【No.464】
大学改革フォーラム参加報告

○●○大学改革フォーラム参加報告○●○

 2013年8月9日(金)に明治大学駿河台キャンパスで開催された<大学改革フォーラム>「大学教育の未来を探る ~大学改革支援プログラム(GP)の検証と展望~」[1]に参加した。主催者である大学改革フォーラム実行委員会には12の大学団体、学術団体が名を連ねており、文部科学省、国立教育政策研究所が後援[2]する形でのGP復活へのキックオフフォーラムであった。午前中に教育方法、学士課程のカリキュラム、キャリア教育、学生支援、地域貢献、グローバル化の6つの分科会での報告、午後から国際教養大学理事長・学長の鈴木典比古氏による基調講演「大学改革支援プログラム(GP)の検証と展望」、国公私立学長によるパネルディスカッションが行われ、高等教育における教育改革にGP事業が果たした役割、効果について活発な議論が行われた。

本講執筆者である堀井は、第2分科会(学士課程のカリキュラム)において「認証評価は学士課程カリキュラムをどう見たのか-大学基準協会認証評価における事例-」と題した報告を行った。第2分科会は桜美林大学教授山本眞一氏がコーディネーターで、他に北海道大学名誉教授・大学教育学会会長の小笠原正明氏、一橋大学大学教育研究開発センター教授松塚ゆかり氏が報告者であった。

小笠原氏は、GPは、大学教育改革にインセンティブを与え、組織的教育改革の具体例を提示し、各分野における教育のトレンドを示し、教育改革を促すことで「学士課程」の概念形成を助けたと述べた後、中教審答申とGPの関係を明らかにしていった。1998年の「21世紀大学像答申」をうけてGPを駆動力とした教養教育改革、専門基礎科目改革、キャップストーンとしての専門教育改革が進められた。さらに2005年の「将来像答申」では学士課程の類型化、2008年の「学士力答申」では分野別質保証、学習成果の国際基準検討、学位名称の国際標準化などが謳われ、「学科・研究組織」から「プログラム」へとの流れは作られたが、GP自体は「仕分け」により終了してしまい、現在は、中教審答申を具体化させる力とはなっていない。最後に、今後、学士課程教育の底上げは高等教育の緊急の課題であり、この課題を解決するためには、学士課程教育モデルの共有、学士課程教育の種別化、ディシプリンの責任を明確にする、教育プログラムのスクラップアンドビルド促進、競争的資金の種別化が必要との認識を示された。

松塚氏は一橋大学においてGP採択された「単位実質化マキシマムモデルの実践と普及-評価、教育、支援をつなぐカタリストとしてのIR」を紹介された。本事業は「「成績評価の適正化」、「授業外学習を促す授業開発と実践」、「きめの細かい就学支援」を相互に連動させ、各効果を最大限に発揮する単位実質化のためのマキシマムモデルを開発・実践・普及するとともに、IRをこれら三つの活動をつなぐカタリストとして据え、各活動と全体の効果を測定評価し、その結果を活動へと反映させるPDCAサイクルを設計し定着させる」ものである。GP終了後は、本事業でのモデルは、アカデミック・プランニング・センター(APLAC)、総合IR(Integrated IR)へと姿を変えて継続されており、学年進行によるGPA低下現象が解消されるなどの成果が上がっている。一橋大学としては、これらの取り組みの発展的ソリューションとしてチューニングを位置づけている。チューニングプロジェクト[3]については当センターでも調査研究を続けておりセンターニュース426号や研究会で扱っているが、一橋大学においては、2011年から海外先進事例調査、チューニング実践のためのフィージビリティー調査などを進めた後、提携大学のカリキュラム調査・研究とIRを活用した教育課程の精査、アジア圏での共同実践と交流への適用(参照基準の活用と国際化)、欧州を中心としたパートナー大学との連携カリキュラム開発、チューニングリソースセンター設置とチューニング成果配信を進めている。これらは中教審答申およびGPで目指していた教育の国際化、質保証を実現する取り組みである。

両氏の話に共通するのは「教育プログラム」という考え方であり、この考え方をより具体的に実践していかなければ国際的に通用する高等教育とはならないことを強く感じた。金沢大学においても「教育プログラム」の考え方を進めるためカリキュラムマップ、カリキュラムツリー作成、共通教育改革などが進められているが、大学として国際化を進めるのであれば、16学類それぞれにおいて、今一度「教育プログラム」としてカリキュラムの国際通用性を見直す必要があるのではないだろうか。その際には、IRおよびチューニングがキーワードとして助けになるものと思われる。

最後に、本フォーラムでの文部科学省関係者をはじめとする高等教育関係者の熱気からGP復活を本気で考えていることが感じられた。もし来年度GPが何らかの形で復活するのであれば、金沢大学として、または各学類として教育改革の方向性を確認し、具体的取り組みを進めていくことが申請、採択に向けて必要ではないだろうか。(文責 評価システム研究部門 堀井祐介)

 

○●○第16回カリキュラム研究会開催のお知らせ○●○

日時:2013年8月27日(火)8時30分~10時

場所:総合教育1号館2階大会議室  

題目:改めて考える高大連携 

講師:坂詰貴司(芝中学高等学校教諭、大学教育開発・支援センター客員研究員)

趣旨:中教審の答申により高大連携が注目されてから月日が経ちました。その間、様々な議論や提言がされ、実現したこともいくつかあります。また、昨年からの動きで「秋入学」「4学期制」「センター試験の検討」など新しい要素が加わってきました。本発表では、これらのことを踏まえて、今までの検証をしたいと思います。そして原点に立ち戻り、様々な視点での提言を、参加者とともに考えていきたいと思います。なおオーストラリア・ビクトリア州の事例を参考にする予定です。



[1]http://www.meidai-support.com/forum/index.html

[2]主催:大学改革フォーラム実行委員会(日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、国立大学協会、公立大学協会、全国公立短期大学協会、大学基準協会、日本高等教育評価機構、短期大学基準協会、大学評価・学位授与機構、日本私立学校振興・共済事業団、日本学術振興会、日本学生支援機構/
協賛:明治大学/後援:文部科学省、国立教育政策研究所

[3]http://www.unideusto.org/tuning/