系長メッセージ

高等教育開発・支援系/部門長 吉永 契一郎

知識基盤社会を迎えて、今日、人材育成の重要性は、これまでになく高まっています。欧米では、その解決策として、海外からの優秀な人材に依存する傾向も生まれていますが、私は、日本の場合は、まだ、国内の人材に高い潜在能力があり、高等教育が大きな役割を果たすことができると考えています。その理由を、ここで述べます。

現在、本系/部門が取り組んでいる文部科学省教育関係共同利用拠点では、FDとSDを二つの柱としています。この二つに取り組むに当たって、我々は、両者の接点が何であり、その相乗効果は何であるかということを常に考えてきました。そして、思い当たったことが、「越境型学習」ということです。

これまで、日本の産業・教育が高い成果を上げてきた背景には、業務の細分化と縄張り意識があげられると思います。これは、大学においても同じで、教員は学科・研究室において、職員は部局によって、それぞれの成果を最大化しようとしています。しかしながら、これは、同時に、視野狭窄症や人間関係に分断をもたらし、全学的な方向性や社会的立場を見失う要因でもあります。

現在、イノベーションに注目が集まっていますが、その本質は、分野間融合であると言われています。確かに、アップル、フェイスブック、グーグルなどの新興企業が行っていることは、技術の高度化ではなく、技術とデザイン、技術と消費者ニーズの融合であり、システム統合です。すなわち、ここでは、分野や部署を越境することが、新しい価値を生み出しています。

この社会的な変化を大学も反映せざるを得ません。同じ専門分野の研究者同士、同じ部署の職員同士で、研究や職務を高度化することは当然です。しかしながら、同時に、大学全体にも意識を向けること、それぞれの立場を他者の視点で眺めてみることは、説明責任を果たすため、自律した個人であるための重要な要素であると思います。

幸いにして、共同利用拠点のこれまでの研修には、全国から教職員の方々にご参加いただき、対話の中から、これまでにない視点を獲得することができたという評価をいただいています。あらゆることに口を出す本系・部門は、「トリック・スター」のような存在かも知れません。今後とも、系・部門の活動に、ご理解・ご協力をお願いする次第です。