【No.499】
教育実践報告会「能動的学習と学習成果」参加報告(その2)

●○●教育実践報告会「能動的学習と学習成果」参加報告(その2)●○●

3月18日(火)に開催された教育企画会議教育改革部会主催(教育企画会議FD委員会、大学教育開発・支援センター共催)の教育実践報告会「能動的学習と学習成果」において、学校教育学類、経済学類、機械工学類から報告された能動的学習(アクティブ・ラーニング)主体の授業実践の概要をセンターニュースNo.495で紹介した。当日、3学類からの報告とともに、同志社大学文学部教授・PBL(Project Based Learning)推進支援センター長の山田和人氏から、「PBLと学習支援―同志社大学プロジェクト科目におけるTA・SA協議会の試み―」について講演が行われたので、その概要を以下に紹介する。なお、山田氏の講演をはじめ、3学類からの報告、全体討論の様子は、ビデオ撮影され、現在、アカンサス・ポータル内にて学内限定で閲覧できる[1]

プロジェクト科目は、同志社大学の全学共通教養教育科目のキャリア形成支援科目区分に属するもので、協働的・集団的プロジェクトを組織して、社会で活躍するために必要な能力を体験的に学ぶことを意図している。実際に企業等での仕事は、ほとんどがプロジェクトベースで行われるため、そのために必要となる問題発見能力・解決能力をはじめとする様々な能力をモラルも含めてプロジェクト・リテラシーと定義し、プロジェクト科目の教育目的としている。

1プロジェクト(科目)は5名以上19名以下の少人数、1年次生(秋学期から)から4年次生までの受講生からなる。主に2年次以降の受講が多く、2、3、4年次の比率はほぼ均等である。このプロジェクト科目の特徴は、民間企業、NPO等の団体、個人に対して、地域社会や企業が持つ「教育力」を大学の正課の教育課程の中に導入するとして、プロジェクトのテーマを公募する点である。学内のプロジェクト科目検討部会と教務主任連絡会議とで応募フォームのテーマ概要(1000字以内)等について審査する。毎年70件前後の応募があり、25~30件をプロジェクト科目として採択する。採択テーマの提案者1名を嘱託講師として委嘱し科目担当者となり、同時に学内専任教員が科目代表者となる。採択されたプロジェクトのテーマを周知し、学生に志望理由等を記入させた登録志願票に基づいて、科目担当者、科目代表者が面談等を実施した上で登録者の選考を行い、受講生が決定する。

25年度に採択されたプロジェクト科目のテーマは、「世界遺産をデザイン!花「桜」と共に生きる吉野山プロジェクト」「京都土産から学ぶ商品企画」「京都発のキリスト教祭服を世界に発信する」などである。授業開始時点で、学生と授業担当者とがテーマについて徹底的に話し合い、テーマに関わる問題点を洗い出し、解決方法を考え、プロジェクトの方向性を決めていき、全体の企画書、学生メンバー個別の企画書を作成する。

 能動的学習を高め、プロジェクト科目の教育目的を達成するために重視されているのが、プロジェクト活動の可視化と公開に基づく自己評価、他者評価を通した振り返りである。プロジェクト学習の履歴を記録しメンバー間で共有するポートフォリオシステムが用意されており、各プロジェクト内での振り返りが継続的に行われる。学生、授業担当者ともに成果報告書を提出するとともに、プロジェクト科目全体での成果発表会での報告を行い、さらに各プロジェクト科目の学生代表による学生懇談会できめ細かく振り返りを行う。成果発表会を経て選出された優秀プロジェクトは、同様の取組を行っている他大学のプロジェクトとの合同成果報告会で報告を行う。

 今年度の教育実践報告会では、能動的学習主体の授業科目におけるTAの活用を一つの論点とするため、山田氏の講演では、同志社大学プロジェクト科目でのSA(スチューデント・アシスタント)・TA(ティーチング・アシスタント)による学習支援、SA・TA自身に対する教育効果についてもこれまでの経験に基づいた見解を述べていただいた。

 山田氏は、プロジェクト活動に対してきめ細かなケアができる体制の必要性に気づき、学生と授業担当者の間をつなぎ、課題や問題点について指摘をしてくれるSA・TA1名を各プロジェクトに配置することとした。SA・TAの業務規程を作り、SA・TAは毎週、活動報告書およびアンケートを提出し、SA・TAに対しても振り返りを通して気付きと学びを深め、問題点や課題は何かを考察するまでが求められている。蓄積されたSA・TAの活動報告書とアンケート結果が講演資料として紹介され、学生と授業担当者の間に立ちプロジェクトを運営していく立場から、何を学び、どのような知識が必要か、どのような人を紹介すればいいのか、また学生の反応を通して自分の言動がプロジェクト活動にどのような影響を与えているか、を考えた過程が率直にかつ具体的に記録されていた。

SA・TAに対して行われた25年度の「実際にこの科目を担当してどのような力が身についたと思いますか」というアンケート設問に対する回答では、学生たちが一体何を考えているのかということを些細な言葉の中から発見する観察力や傾聴力をはじめ、フォロワーシップ、サポーターシップ、コミュニケーション力、マネジメント力などSA・TA活動を通して身につけてほしい能力が狙い通りに伸びていると自己評価している。

 プロジェクト科目全体でのSA・TAの情報交換、日常的な振り返りを行うSA・TA協議会が設置されている。この協議会の活動を拡大し、プロジェクト科目の運営自体も学生主体で行い、能動的学習の場としてのSA・TA活動へと進化することが意図されている。

 同志社大学のプロジェクト科目は、能動的学習のデザインに対して多くの示唆を含んでいた。

(文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)

 

[1]アカンサス・ポータルのトップページの【時間割】【その他情報】の欄の最下部に【平成25年度教育実践報告会「能動的学習と学習成果」】というコースがありますので、ここをクリックすると閲覧できます。

 

●○●アカンサスFDをご活用ください●○●

 アカンサス・ポータル内の【アカンサスFD】には、授業内容・方法改善に役立つ情報を掲載しています。アカンサス・ポータルの【時間割】の枠内の【その他の情報】→【FD/SD】→【アカンサスFD】をクリックしていただきますと、本センターが蓄積しました授業内容・方法の改善関連情報をご覧いただけます。