【No.487】
教学マネジメントをどう進めていくか

○●○ 教学マネジメントをどう進めていくか ○●○

本学では各学類において学位授与方針にもとづき教育プログラムの学習成果を具体的に明らかにし、学習成果達成のためにカリキュラムマップ、カリキュラムツリーを策定して教育プログラムの構造を明らかにした段階にある。これらを前提に、すでに着手している部分もあるが、各科目の教育内容・方法が学習目標・学習成果達成のために適切であるか、(教員間で共有した)期待された学習成果が達成できているのか、学生側(在学中・卒業時)の成果達成度への認識はどうなのか、大学外(主に企業)の立場でみてそれらの学習成果達成がどのように認識されなにを期待するのか、といったことを情報収集し検証した上で、教育内容・教育方法・構造体系をどう改善していくのか(カリキュラム改革)が、本学の教育の質保証のために今後進められていくことになる。そうした評価と結果にもとづくマネジメントサイクルの構築は欠かすことはできない。

ここで、興味深いデータを示したいと思うが、ベネッセ教育総研と日本高等教育開発協会が実施した「大学生の主体的な学習を促すカリキュラムに関する調査」(2013年2-3月実施で、全国の学科長を対象)の分析結果によると、カリキュラム改革のきっかけが、「学部学科の改編」「新設に合わせて」(それぞれ20~30%)といった学内の事情をふまえたものというのがもっとも多く、「中教審答申など政府の示された方向性に対応するため」がそれに続く。さらに、カリキュラム見直しのねらいについてみると、「学生に主体的な学びの姿勢や意欲を身につけさせる」(67%)、「効果的に学生の学力を向上させる」(63%)が上位にあがり、これらの理由はやはり国レベルで推奨されたトレンドに乗っかったものであるとみてよいであろう。調査グループによれば、カリキュラム改革は、社会や企業などのステークホルダ-のニーズや期待といった視点は読み取りにくいという分析である。

見直しのねらいには、「地域社会や企業等の人材ニーズに応える」が5割を超えているのに、実際に大学において重視されたことは、教員間の意見の調整や集約(「多くの教員の意見をまんべんなく反映する」66%)「教授会などで承認を得る」(63%)といった教員への配慮が目立っているということであった。企業など学外の意見をできるだけ取り入れるのは2割にとどまり、カリキュラムの教育成果・効果をみる評価指標において「卒業生に対する企業等の評価」は1割に過ぎないという実態であった。

教学マネジメントの問題は、授業がそれぞれの教員に属する不可侵なものという意識が厳に存在していて、社会や学生のニーズなどといった変化に合わせ、自分に何が求められているのかを明らかにしていく具体的な方法論に乏しいということに帰結するようである。PDCAのCは学内での検証にとどまり、それを一生懸命行っていても、客観性が乏しい検証でありそれをふまえた対策(A)も独りよがりにならざるを得ないということである。

奇しくも、「社会人基礎力」にいうところの一般的な技能(ジェネリックスキル)がかなり広く認識され、また国際的な動きとしてTuning Aheloコンピテンシー枠組の議論とその具体的な設計(共通のプラットフォーム作りと各国・地域の事情に合わせたアレンジ)が進んできており、そうしたニーズが高まっていることは共通している。汎用的なスキル・知識を学生が身に付けるように、各大学においてカリキュラム設計を行う努力をしているようで、実際のところ、科目の細分化が学生のスキル獲得を少なからず困難にさせているということである。科目の細分化はやはり教員側の論理で構成されているので、その意味で、いかに社会や企業(あるいは高校などとの接続も含め)などのステークホルダーといかに効果的に連携協働していけるかが鍵となるものと考えられる。

   (文責 評価システム研究部門 渡辺達雄)

 

○●○ 第18回FD研究会開催のお知らせ ○●○
日時:2月21日(金)16時40分~18時00分
場所:金沢大学角間キャンパス 総合教育1号館2階大会議室
テーマ:「主体性と向き合う教材のデザイン- 反転教室の実現に向けた教育方法の過去・現在・未来」
報告者:角南 北斗(デザイナー(Web&教育))
趣旨:反転教室(flipped classroom)の実現に向けては、効果的な教材を発信し、事前提示した教材   

に対して学習効果を測定する必要がある。学習者に提供するリソースには、教師側が教材を使うという視点を越えて「教師の役割をパッケージにした教材」「学習者を助けるツールとしての教材」としての要素が強く求められよう。また、大規模公開オンライン大学(MOOCs)が広がる状況に合って、主体的な学習の実現をどうするのか、改めて議論が必要である。主体性は学習者だけでなく、教師においても重要な要素であり、これから誰が何をすればいいのかを、教材設計の思想に絡めた形で言及し議論したい。

 

●○● 教育企画会議教育改革部会主催教育実践報告会のお知らせ ●○●

平成25年度教育実践報告会・第11回大学教育セミナー共同開催

テーマ:「能動的学習と学習成果」

主催:教育企画会議教育改革部会、共催:教育企画会議FD委員会、大学教育開発・支援センター

日時:3月18日(火)13時30分~17時

会場:金沢大学角間キャンパス自然科学図書館棟大会議室

趣旨:金沢大学における「各学域・学類及び共通教育機構における能動的学習を促す実践事例を全学で共有し、各部局における授業形態に応じた能動的学習を推進する」取組の一環として,能動的学習に基づく課題探究・課題解決力等を養う学類の優れた取組みについて全学で共有するとともに、他大学の事例も参考としながら、学内外の参加者とともに「能動的学習」の設計とその学習成果について議論する。

プログラム

【講演】「PBLと学習支援-同志社大学プロジェクト科目におけるTA・SA協議会の試み」

山田和人 同志社大学PBL推進支援センター長 

【学内事例報告】

     村井淳志 学校教育学類教授

「教育現場で即戦力となれる社会科教師を養成するための初等社会科教育法の実践

-100名受講の大講義-」

    佐藤秀樹 経済学類准教授「経済学類の初学者ゼミ―具体的事例の紹介―」

    米山 猛 機械工学類教授「創造デザイン実習による課題解決能力育成」

 【全体討論】