとって重要な要素が多様であることについて部分的に理解している。

異文化における歴史、価値観、政治、意思伝達の方法、経済、信条、行動に関して、その文化的背景を持つ他者にとって重要な要素が多様であることについて部分的な理解に留まっている。

【Intercultural knowledge and competence】

Skills(empathy)

 

異文化経験を自分自身の世界観およびその他の世界観を通して解釈し、異文化を持つ集団の感情を理解しようと行動することができることを示している。

複数の世界観が持つ知識面の次元と情緒面の次元を識別しており、他文化との接触に際して、時折、複数の世界観を用いている。

他文化を構成する要素を同定しているが、あらゆる情況において、自分自身が属する文化が持つ観点を適用してしまう。

自分自身が属する文化が持つ観点を通して、異文化経験を解釈している。

【Intercultural knowledge and competence】

Skills(Verbal and nonverbal communication)

 

言語および非言語による意思伝達の文化的差異について多様な理解を示している。(異なる文化圏では人々は意思伝達のために身体的接触をどの程度用いるのか、直接的/間接的、明示的/暗示的な意味をどの程度用いるのかについて理解している。)また、それらの差異を認めた上で共通の理解にうまく導くことができる。

言語および非言語による意思伝達の文化的差異を認識し、その差異に実際に関わり、その差異を踏まえた上で共有できる相互理解を探り始めている。

言語および非言語による意思伝達におけるいくつかの文化的差異を同定しており、それらの差異によって誤解が生じうることを知っているが、なお相互理解の余地を探ろうとすることができていない。

言語および非言語による意思伝達の文化的差異について最低限理解しているが、相互理解の余地を探ろうとすることができていない。

【Intercultural knowledge and competence】

Attitudes(Curiosity)

 

異文化についての複雑な問いを立て、それらの問いに対する複数の文化に固有の観点を反映した答えを探しだし明確に説明している。

異文化についての深い問いを立て、それらの問いに対する答えを探しだしている。

異文化についての簡単なあるいは表面的な問いを立てている。

異文化についてもっと知ろうとする最低限の興味を示している。

【Intercultural knowledge and competence】

Attitudes(Openness)

 

文化的背景が異なる他者と交流を始め発展させている。またそれらの交流の価値判断について熟慮している。

文化的背景が異なる他者と交流を始め発展させようとしている。またそれらの交流の価値判断について熟慮しようとしている。

文化的背景が異なる他者との間で、多くの交流をしようとしている。そのような交流における判断について熟慮することに困難を伴うが、自分自身の判断に気付いており、変化を求めている。

文化的背景が異なる他者との交流を受け入れる準備ができている。そのような交流における判断について熟慮することに困難を伴い、また自分自身の判断に気付いていない。

(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)