【No.521】
アクティブラーニング(能動学習)からディープラーニング(深い学習)へ(その7):共通教育課程から専門課程への足場架けとしてのディープ・アクティブラーニング

○●○ アクティブラーニング(能動学習)からディープラーニング(深い学習)へ(その7):共通教育課程から専門課程への足場架けとしてのディープ・アクティブラーニング ○●○

コンピテンシーとしての学習成果を横糸に、科目間の教育内容の連携・配置を縦糸に見立てたとき、教育プログラム(教育課程)はカリキュラム・マップとして可視化され、学生が身に付けた学習成果の総体として学位授与・人材輩出が実を結ぶ。以上が制度設計としてマクロレベル(ミドルレベル)に捉えた教育開発である。専門分野の文脈に適合する教育方法・学習方法を選択・適用すること、大学での教育支援・学習支援のリソースを利用可能な状態にしておくこと、学年や発達段階に応ずる授業・学習を取り巻く教育開発はミクロレベルと整理される。マクロやミドルが組織的に行われることは必須だろうが、ミクロが教師・職員個人の努力に任せ、学生の自学自習に委ねる清らかな状態でよいのであろうか。ここで産業構造などの社会変化・ステークホルダーの要請を背景にした「大学機能の変化」が外的要因として、大学進学率が50%を越えたユニバーサル・アクセス化時代の、あるいは情報化の進んだ世代の「学生の変化」が内的要因として姿を表しており、大学教育の役割を拡大する必要がある。いや、すでにその変化の始まりは終わっている、という見方もできる。

本シリーズでは、ミクロレベルで変革を促す方法論の一つである「アクティブ・ラーニング」を始点に、卒業年次あるいは卒後に達成されているディープ・ラーニング(深い学習)の状態への移行を議論したい。これまでにいくつかの定義、事例の紹介、9月22日電子情報学類FD研修会、10月15日人文学類FD研修会で報告の機会をいただいた[1]。アクティブ・ラーニングの類型化について話題提供し、特に人文学類ではシラバス(授業概要の事前計画)から授業ポートフォリオ(事後のふりかえりと学生・同僚によるレビューなどの記録)の考え方について示した。

専門課程から卒後の学びへ接続する科目の究極は卒業研究あるいはゼミナールなどでの少人数教育、対話と問いが中心にある探究の場であろう。最近、その場をつくり、促進するための大学教師の在り方として「ファシリテーター(促進者)」という役割が注目されている(三田地真実2013)。授業進行に伴い必要な役割と行動は変化し、学習過程および学習者の成熟度と共変する。必要なことは教え、参加者の活動を重視する(安永悟2012)[2]ことを、学生と共に学ぶ協同を私たちは楽しみたい。

高校から大学への接続、大学内での教養(共通教育)から専門(学類教育)への接続、大学から社会への接続にかかる教育接続の課題についても、同時に注目しながら、直近でもいくつかの研修会が企画されている。特に、共通教育から専門教育への橋渡しについては、大学のグローバル化とも関連した組織的な取組みが求められている問題である。参加者の皆様との対話から生まれる、大学教育の可能性に光を見出したい。

(文責 教育支援システム研究部門 杉森公一)

 

○●○ 第17回金沢大学教養教育全学研究会のご案内 ○●○

日時:10月31日(金)13時から(受付)

会場:金沢大学角間キャンパス 人社第一講義棟101

テーマ:共通教育の改革に向けて ―新カリキュラムを中心に―

詳細:http://www.kanazawa-u.ac.jp/faculty/kiko/lecturers/H26kenkyukaiannai.pdf

 

○●○ 大学教育再生加速プログラム第1回アクティブ・ラーニングFD研修会のご案内 ○●○

日時:11月7日(金)14時45分~16時15分  会場:角間キャンパス総合教育1号館2階大会議室

テーマ:「アクティブ・ラーニングに求められるファシリテーション」

講師:三田地真実(星槎大学共生科学部・大学院教育研究科 教授)

概要:学生の能動的学習活動に注目するアクティブ・ラーニングは,大学教育に おける教師の役割を,従来型の情報伝達だけでなく学習支援あるいはファシ リテーションにまで拡張させようとしている。 そこで,大学教育を含む様々な場で先駆的な実践をされている星槎大学・ 三田地 真実 教授をお招きし,教室における大学教師の新たな役割について, 参加者の方との対話を通して理解を深めることをねらいとしたい。

 

○●○ e教育サロン第4回シンポジウムのお知らせ ○●○

日時:11月22日(土)13:30~18:00  会場:金沢大学サテライトプラザ1階「交流サロン」

テーマ:大学間の連携を活かした教育~本気で考える教育~

主催:e教育サロン 共催:金沢大学総合メディア基盤センター

後援:金沢大学大学教育開発・支援センター、金沢大学外国語教育研究センター

基調講演1:小松川浩(千歳科学技術大学メディア教育センター長)

基調講演2:古畑徹(金沢大学附属図書館長)

全体討論(ラウンドテーブル):小松川浩、古畑徹、鹿野勝彦、澤田茂保(外セ)、杉森公一(大教セ)

詳細:https://www.facebook.com/edusalon/



[1]一部はアカンサスFD(学内限定)にて公開している。 

[2]安永悟『活動性を高める授業づくり—協同学習のすすめ』医学書院、2012年。看護教育での授業実践は、大学教育でのアクティブ・ラーニングのヒントに富んでいる。