【No.485】
学士課程のコモン・コアとアクティブ・ラーニング

●○●学士課程のコモン・コアとアクティブ・ラーニング●○●

昨年度に引き続き教育企画会議教育改革部会主催で教育実践報告会「能動的学習と学習成果」が3月18日(火)に開催される。今年度は3学類から能動的学習(アクティブ・ラーニング)主体の授業実践の報告が行われる。また、同志社大学PBL推進支援センター長の山田和人氏から、初年次のPBL(Problem-based Learning)授業とそれに関わる高年次学生および大学院生によるSA(スチューデント・アシスタント)・TA(ティーチング・アシスタント)活動というアクティブ・ラーニングについて紹介される。本学の3学類の報告では、まず学校教育学類から大人数のクラスでいかにして学習意欲を高めるか、アクティブ・ラーニングの設計で最も難しい課題への取組が報告される。経済学類からは、本学での初年次におけるアクティブ・ラーナーへの転換を支える初学者ゼミの実践報告が行われる。経済学類は、初学者ゼミの開設以前から初年次の少人数ゼミナールの開発・実践を組織的に行っている。機械工学類からは、工学系のProject-based learningとして知られる創成型科目の実践について報告される。本学は国内で早くから創成型科目の開発を行っており、15年近くの開発・実践の蓄積がある。

現在、アクティブ・ラーニングは学士課程教育改革のキーワードとして、初年次教育、教養教育、専門教育、卒業研究、インターンシップ等、あらゆる局面でその具体化のための教育方法の開発や授業設計について検討が行われている。それでは、なぜアクティブ・ラーニングなのか?これは専門分野によらないコモン・コアを学生に身につけさせようとする時、必然としてすべての大学教員が考える教育方法である。

各専門分野が共有すべきコモン・コアの一つは「考え方」であろう。筆者は、他大学の特に教養教育の事例の紹介を通して、「アクティブ・ラーニング」の学習成果は、対象を論理的に分析し、論証の評価を通して問題や課題を発見あるいは設定し、その解決のための仮説形成と仮説検証を行うことができる能力、つまり「批判的思考力」であり、したがって「アクティブ・ラーニング」とは「考え方の基礎学」を理念とする「リベラル・アーツ教育」における教育方法ということができると考えた(センターニュースNo.439)。「知識」とともに「考え方」「批判的思考力」の習得は、具体的な題材についてその「考え方」を適用する体験を通してはじめて達成される。そして上記の「批判的思考」のプロセスは「研究」そのものであり、ここに各専門分野の研究プロセスを通して批判的思考力を身につけさせる大学教育ならではの「アクティブ・ラーニング」の意義がある。中島は、1998年に出されたボイヤー委員会の報告書「学士課程教育の再構築:米国の研究大学のための設計図」に沿って再編されたスタンフォード大学におけるカリキュラムを紹介している[1]。「研究に基づく学習を標準とし、その学習において、学士課程学生は教えられる存在ではなく、教員や大学院生とともに発見という冒険に出る探究者となる」との報告書の骨子に沿って、スタンフォード大学では、初年次、2年次のゼミナール、4年次のキャップストーン経験(卒業研究)に加えてオーナーズプログラム(研究プロジェクト)などをカリキュラムに組み込んでいる。

 MOOCs(Massive Open Online Courses 大規模公開オンライン授業)として、アメリカの有力大学を中心に国内でも東京大学からインターネット上に無料で大学の授業が公開され、オープンコースウェアを各大学が共有する動きが加速する可能性がある。このような時代を迎え、対面での大学教育ならではの「アクティブ・ラーニング」の意義はさらに高まるであろう。

                         (文責 大学教育研究開発部門 西山宣昭)

[1]中島(渡利)夏子「米国の研究大学における1990年代以降の学士課程カリキュラムの特徴―研究に基づく学習を重視するスタンフォード大学の事例から―」東北大学大学院教育学研究科研究年報 第57集・第1号(2008年)173ページ.

 

●○●教育企画会議教育改革部会主催教育実践報告会のお知らせ●○●

平成25年度教育実践報告会・平成25年度大学教育セミナー共同開催

 「能動的学習と学習成果」

  主催:教育企画会議教育改革部会

  共催:教育企画会議FD委員会、大学教育開発・支援センター

  日時:3月18日(火)13時30分~17時

  会場:金沢大学自然科学図書館棟大会議室

趣旨:中期計画【8-1】の25年度計画「各学域・学類及び共通教育機構における能動的学習を促す実践事例を全学で共有し、各部局における授業形態に応じた能動的学習を推進する。」の実施の一環として,能動的学習に基づく課題探究・課題解決力等を養う学類の優れた取組みについて全学で共有するとともに、他大学の事例について学び、各学類での取組みを促そうとするものである。

【プログラム】

13時30分~13時35分 【開会挨拶】教育担当理事・副学長 中村慎一

【講演】

13時35分~14時20分「PBLと学習支援ー同志社大学プロジェクト科目における

   TA・SA協議会の試み」同志社大学PBL推進支援センター長 山田和人

【学内事例報告】

14時20分~14時45分 学校教育学類 村井淳志 

   「教育現場で即戦力となれる社会科教師を養成するための初等社会科教育法の実践

    -100名受講の大講義-」

14時45分~15時10分 経済学類 佐藤秀樹 

   「経済学類の初学者ゼミ―具体的事例の紹介―」

15時10分~15時35分 機械工学類 米山 猛

   「創造デザイン実習による課題解決能力育成」

15時35分~15時50分 <休憩>

15時50分~16時55分 【全体討論】

16時55分~17時 【閉会挨拶】教育改革部会長 西山宣昭