【No.508】
ASEANにおける教育質保証について

○●○ASEANにおける教育質保証について○●○

 現在、金沢大学は大学間で134、部局間で59の高等教育機関と国際交流協定の覚書を交わしている。そのうち、ASEAN加盟10ヶ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)との協定は大学間で49機関、部局間で9機関に上る。また外国人留学生受け入れ状況においても2014年現在でASEANからの学生は165名と全外国人留学生の約3分の1となっている[1]

 今回は、これだけ金沢大学との間での交流が活発になってきているASEANの高等教育機関における質保証について紹介させていただく。ASEANは、ASEAN教育担当大臣会議(ASEAN Education Ministers Meeting (ASED)[2])、およびその拡大版となる東南アジア教育担当大臣機構(Southeast Asian Ministers of Education Organization (SEAMEO)[3])において、教育が国家発展の基盤となるとの意識のもと、教育の質を高めるための情報交換および相互交流を進めてきている。また、個別の高等教育機関間でもASEAN大学ネットワーク(ASEAN University Network(AUN)[4])を構築し、そこにはASEANの主要大学が加盟している。AUNはその主たる活動の一つに質保証(QA)を位置づけており、AUN-QA Guidelines、The Manual for the Implementation of the AUN-QA Guidelines、Guide to AUN Actual Quality Assessment at Programme Levelといった文書を公開し[5]、それらに基づき2007年から24回に渡り個別大学の個別教育プログラムに対するAUN Actual Quality Assessmentを実施している[6]

 AUN-QAにおいては、1. Expected learning outcomes/ 2. Programme specification/ 3. Programme structure and content/ 4. Teaching and learning strategy/ 5. Student assessment/ 6. Academic staff quality/ 7. Support staff quality/ 8. Student quality/ 9. Student advice and support/ 10. Facilities and infrastructure/ 11. Quality assurance of teaching and learning process/ 12. Staff development activities/ 13. Stakeholders feedback/ 14. Output/ 15. Stakeholders satisfactionの15の基準を設定し教育プログラムに対する質保証モデルを提示している。基準毎に、概要、チェックリスト、説明、基準を満たしているかを確認するための質問項目、根拠資料があげられている。これら全てについてここで説明することは出来ないが、例えば1. Expected learning outcomes(期待される学習成果)では、「カリキュラムが、いわゆる社会人基礎力に当たるような能力を身につけ、生涯学び続けられるように学ぶ力を育成するように構成されていること」、「カリキュラムが、卒業生に対して、より高度な学習をこなせる能力を身につけさせ、個性を育て、当該学問分野におけるアカデミックな姿勢と能力を身につけさせられるようになっていること」、「カリキュラムが、全てのステークホルダーからの関連する要求を反映させながら、明確に学習成果につながっていること」が示され、チェックリストでは、「1. 期待される学習成果が教育プログラムに明確に組み込まれていること、2. 教育プログラムが生涯学習能力を身につけさせていること、3. 期待される学習成果が一般的および専門的技能と知識を含んでいること、4. 期待される学習成果がステークホルダーからの要求を明確に反映していること」をチェックするようになっている。質問項目としては、「なぜ教育を行うのか、教育プログラムの背景にはどのような教育哲学があるのか、期待される学習成果とは何か、学習成果はどのように教育プログラムに組み込まれているのか、学習成果は学科の目標を反映させているのか、労働市場は卒業生に特別な能力を要求しているのか、教育プログラムをどの程度、どのように労働市場に対応させるのか、学習成果をどのようにして教職員、学生に周知しているのか、学習成果はどの程度達成されていると考えているか、学習成果を見直しているか」などとなっている。根拠資料としては、「教育プログラムおよびそのモジュールの詳細、教育プログラムのシラバス、技能一覧、ステークホルダーの声、大学および学科のWebサイト、ステークホルダーへの対応方法、カリキュラムレビュー報告書、アクレディテーションやベンチマークの報告書」などがあげられている。

ここで説明させていただいたのはほんの一部であるが、今回のGuide to AUN Actual Quality Assessment at Programme Levelが関係する教育プログラムの検証の一助になれば幸いである。これからも、大学教育開発・支援センターとして、金沢大学における教育の国際通用性向上に資する活動として今回のASEANの事例だけでなく他の欧米諸国における教育質保証についての情報提供を続けていきたいと考えている。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

 

○●○第23回学生・学習支援研究会のお知らせ○●○

日時:7月25日(金)13時00分~14時30分

会場:中央図書館ブックラウンジ(ほん和かふぇ。)

テーマ:「学生フォーラム-学生の提案する理想の学び」

報告者:「アクティブラーニング入門」受講学生

趣旨:大学教育開発・支援センターでは、2014年4月より共通教育科目「アク

ティブラーニング入門 ~反転教室、協同による学び~」を新規に開講し、知識

伝達のみにとどまらない能動的学習の方法を取り入れた授業実践を試行してい

る。事前の資料提示・講義ビデオ視聴をもとに授業内にディスカッションを行う

反転授業と協同学習、クリッカー(リモコン式意見集約装置)を用いた授業への

双方向の参加、小グループによる知の創出を目指すプロジェクト活動によって、

受講学生は大学での「理想的な学び」の在り方を見出そうとしている。本研究会

では、授業の最終回である学生グループの成果報告を「学生フォーラム」として

公開し、参加者とともに考える場を創出したい。



[1]金沢大学概要2014 http://www.kanazawa-u.ac.jp/university/outline/gaiyo/2014/14_043_acceptance-situation.html

[2]http://www.asean.org/communities/asean-socio-cultural-community/category/overview-24

[3]http://www.seameo.org/

[4]http://www.aunsec.org/index.php

[5]http://www.aunsec.org/guidelineforaunqa.php

[6]http://www.aunsec.org/programmelevel.php